第54話
食事を終えて、ジオとフィリアが交代で警戒をすると言っていたため、フィルとティアナは先に休んでいたのだがティアナは喉が渇いたようで目を覚ますとフィルの姿はない。
(……フィルさんがいない? フィアさんは寝ているから、ジオさんと話しているのかな?)
ティアナは水を飲み場に移動しようとテントの入口を開けるとフィルはやはり、ジオと一緒にいたようでこちらを見た後、眉間にしわを寄せる。
「ど、どうかしたんですか? ……まさか!? ふ、2人っきりで依頼を受ける時も多いと言ってましたし、そ、そうだったんですか!?」
「……何を言いたいのかは理解できるがおかしな勘違いをするな」
「……その反応は考えてなかったな」
ティアナはフィルとジオの関係を幼なじみではなく男同士のただれた関係と勘違いしたようで顔を赤くしてテントの中に戻ろうとするとフィルは眉間にしわを寄せたまま、彼女の首をつかみ、ジオは苦笑いを浮かべると、
「ちょっと、明日の事でね。隠しても仕方ないんだけど、大きい一発と細かい何百発、どっちが良い?」
「魔力の量と他の場所へ行く事も考えると一発で終わらせるのが良いと思うんだが」
「俺は無理に一発で終わらせる必要はないと思うんだ。連戦はしんどいけど一発にするとどんなものが出てくるかわからないし」
「えーと、まったく、何が言いたいのかわからないんですけど、最初から説明していただきたいんですけど」
フィルとジオは真剣に話をしているがティアナはまったく話の内容について行けないようで詳しく話を聞きたいようでゆっくりと右手をあげる。
「ん? 察しが悪いな」
「……多分、ここから話を聞いた人は私と同じ事を言うと思いますよ」
「そうか?」
フィルはティアナに説明を始めようとするがその姿は面倒なのか少し不機嫌そうであり、
「あ、あの。私がわかるようにお願いしますね」
「あぁ。わかってる。俺とジオが話していたのは明日のもう1種類のトラップの事だ」
「何があるのかわかったんですか?」
「……確認はしていないがな。予想は付いている」
「何なんですか?」
「こんなものは常識だ。爆発ともう1種類と言ったら、魔獣召喚に決ってるだろ」
「そうなんですか? ……魔獣召喚?」
フィルは表情を変える事なく、魔光石に組み込まれているトラップの内容を説明するとティアナは頷いた後にフィルの口からおかしな言葉が出た事に気づき、顔を真っ青にするが、
「それで、細かい召喚を何度か繰り返して魔獣をぶちのめして行くのとフィルに魔法式を合わせて貰ってでかいのを一発で終わらせるかって話をしていたんだ」
「面倒だから戦闘は一回で良いだろ。強力な魔法、一発で終わるからな」
「俺は前衛だからあまりでかいのはな。攻撃を引きつけるのは大変だしな」
フィルとジオの中では些細な事でしかないようでため息交じりで軽い口調で話をしている。
「ま、待ってください!? 魔獣ですよ!! ま・じゅ・う。その反応はおかしいですよ!?」
「何だ? 魔獣がイヤなら悪魔でも呼び出すか? 知能が高いから厄介だぞ」
「そう言う意味じゃありません!!」
ティアナは2人の反応はおかしいと声をあげる。