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第10話

「あぁ、実際は無詠唱の魔法を使えばあいつのスキくらいはいくらでも付ける。それで倒しても俺の気が治まらない」

「た、確かにそうですね」

「ん? 沸いたな。ほら、戻れ」

「は、はい」

 フィルは魔法を使えばフィリアを倒す事など簡単だと言い切るとティアナは話を合わせようとしたようで大きく頷いた時、火にかけていた水が湯気を出し始め、フィルは2人分のコーヒーを淹れてカップの1つを渡すと2人はソファーに戻り、

「それで、依頼の話の続きだな?」

「はい。お願いします」

「あぁ。さっきも言ったが俺達学園に所属する生徒は学園か国から依頼を受ける事がある。内容としてはこの国が近隣の村や町、他国からの要請を受けた事、調査や山賊、魔物討伐を言った感じの依頼がほとんだ。それを受けるのは学生課に顔を出せば良いんだがここは省く。依頼を終わらせると依頼の内容に応じたポイントと賞金が与えられる」

「ポイント?」

 フィルはティアナに依頼の説明を続けて行くとティアナは依頼を終了させた時に貰えると言うポイントの意味がわからないようで首を傾げる。

「そのままだ。そのポイントを単位に変換する事もできる。実戦は何よりの勉強だと言う人間もいるからな。それとそのポイントは単位に変換しても累積されて行き、この学園を卒業した時に城の兵士や宮廷魔術師を狙うに当たっては重要になって行く」

「あ、あの。それじゃあ。兵士とかになりたくなければ依頼は受けなくても良いんじゃないですか?」

「ポイントとそれは別だ。ここは王立だからな。税金で成り立ってはいるがさすがに全国民を賄えるほどに国の財政は落ち着いていない。他の国からの人間でも希望すれば入学を許しているのは収入のため、調査や山賊、魔物討伐に正規兵を出すよりは出費を抑えられるし、他国や近隣の村や町からの信頼や報奨金が得られる。それを学生が受けてくれれば収入につながる。この学園を維持するために学生には依頼と言う形で仕事を受けて貰う。それを義務化するのが依頼だ」

「あ、あの。確かにそれはわかりますけど、学生が仕事を受けて失敗したら、依頼を受けた学生が死んでしまう事だって」

 フィルは学園を維持するために必要な義務であると言うとティアナは依頼が学生の手に負えない事であり、学生が死んでしまった時の事を考えたようでティアナは顔を真っ青にすると、

「……その時は正規兵を出せば良い。依頼を受けて学生が死んでも国や仲間を守ったんだ。名誉な事なんだろ」

「そ、そんなのって、まっ!?」

「……そこから先を言うな。お前はこの国の人間ではないが、この国の人間にとってそれは当然の事なんだ。それをできない人間は『卑怯者』でありこの国にとっては『恥』でしかない」

「……で、でも、フィルさんも納得ができてないんじゃないですか?」

 フィルはティアナが何を言いたいか理解しているようで感情を殺したかのように淡々とした口調で学生が命を落とすのはこの国にとっては当たり前の事だと言うがティアナは納得ができないようで声を張り上げようとするがフィルは彼女の口を手で塞ぐとその当たり前の事が出来なかった両親への恨みを吐き出すかのように言い、ティアナはフィルの表情に彼の中にある『闇』を感じ取ったようで不安そうな表情で聞き返すが、

「……納得する。納得しないじゃない。それがこの国なんだ。だからこそ、お前をこの国に招き入れた。特待生の準備金やその他モロモロ、直ぐに準備金が底をつく訳がないだろ。お前は準備金を何に使った? お前はその上でここにいるんだ。文句を言える立場ではないだろ?」

「ど、どうして、それを?」

 フィルはティアナが特待生を受け入れる経緯に至ったのかを理解しているようであり、ティアナはフィルの言葉に視線を逸らして口どもってしまう。


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