第48話
「あの。フィルさん」
「ん? どうかしたか?」
「そう言えば、フィアさんがジオさんを追いかけて行きましたけど、結界から出てしまったら、戻ってこれるんですか?」
フィルとティアナが並んで夕飯の続きを作っているとティアナは昼間に結界外に出た時にテントの位置を確認できなくなった事を思い出したようでフィルに聞くと、
「とりあえず、ジオは問題ないから飽きたら帰ってくるだろ」
「フィアさんは放置ですか?」
「しばらくは放って置けばいい」
フィルはジオは結界の中に戻ってくる方法は知っているようで問題ないようだが、フィリアはジオに撒かれたら戻ってこれないかも知れない言い、ティアナはフィルの様子に苦笑いを浮かべる。
「まぁ、ジオの事だ。きちんと引きずってくるだろ」
「引きずってくる?」
「あぁ……見てみろ」
フィルはジオならフィリアを置いてくる事はないと言うがその言葉は少しおかしくティアナは何かが引っかかったようで首を傾げるとフィルは完全に真っ暗になっている場所を指差し、
「……今更ですけど、この中で良く追いかけっこができますね」
「まぁ、一応は闇夜でもある程度の視界は維持できるようなマジックアイテムは渡してあるからな。ん? そう言えば、ティアナには渡してないか? 帰ってからだな」
「そ、そんな悪いですよ!? さっきも首飾りをいただきました……あ、フィルさん、これってどんな効果があるんですか?」
ティアナは闇の中でジオとフィリアの声だけが聞こえるため、感心したように言うとフィルは闇夜でも視界が維持できるマジックアイテムがあると言い、学園に帰った後にティアナの分も用意すると言うとティアナは慌てて遠慮した時、昼間にフィルから渡された首飾りにどんな魔法式が込められているのかと聞く。
「ん? 別にたいしたものじゃないが、攻撃の魔法式を自動で感知して魔法障壁を張るだけだ」
「……あ、あの。もの凄く凄いものだと思うんですけど」
「ん? そうだな。売れば4、5年は遊んで暮らせるかも知れないな」
「お、お、お、お返しします!?」
フィルは首飾りの説明をするとティアナは予想以上に凄いマジックアイテムだったため、顔を引きつらせるがフィルはそうでもないと言い、首飾りが市場に出た時の相場を話すとティアナはこんな高価なものを受け取るわけにはいかないと慌てて首飾りを外して返そうとすると、
「気にするな。遊ばせておくよりは誰かが使っていた方が良いだろ。それに現状では依頼に出る時の装備を整えるまでの余裕がないんだ。持っていろ。要らなくなったら売れば良い」
「そ、そうじゃなくて、こんな高価なものなら、フィルさんが使えば良いじゃないですか?」
「……ティアナ、考えろよ。そのアイテムは女物だ。俺にそれを付けて歩けと言うのか?」
フィルは自分には必要ないから、ティアナに使えと言うがティアナは首飾りの相場を聞いてすでに浮足立っており、フィルに押し付けるように返そうするがフィルは首飾りは女ものであるため、自分には装備しづらいと言う。