第9話
「それじゃあ、とりあえず、そこに座っていろ……おい。コーヒーで良いか?」
「は、はい」
「砂糖とミルクは?」
「い、いただきます」
フィルは説明がある程度時間がかかると思ったようで頭をかきながら立ち上がるとティアナにソファーに腰をかけるように言い、部屋の隅に取り付けてある簡易キッチンに向かって歩き出し、2人分のコーヒーを準備するために水を温め始めていると、
「あ、あの。それってなんですか?」
「ん? それ?」
ティアナはフィルがコーヒーを準備している姿にティアナは不思議に思う事があったようで首を傾げるとフィルはティアナが何に疑問を持っているかわからないようで首を傾げるが、
「ど、どうして、その箱は火が点いているのに燃えないんですか? と言うか薪を使わなくて良いんですか? だいたい、どうして、こんな部屋で火を使ったら火事になりませんか? 火を使うならそれなりの設備が」
「……あぁ。悪い。そこからか」
ティアナは自分が今まで生活してきたなかで見た事のない道具が火を点けている事に驚きの声を上げ、フィルは眉間にしわを寄せ、
「これは古い魔法文明の書物から再現したものだ。火の精霊の力を借りて簡易的な釜戸を作りだすんだ。他にもいくつか魔法を使った仕組みがあってな。火事にはならないから安心しろ」
「そうなんですか?」
「まぁ、扱える人間は限られているから一般向けではないけどな……どうした?」
「い、いえ、こう言うのがどの家にもあれば便利だと思って、村のお年寄りには薪を運ぶのも大変なんで」
自分が使っている道具に関して簡単な説明をするとティアナはその興味があるようでフィルの隣に移動しており、自分が住んでいた村のお年寄りの事を考えたようで苦笑いを浮かべる。
「そうだな。一般的に出回れば便利ではあるな……まぁ、量産は無理だから、そんな事を心配しても仕方ない」
「どうしてですか?」
「発動するのにある程度の魔法の心得がないといけない。魔法の心得のない人間には扱う事ができない上に、これを作っている部品は古代の魔法文明の遺跡から発掘した物がほとんどだ。同じ物を今の時代に作るのは不可能に近い」
「不可能ではないんですよね? それもフィルさんならどうにかできるんじゃないですか?」
フィルはティアナの考えも理解はできるが簡単にできる事でもないと言うとティアナは若くしてすでに魔法学園の教師資格をも取得しているフィルにならどうにかできるのではないかと言うと、
「何度も言わせるな。現状では不可能だ。できるかわからない事をできると言うほど俺は愚かではない」
「できないことをできるって、フィルさん、フィアさんに敵わないのに向かって行きますよね?」
「……」
「あ、あの。フィルさん、大丈夫ですか?」
フィルはこの話は終わりだと言うがティアナは首を傾げながらフィルの心の傷を思いっきりえぐり、フィルはティアナの言葉にかなりの心的ダメージを受けるとフィルの様子にティアナは苦笑いを浮かべながらフィルに聞き返し、
「当然だ。ダメージなどない。それにあのバカ力女を倒す方法ならいくらでもある。ただ、直接、ぶっ飛ばさないと俺の気が治まらないだけだ」
「そ、そうなんですか?」
フィルはフィリアになど負けてないと拳を握り締めて言うとティアナはフィルの様子に苦笑いを浮かべる。