第35話
「……ティアナ」
「は、はい。あ、あの。それっどう言う事ですか? 詳しく教えてください」
フィリアはこれ以上、フィルとジオにバカにされたくないようで自分が理解できない事をティアナに聞かせようと彼女の名前を小さな声で呼ぶとティアナは慌ててフィルに説明をして欲しいと言うが、
「……フィア、知りたかったら自分で聞けよ」
「……お前は理解できたんだろ。それなら、どこかへ行ってろ」
「えーと?」
当然、フィルもジオもフィリアの考える事などお見通しのようであり、フィルは聞く気がないならどこかに行けと言うとティアナは3人が改めて、幼なじみだと言う事を実感したようで苦笑いを浮かべると、
「あ、あんた達、私をいじめて楽しいの!!」
「被害妄想は止めろ」
フィリアは自分への態度が悪いと叫ぶがフィルは表情を変える事なく、フィリアの思い過ごしだと言い、
「説明するのはかまわないが、これに関しては言葉の通りでそれ以上もそれ以下もないからな」
「そうなんですか?」
「それに使える呪歌も合さないといけないと考えるとティアナ特有の治癒の呪歌を使える人間は他にいないとなるとあまり、使いようがないしな。小規模パーティーが戦闘時に2人で呪歌を使っていたら」
「……惨劇しか起きないわね」
「確かになぁ」
フィルは説明を求められてもこれと言って話す事はないと言うとあまり使えないと言った理由を話すとジオとフィリアは納得してようで苦笑いを浮かべる。
「まぁ、戦闘以外では使える事も出てくるとは思うが現状では何も言えないな。ティアナの使える呪歌の数が限られているわけだしな」
「そうなんですか? 少しでも役に立てる事ができたかと思ったのに」
フィルはこれ以上の事は研究室に戻ってからだと言うと朝食を食べ終えたようで作業に戻るのか席を立とうとするとティアナは地質調査と言う依頼に付いてきたものの自分は何も役に立ててないと思っているようで肩を落とし、
「気にするな。少なくともお前の呪歌で見えてきているものもある。それを今は話せる段階ではないだけだ。お前のその力がこれを解決する手助けになる」
「ほ、本当ですか? ……フィルさん?」
フィルはティアナの様子に彼女の呪歌がこの事件の手助けになると言うとティアナはフィルの言葉に驚きの声をあげるがすでにフィルは歩き始めており、
「……あいつは返事を待つと言う事はできないの? 珍しく、優しい言葉をかけたのにどうして自分で台無しにするのよ?」
「まぁ、慣れてないってのもあるかも知れないけど、本当にティアナの呪歌が事件を解決するカギを持っているのかも知れないな。何もないなら、ティアナの呪歌に付いて何かわかっても何も言わないだろうし」
「……それも否定できないわね。それより、ジオ、あいつが調べ物をしている間、私達は何をしてれば良いの? まさか、ただ時間を潰しているだけとか言わないわよね?」
「何もやることがないなら寝てたら良い」
「……本当にフィル頼みの依頼なのね」
フィリアはフィルの背中を見て大きなため息を吐くとジオは苦笑いを浮かべて、照れ隠しかも知れないと言うがそれよりは本当にティアナの呪歌に何かあるのかも知れないと言い、フィリアはジオに何かやっておく事はないかと聞くがジオはやる事は自分で決めるように言うと自分とフィルの食器を持って行き、フィリアは顔を引きつらせる。