第39話
「意味がわからないじゃないわよ!! こんなわけのわからない魔法を使ってるならちゃんと説明しなさいよ!!」
「説明? ジオが遠くに行くなと言ったはずだが」
「そうじゃないでしょ!! どんな効果があるからとか説明をしなさいって言ってるのよ!!」
「フィア、何度も言わせるな。お前に魔法の説明をするのは無駄な行為でしかない」
フィルの態度がフィリアは頭にきたようで感情に任せて彼を怒鳴りつけるがフィルは必要な説明は済ませていると言い、その言葉が彼女の怒りに更なる油を注ぐ事になるがフィリアとは正反対でフィルの反応は薄く、
「無駄? 無駄ってどう言う事よ!!」
「……そのままだ。何より、このやり取りが無駄だ。ティアナ、バカは置いて戻るぞ。ジオが昼食の準備を手伝って欲しいと言っているんだ」
「えーと、フィルさん、本当に良いんですか?」
フィリアの怒りは限界にきたようで大声をあげて叫ぶとフィルは相手をする気もないようでティアナについて来いと言い、歩き始めるがティアナはフィリアの様子に苦笑いを浮かべながらフィルに聞く。
「良いも悪いもないだろ。だいたい、このやり取りはこいつが俺の依頼についてくると毎回、行っているやり取りだ。基本的にフィアは魔法に関して学習意欲が欠如している必要でも面白くないから、自分には必要ないからと言って覚えようとしない。言わば、自業自得だ」
「……」
「と言う事だ。ここで無駄な時間を過ごしている気なら、俺は戻るぞ」
「待ちなさい。あんた、許さないわ。いくらなんでも、バカにしすぎよ!! あんたなんか魔法がなければ何もできない。女の私の足元にも及ばない貧弱なモヤシ男のくせに!!」
「……」
フィルはフィリアに怒鳴りつけられる覚えはないと言い、1人で先を進もうとすると、
フィリアはフィルを挑発し、その一言で先ほどまで冷静だったフィルの眉間が小さく歪み、
「フィアさん、落ち着いてください!? それは今は関係ありません」
「ティアナ、止めないで、こいつが私をバカにしたのが悪いのよ。そうよ。そうにきまって」
「るか」
「いだ!? ジオ、あんた、何をするのよ!!」
ティアナはフィリアを押さえて落ち着くように言うがフィリアの気は治まらないようでフィルを悪者にして自分を正当化しようとした時、結界の中にもフィリアの無様な声が響いていたようで呆れ顔したジオがフィリアの言葉を遮るように彼女の頭に拳骨を落とすとフィリアの怒りはジオに向けられる。
「何をするじゃないだろ。言い方に問題はあるがフィルの言い分は確かだろ。どの種類の魔法が使えるかは得手不得手があるが基礎を知れば一般的な魔法の対処方は考えられるそれを疎かにしているのはお前自身だろ。だいたい、文句があるなら、俺とフィルの依頼に付いてくるな」
「……」
「……お前は子供か」
ジオはフィリアの様子に何度も同じ事を言わせるなと言うがフィリアは自分は悪くないと言いたげにジオから目を逸らし、ジオはフィリアの様子に大きく肩を落とすと、
「えーと」
「……なんだ?」
「何でもないです。気にしないでください。ジオさん、それくらいにしましょう。フィアさんも戻りましょう」
ティアナは今のフィリアの様子が体力のなさをバカにされてフィリアに向かって言ったフィルの姿と重なったようで苦笑いを浮かべながらフィルに視線を向けるがフィルは彼女の視線の意味がわからないようで聞き返すとティアナはくすりと笑うとジオとフィリアに間に割って入る。