第12話
「どうしてよ。認めたくはないけどこの学園と言うかこの国最強の魔術師のあんたがいればティアナの生存率は確実に上がる。あんたと依頼を受けてくれる前衛は私やジオ、他は変わりものや能力主義者のあんたを卑怯者扱いしない人間達。普通に考えてベストの回答でしょ」
「この件に関してはフィアに賛成だな」
「……あのなぁ。それこそ、俺に言うのは筋違いだろ。こいつの面倒がみたいならお前らが勝手にやれ」
フィリアはフィルがわずかながら持つ人間関係の中にティアナを組み込む方が良策だと言うとジオも同意見のようであり、2人の様子にフィルは頭を抑えるが、
「あ、あの。フィルさん、この研究室で、フィルさんは何を研究しているんですか?」
「あ? 別に決まった事はしてない。気が向いた時に気が向いたものをする。在学中に居座れるだけのものは残してあるからな」
「そ、それじゃあ、こう言うものを研究している研究室はありますか?」
ティアナは何か考えがあるのかフィルに研究室で行っている研究内容を聞き、フィルは彼女の質問の意味が理解できずに首を傾げるとティアナは先ほどフィルがお湯を沸かすのに使った道具を指差す。
「……それを聞いてどうする?」
「魔法学科で研究室に所属しないといけないなら、私は自分が学びたいものを学びたいです。ここにきて依頼とかいろいろと聞かせて貰いましたけど、攻撃魔法の研究とかより、誰かの生活の支えになるような研究がしたいです」
「……あのなぁ。こんなものを研究したって他の奴らから言われる事は『役立たず』と言われるだけだぞ。この学園は戦う術を学ぶところなんだからな」
「き、きちんと他の講義は受けます。ご、ご迷惑にならないようにします」
フィルはティアナの指の先を見て眉間にしわを寄せるとティアナはフィルが作った道具の事を研究したいと告げるとフィルは研究しても何も役に立たないと言い切るがティアナはすでに決意を固めたようでフィルに向かい深々と頭を下げ、
「決まりだな」
「決まりね」
「……おい」
ジオとフィリアはフィルの両肩を叩きながらフィルにティアナの出した答えに応えるべきだと言うとフィルは頭が痛いようで眉間を指で押さえ、
「良いじゃない。人には向き不向きがあるんだし、ティアナには攻撃魔法とかは似合わないし、こう言うのを研究してても」
「確かにな。あまり、歌の事もわからないけど『癒しの歌』を歌えるティアナには攻撃魔法の適性があるとは思わない」
「そ、そうですよね。私は攻撃魔法とか似合わないですよね」
「……おい。それを自分で言うのはどうなんだ? だいたい、似合う、似合わないではなく、魔法学科では必須項目だ」
ジオとフィリアはフィルの様子に苦笑いを浮かべて、ティアナは攻撃魔法を似合わないと言うと言われたティアナは大きく頷くがそれは決して誉められている事ではないため、フィルは大きく肩を落とすと、
「……勝手にしろ。だけどな。ジオ、フィア、お前らがこいつを丸めこんだんだ。お前らで責任を持てよ。俺は知らんぞ」
「大丈夫だ。魔法関係は全部、フィルに丸投げするから」
「まぁ、適材適所だな」
「……」
フィルは面倒になったのか勝手にしろと言うとジオとフィリアはフィルの言い分など聞く気はなく、フィルは納得をしないままティアナの所属研究室はフィルの研究室に決まる。