第11話
「……お前の村の近くで起きている植物の異常な枯れかた。それに魔物の襲撃。俺とジオ達が村に立ち寄った時は村はかなりひどい状況だった。今年の収穫など期待できないだろ。そこにお前の地質調査への食いつきを見れば誰だって予測できる。村が一冬を越すためにお前は準備金を置いてきたんだろ。それくらいの額は出てるはずだしな」
「……はい。村のみんなが村の状況に絶望していた時に特待生の話を持ってきてくれた担当の方がそうすれば良いって」
「……お前は村のために犠牲になった。ウチの国のバカどもが好きな話だ」
フィルは自分とジオが受けた依頼と立ち寄ったティアナの村での状況から簡単に推測できると言うとティアナはうつむき、仕方ない事だったと言うがフィルは吐き捨てるように言うと、
「……依頼を受けるためには仲間になってくれる人間。一緒に依頼を受けてくれる人間を探さないといけない。しかし、ここは研究室の外れであり、『卑怯者』の研究室だ。俺に関わればともに依頼を受けてくれるような人間は出てこない。まぁ、依頼によっては指定人数に達しないとできない依頼もあるからな。それを狙えば依頼を受ける事はできるが連携やできないと生き残る確率は減る。それに考え方が過激な奴らなら、後衛の重要さがわかる前衛がいるならまだしも、前衛しか信じないと言うような奴らの中に入ってしまえば魔術師は使えないから『捨て駒』になれと平気な顔をして言う」
「そ、そんな」
「この国はそう言うところだ」
フィルは仲間探しをするのは依頼を受けて生き残る上で必要な事だと言うとティアナの顔は自分が考えていたよりこの学園は『死』と言うものに近い場所であった事に顔を真っ青にするがフィルは冷静な口調で言い、
「……お前はこの国の人間ではないんだ。当たり前になっているものに従う必要はないはずだ。なら、生き残る確率が最も高くなるようにするべきだ。ここにいてはそれができない」
「で、でも……私が特待生になったのは私を推薦した人がいるんですよね? それって、フィルさんじゃないんですか?」
「……お前は勘違いしている。俺やジオはお前を特待生に推薦した事はない。俺達の話を立ち聞きしていた奴がいるんだろ。わざわざ、死ぬかも知れないところに何もできない人間を招きいれるなんてするわけがないだろ」
フィルはティアナにはこの国の『自己犠牲』には従う義務はないと言うとティアナはフィルが自分を特待生として推薦してくれていたと思っていたようだがフィルは自分達ではないと言う。
「そ、それじゃあ、誰が?」
「さあな。考えられるのは俺達以外に村にいた魔物からの襲撃に対処していた奴らか、他には……」
「フィルさん?」
「いや、何でもない」
ティアナは自分を推薦したのはフィルではないと知り、誰が推薦したのかとフィルに聞き返すとフィルは少し考えるとティアナにとって良くない答えも導き出したようで言葉を濁すと、
「俺の説明はここまでだ。俺が他の研究室を探せと言った意味も理解できただろ」
「そ、そうなんですけど」
「別に他の研究所を探す理由なんかないでしょ。あんたか私達と依頼を受ければ良いんだし」
「……フィア、お前はどうしてわざわざ面倒な道を薦めるんだ?」
フィルはティアナにもう1度、研究室の事は考え直すように言うがティアナは不安そうな表情をしてうつむいた時、長い間、話をしていたようで授業を終えたジオとフィリアが戻ってきてフィルがティアナのフォローしてやれば問題ないと言い始め、フィルはフィリアの言葉にため息を吐く。