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バレンタイン

そうして一か月経って、普通に出社して仕事をこなす。

二月、これで柚葉さんとは付き合って二ヶ月は経つ。

相変わらず関係性は変わらずだがそれでも一緒に居られて楽しいし、今の所苦になることはない。

「橘さん」

「はい?」

「これ、どうぞ」

「ん?」

女子社員から手渡されたのはチョコレートだった。

「貰っていいの?」

「はい、部署は違いますけど前にお世話になったので」

「ああ、ありがとう」

部署が違うと言えば恐らく、佐伯関連だったのだろうが俺にはあんまり覚えがない。

「はい」

そう言って女子社員は居なくなった。

「おいおい、橘人気だね~」

「なんですか部長、貰えなくて僻んでるですか?」

「いやいや、私は妻と娘がいるのでね」

「仲がよろしいのは良いことですね」

「うん、毎年バレンタインにはチョコを作ってくれたんだけどね。もう来年で独り立ちだよ」

「それは寂しいですね」

「うん、最近では反抗期も無かった珍しい子だったから」

「良い子に育てたんですね」

「うん、でも最近連れて来た彼氏が出来たことにショックでね」

「やっぱりショックなんですね」

「そりゃそうだよ、まあ彼氏さんも良い子だからこそなんかね」

「娘を取られた気分ですか?」

「そうだね、いくつになっても可愛いものは可愛いからね」

「もし僕が娘さんの彼氏として挨拶に来たらどうです?」

「橘君は礼儀もあって酒も飲めるし、付き合いは良いけどね」

「やっぱりどんなに人が良くても、手に塩かけて育てたのは事実だし」

「そうですか」

「うん」

「やっぱりそうですよね」

「もしかして、結婚を考えてるとか?」

「まあ、それなりには」

「そっかそっか、まあ橘君なら大丈夫だと思うけどね」

「相手のお父さんがあんまり僕のことを気に入ってないみたいで」

「そりゃ大変だ」

「ですねよ」

「もし、そうなったらどうするのが良いんでしょう?」

「うーん、まあなんにせよ挨拶は早い段階でした方が良いね」

「分かりました」

「うん、何かあればなんでも相談して」

「はい」

そうしてまた仕事に戻ろうとしたら、廊下から大声が聞こえた。

「おーい、橘ちょっと来い」

この声は佐久間だ。

「なんだよもう」

俺は声の方に向かい廊下に出た。

「何?」

「何ってこっちこいよ」

「なんだよ」

手を取られ連れてこられたのは廊下に大勢の、社員がいた。

「なにこれ、どう言うこと?」

「いやいや、色んな部署の女子社員がチョコ配ってんだよ」

「え、まじ?」

「うん、で、それに釣られてこの多くの男が集まったってわけ」

「はー、こんなことあったっけ?」

「まあ毎年恒例だったけど、お前はいつも仕事に集中してなんか誘いずらかったんだよ」

「そうなんだ」

「うん、でも最近変わったよ橘」

「俺が変わった?」

「うん、前から仕事は出来た方だから皆、お前に仕事手伝ってもらってたし、それでいつも疲れた顔して多くの仕事量こなしてたから」

「そうだったんだ」

「うん、今は前と変わらずと言うよりもっと仕事量は増えたけど余裕あるし」

「そう見える?」

「うん、それで今年は誘ったってわけ」

「なるほどね、でも俺は…」

「あ、橘さん」

「え?嘘、私もあげたい」

「私も」

ぞろぞろと女子社員が俺の目の前に来た。

「え?」

「貰ってください」

「あ、はい」

俺はその圧に押されてどんどんとチョコが俺の手元に来る。

それを見て嫌そうな顔をする男性社員が後ろにいる。

「あの~、俺には?」

隣で羨ましそうな顔をする佐久間。

「あ、佐久間さんいたんですね」

「辛辣だね~」

「はい、チョコ」

「ありがとう」

そう言った瞬間に女子社員が消えていく。

「ん?」

「佐久間君」

「え、佐伯さん?」

「何かな~そのチョコ」

「え、いや~」

俺は直ぐにその場を離れた。

「え、ちょっと橘」

「佐久間く~ん、美味しそうだねそのチョコレート」

あいつと佐伯がそう言う関係だとは気付かなかったがそれでも俺はその場に居たくなかった。


そうして、家に帰るとドアの前で柚葉さんが立っていた。

「おーうおう、今日はバレンタインだね~」

「あ、これはその…」

「うんうん、話しはこのドアを開けてからゆ~っくりと聞くから」

「はい」

その時の柚葉さんの顔は見たこともないくらい怖かった。


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