第23話
「フィルさん、これだけ、明るく光るって事はこの石には精霊さんがたくさんいるって事ですよね?」
「……簡単に言えばそうだが、もう少し言い方はないのか?」
「す、すいません!?」
ティアナは光輝く石を覗きこんでこの石の中には精霊の力が多く込められているのかフィルに確認するとフィルはティアナの言葉使いにため息を吐き、ティアナは慌てて頭を下げ、
「細かいわね。良いから説明しなさいよ。これが原因なんでしょ」
「あぁ……これの呼び方は魔石、魔法石、精霊石と魔光石と言った、似たような名前で呼ばれている石なんだが、まぁ、一先ずは魔光石で統一するか」
「……フィル、そこは重要なのか?」
フィリアはフィルとジオが自分を女の子扱いしない事に不満があるようで不機嫌そうな表情で早く説明をするように言い、フィルは光輝く石を『魔光石』と呼ぶ。
「別に重要でもないがバラバラに言うと頭がこんがらがる人間がいるだろ。だいたい、説明をしても理解できるかが疑問なんだからな」
「まぁ、あまり難しくするな。正直、俺も付いて行ける自信はない」
フィルは3人の顔を見回した後、説明する意味があるのかと言うとティアナとフィリアはフィルから視線を逸らし、ジオは苦笑いを浮かべると、
「簡単に言えば、魔力や精霊力の結晶体だ。本来なら自然に魔力や精霊達が集まるところで長い年月をかけて生成されるものなんだがな」
「ちょっと待って。長い年月をかけてって言うけど、いくつか強い光を発してたところがあったわよね。そこにもこれと同じものが埋まってるって事よね? それにこの場所は特に魔力が集まるって場所じゃないんでしょ? それじゃあ」
「……さっきも言ったがどこかのバカが作為的にこれを起こしているんだろ」
フィルは魔光石が生成されるには長い年月がかかると言う話をするとフィリアは先ほどのフィルの呪歌でグラン大平原は多くの場所が光輝いていた事を思い出し、この場所で魔光石がある理由は推測する事が出来たようだがはっきりと言う勇気はなかったようで言葉を濁すがフィルは表情を変える事なく言い切り、
「な、何の意味があってこんな事をするんですか!!」
「ティアナさん、落ち着いて。フィル」
ティアナは自分の村でも同じように魔光石を作り出している人間がいると知ると村の状況を思い出して怒りがこみ上げてきたのかフィルとの距離を詰めるとジオがティアナを押さえつけてフィルに続きを説明するように言い、
「……意味か? 推測できる事で良いなら教えても良いが、あまり良い事ではないな」
「だろうな。わざわざ、こんな手のかかる事をしているんだ。頃合いを見て魔光石を回収してしまえばここら辺の精霊達はいなくなってしまう。そうなれば国力は低下するしな」
「あぁ。それに魔光石は魔力や精霊力の塊だ。魔術師から見れば自分の魔力を維持したりするのに重要な道具になる。人工的に生成する方法を見つけたらなら、敵にはダメージを与え、自分の戦力は増強できる」
「ちょっと待ちなさいよ。話が大きくなりすぎよ!! あんたが言うのはこのままだと戦争が起きるって言ってるようなものでしょ」
「せ、戦争ですか?」
フィルは魔光石を人工的に作り出している人間の目的で推測される最悪の物を話すとフィリアは声を上げ、ティアナは現実味はないようではあるが『戦争』と言う言葉に顔を青くする。