第33話
「お、おはようございます」
「あぁ、おはよう。今、コーヒーの準備をしているから顔を洗ったら、フィルに持って言ってくれるかい?」
「は、はい……あ、あの。フィルさんはあの後」
「1時間くらいは寝てたよ。と言うか寝かせたよ。流石に徹夜をさせるわけにもいかないしね」
ティアナが目を覚ますとジオは既に朝食の準備に取り掛かっており、ティアナに顔を洗った後にフィルにコーヒーを持って行くように頼むとティアナは頷くがフィルの昨日の様子では一睡もしていないのではないかと心配になったようでジオにフィルの事を聞くとジオは苦笑いを浮かべる。
「1時間ですか……」
「まぁ、多人数の探索なら人数をかけて警戒もできるけど今回は4人の小規模パーティーだから、仕方ないよ」
「それって、私も起きてられれば良かったんですよね? 何の役にも立てなくてすいません」
ティアナはフィルの健康状態が気になるようで目を伏せるとジオはティアナを気遣うがその言葉でティアナは自分が何をできていない事を申し訳なく思ってしまったようであり、ジオは彼女の様子に困ったように笑うと、
「……仕方ないだろ。初めてなんだから、ジオ、コーヒーをくれ」
「ん。もうちょっと待ってくれ」
「フィ、フィルさん?」
フィルはあまり眠っていないためか眠気が出てきたようでコーヒーを取りに来て、ティアナに声をかけるとジオは1人で落ち込んでいるティアナの相手をするのは大変だったようで助かったと言う表情をしてフィルにティアナを押し付けるようにコーヒーを3人分淹れ、ティアナはフィルが現れた事に驚きの声をあげるが、
「どうかしたか?」
「い、いえ、おはようございます」
「あぁ。おはよう」
フィルはティアナの様子に首を傾げるとティアナは慌てて、フィルに朝の挨拶をするとフィルも挨拶を返し、
「ジオ、ティアナ、あのバカはまだ寝てるのか? 相変わらず、図太いな」
「まぁ、仕方ないだろ。一応はフィアは依頼を受けているわけじゃないからな。依頼のメンバーに追加した事も話してないんだろ?」
「当たり前だ。それくらいも気づけないからバカ女と言われるんだ」
「あ、あの。依頼のメンバーに入れてきているなら教えてあげないから、やる気を出さないんじゃないですか?」
フィルはまだ起きてきてもいないフィリアの様子にため息を吐くとジオはフィルの行動に問題があると笑うがフィルはフィリアに問題があると言い切り、フィルの様子にティアナは苦笑いを浮かべる。
「知るか。人数が増えると申請できる金が変わるんだ。あのバカの食費くらいは回収しないといけないだろ。名前を使っただけでポイントが入るんだ。問題はないだろ」
「まぁ、確かにフィアは依頼にかかる費用計算とかしないからな。後で請求して文句を言われるよりは楽で良いな」
「そ、そうなんでしょうか?」
フィルは自分の懐は痛くないと言うとジオもフィリアから言われるであろう文句を考えると当然だと同意をするがティアナだけは納得できないようで首を傾げており、
「まぁ、気にしない方向で、それより、ティアナ、顔を洗ってこなくて良いのかい?」
「へ? ……し、失礼します!!」
「ん? ティアナはどうしたんだ?」
「女の子は大変なんだよ」
「……意味がわからんな」
ジオはティアナの様子に苦笑いを浮かべるとティアナに寝起きのままで良いのかと聞くとティアナは顔を真っ赤にして逃げるように行ってしまい、フィルはそんな彼女の様子に首を傾げる。




