第46話
「……始めるぞ」
「はい」
フィルはティアナに声をかけるとティアナは大きく頷いた後に深呼吸をすると、2人は呪歌の詠唱を始め、魔光石が輝きだし、暗くなったグラン大平原は魔光石の輝きで幻想的な光景を映し出し始める。
「へぇ、キレイね……ねえ、ジオ、昨日はこの光景をあの2人で見てたわけよね? 何か進展とかなかったわけ?」
「……あると思うか? 今までだって研究室で2人の時間があったのに何も変わらないんだぞ」
「それもそうね」
フィリアは幻想的の光景に昨日の夜のフィルとティアナの姿を思い浮かべたようで何か進展があったのかとジオを突くがジオはそんな事はないと言い切り、フィリアは納得したようで大きく頷いた時、
「あれ? フィルの呪歌が変わった?」
「そうだな」
フィルは呪歌に込めている魔法式を変更したようであり、光輝いていた魔光石の光が様々な色に輝き始める。
「2種類じゃないじゃない。何か、いろんな色の光を放ってるわよ」
「大きく分けてと言ってただろ。少なからず、俺達にはわからない何かがあるんだろ」
「そうなの? あんな事を言っといて何もわかってないんじゃないの?」
様々に光輝く魔光石にフィリアはフィルがトラップの魔法式は2種類と言っていたはずなのに様々な色に輝いている魔光石にため息を吐くとジオはフィルにだけわかるものがあると言うとフィリアは首を傾げるが、
「ん? 次の段階に移ったみたいだぞ」
「ホントみたいね」
魔光石の輝きを遮るような球体が現れ、次々と魔光石を飲み込んで行き、フィルが選別している条件は理解できないようだがジオとフィリアはその様子に苦笑いを浮かべ、魔光石の輝きの数が半分に減った時、
「……ティアナ、ここまでだ」
「は、はい」
「フィル、これはどうやって分けたの? 色で分けたわけ? でも、同じ色はなかったけど」
フィルは今日はここまでだと言って呪歌を遮り、ティアナは大きく返事をするとフィリアはフィルが何を基準に魔光石を集めたかと聞く。
「何? 何と言われるとトラップの魔法式としか言う事はないぞ。だいたい、何度も同じ事を言わせるな」
「……それをわかるように言いなさいって言ってるのよ」
「このやり取りもなれてきましたね?」
「いつもの事だからな」
フィルはフィリアの言葉に何故、何度も同じ事を説明しなければいけないと言いたげに眉間にしわを寄せるとフィリアはフィルの説明はわかりにくいと言いたげに睨み返し、その姿にティアナとジオは苦笑いを浮かべて、
「フィル、今日はここまでなんだろ。それなら、休まないといけないだろ。休まないと魔力は回復しないわけだし」
「そうですよ。昨日もほとんど眠ってないんですから」
「いや、せっかくだからな……」
昨日からあまり眠っていないフィルの体調を心配しているようでフィルに休むように言うがフィルはもう少しやる事があると言うと目をつぶり、自分の中に残っている魔力の現存量を確認すると魔法の詠唱を始め出し、その詠唱に反応するように魔光石を飲み込んだ球体がはじけ飛んで行く。