第38話
「じょ、冗談じゃないわよ。すぐそこに2人がいるかも知れないのに私達はフィルとジオに気付かないって事? それってかなり間抜けじゃないの?」
「で、ですよね。でも、2人からは見えるなら、フィルさんとジオさんが気づいてくれれば……ジオさんって何をしてましたっけ?」
「襲撃の後から私達が起きるまで見張りをしてたみたいだし……寝てるかも」
フィリアは今の状況がかなり恥ずかしい状況であり、大きく肩を落とすとティアナははぐれたわけではないため、テントのそばにいる2人が気づいてくれればと考えるがフィルは研究をしている限りは気付かないと思い、フィリアにジオがどうしていたかと聞くフィリアは眉間にしわを寄せて寝ているかも知れないと言う。
「そうですね……あ、あの。そう言えば、これってなんだと思います?」
「フィルがくれた首飾り? ……あのバカ、渡すだけ渡して、使い方とか何1つも言わなかったわよね?」
ティアナは困ったように笑うとフィルから渡された首飾りは魔法の品だと言う事を思い出してフィリアに聞くとフィリアは首飾りを覗き込むが、フィルからはこれと言った事を言われなかったため、使い方がわからないと言うと、
「他に何かなかったかな? 後はフィルさんから習った呪歌だけどあれは精霊力に反応するだけだし、歌ってみますか?」
「……フィルの話を聞いていたら、それをすると状況は悪くなりそうな気がするんだけど」
ティアナは幻術がかけられていると言う事で何かできないかと考えるが彼女にできる事は限られており、呪歌を使ってみるかと言うとフィリアはフィルから聞いた話を思い出してティアナを止め、
「とりあえずは戻ろうか。近くまで行けばいくらなんでも気づくだろうし」
「そうですね」
「ちょっと、ティアナ、どっちに行くのよ。私達がきたのはあっちでしょ」
「何を言ってるんですか。私達はこっちからきたんですよ」
「「……」」
フィリアはきた方向に戻ろうかと言うが2人はお互いに違う方向を指差し、2人は考えたくない事がよぎったようで顔を見合わせる。
「……迷った? 直ぐそばにフィルもジオもいるはずなのに」
「ど、どうしましょうか?」
「待って。まずは落ち着かないとここの前に居たのはそこでしょ」
「はい。そこに掘った穴がありますし、でも、いくつか前はわかりますけど、途中までしか戻れないですよ」
ティアナは自分達の状況に大きく肩を落とすと2人で植物の採取先でわかるところをたどって行こうとするがあまり進む事は出来ず、直ぐに行き詰ってしまい、
「……間抜けすぎるわ」
「そ、そうですね」
「……お前らはいったい何をしているんだ?」
2人はテントに戻ることができないため、自分達の姿の間抜けさにため息を吐くと、2人の様子に気づいたようでフィルが2人に声をかけ、
「フィ、フィルさん? よ、良かったです」
「フィル、私はあんたに文句が言いたい事がたくさんあるんだけど良いかな?」
「……意味がわからないんだが、とりあえずは落ち着け」
ティアナはフィルの姿に安心したような表情をし、対照的にフィリアは眉間にしわを寄せるがフィルは意味がわからないと言う。




