第49話
「で、ですけど」
「前にも言っただろ。生きる可能性が高くなる方を選べ、お前は国のために死ぬ必要はないんだからな」
ティアナはフィルの言葉にどうして良いかわからないようで、少し泣きそうな表情になるがフィルが気にする事はなく、
「それで、あいつらに渡してあるマジックアイテムの事だが……」
「あ!? ……フィアさん、完全に遊ばれていますね」
魔法の詠唱を始め出すとティアナの目には闇が広がっていたはずの場所でフィリアが大剣を振りまわしてジオを追いかけている姿が見えるがジオは平然とフィリアの攻撃を交わしており、1撃をジオに当てられない事でさらに頭に血が昇って行くようである。
「あ、あの。ジオさんって強いんですか?」
「ん? あぁ。俺達の年度で学園に入った人間で剣技と回避能力は敵う奴はいない」
「……す、凄い人だったんですね」
ティアナはジオがまともに動いている姿を始めて見るため、目を白黒させているとフィルは表情を変える事なく、ジオの能力の高さを彼女に伝えると、
「そう言えば、昨日、現れた人もジオさんの事は知っていましたよね? フィルさんの相棒とか言ってましたけど」
「ん? 幼なじみだからな。それに俺と組んで依頼を受けようとする人間はいなかったからな。あいつはそんな事を気にしなかったし、自然とあいつと組むようになっただけだ」
「フィルさんとジオさんは親友なんですね?」
「さあな。そんな事は考えた事もない」
ティアナは昨日の襲撃犯がジオの事をフィルの相棒だと言っていた事を思い出すとフィルは特に考えた事はなく、自然にジオと組む依頼が多くなったと言い、ティアナはフィルの様子に表情を和らげ、
「羨ましいです。私は村にお友達って言える子もいませんでしたから」
「……まずは同年代がいなかったからな」
「小さな村ですからね。仕事もないのでみなさん、大きな街へ行ってしまいますから、特に今回みたいな事があるとわずかな収入もなくなってしまいますし、生活ができなくなりますから」
「世知辛いな」
「そうですね」
ティアナはフィルとジオの関係が羨ましいと言うとフィルはティアナの村の様子を思い出して言うとティアナは村の状況を思い出して心配そうな表情をすると、
「おかしな事を考えているヒマがあったら手を動かせ、少なくとも今はお前は村を救える可能性のある事をしているんだ」
「そ、そうなんですけど、あまり、役に立っていないですし」
「いやいや、少なくともフィアよりは役に立っているって」
フィルはティアナの考えている事が手に取るようにわかるようで言葉は足りないが彼女を励まそうとするがティアナはほとんどをフィルがやっているため、自分は役に立っていないと言うがジオが戻ってきたようでティアナは役に立っていると言い、
「ジ、ジオさん、な、何をしているんですか!?」
「意識を保っていると結界内に連れてこれないから、剣の鞘の先をこうやって」
「ほ、方法を聞いているわけじゃありません!?」
ティアナはジオの声に彼の方を向くとジオの手は白目をむいたフィリアが引きずられており、ティアナは慌てるがジオはその場でどうやってフィリアを撃退したか説明をしようとするがティアナはジオの行動に声を張り上げる。