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二時間遅れの出会い

マッチングアプリ、それは恋人や友達を探す最近の人間の流行りである。

そうして俺はそのアプリを使い恋人を探している。そう脱童貞!!。

現在二十代中盤、友達も片手で数えるほどしかいなくそれどころか彼女いない歴年齢になる。

そんな人生はもう御免だと思いマッチングアプリに手をだした。

始める前は自然の出会いが一番良いと考えていたが、学生の時にそんな出会いはなかった。

だがこうしている内に同級生は結婚そして子供が出来てる、そんな状況では俺も焦らずにはいられなかった。

友人の結婚式に出て自然とこのまま俺は一人孤独に死んでいく、そんな妄想で焦っていた。

でも俺は恋愛経験はなく女性に対してどう接していればいいのか分からない。

始めて数日で女性とマッチした。

俺は喜んでいた、写真は盛れてる画像を使った。

勿論詐欺ではない、ただビジュがいい時はそう言う顔をしているだけのこと、まあ角度とか色々問題はあるが。


そうして待ち合わせ当日、夜に会うとヤリモクだと思われるので昼間にあるのが良いとネットに書いてあったので十五時で今話題の渋谷のカフェに女性を誘った。

俺は十五時より五分前にハチ公前の手すりに腰かけていた。

そして、五分後。

時間丁度、少し電車が遅れているのかなと思いつつ待ってみる。

そして一時間

……十六時。そろそろ着くって連絡くらい、くれるよな

二時間。

……もう十七時か。……俺、これ、捨てられた?

あれから何度も連絡をしても連絡は帰ってこないどころか、既読にもならなかった。

「はー、これがドタキャンってやつか」

俺は寂しく下を俯きその場を去ろうとした時だった。

「あの?」

顔を上げるとびっくりするほどの美人が立っていた。

「はい?」

思わず声が裏返ってしまう。

「あの……もしかして、マッチングアプリで約束ぶっちされました?」

「え?」

「え、もしかして違いました?」

俺はもう情けなくなって素直に言うことにした。

「そうですけど」

どうせ美人局とかそう言う輩だと思い、今度こそ立ち去ろうとした。

「あの?」

「まだ何か?」

「実は私もドタキャンされちゃって」

「え?」

「えっと、その、傷心者同士今から飲みませんか?」

「はい?」

「変ですよね、ごめんさい。忘れて…」

「あ、いやいいですよ」

「本当ですか?」

「はい」

俺は一体どうしてしまったのか?

流石に恋愛経験がなくてもこんな怪しい誘い文句はないのに付き合うなんて。

「何処行きましょうか?」

「じゃあ今適当に店を見つけながら歩きますか」

「そうですね」


そうして数分歩いて、居酒屋チェーン店に入ることになった。

道中緊張して何も話せなかったが、これが悪いことではないことを祈りながら店に入って生ビールを注文した。

「乾杯」

「乾杯」

「そう言えばまだ名前聞いてなかったですね」

「そうですね、僕は橘輝です」

「私は喜多川柚葉です」

「やっぱり変ですよね」

「この状況ですよね」

「はい」

「ふっ」

思わず笑ってしまった。

「何か顔に着いてますか?」

「いえ、なんかまだ話したこともない人に振られた気分なのに今こうして女性と話してる状況に思わず」

「私も誘っておきながらなんか笑えてきますね」

お互い笑顔でビールを喉に流し込む。

喜多川さんは笑顔も綺麗でしゃっきっとしていて、なんでこんな人がドタキャンだなんてと思ってしまう。

「橘さんはどんな人を待ってたんですか?」

「僕は清楚系の女性で僕より上の年齢の人なんですけど」

「おいくつなんですか?」

「二十五です」

「相手は?」

「二十七です」

「年上好きなんですか?」

「まあそうかもしれないです、もうショックで」

「そんな悲観的にならないで、女性なんていくらでもいますから」

「なんかそれどっかで聞いたことあります」

「そうでしょ?」

「でも僕今まで彼女出来たことなくて、それでも今回は連絡も頻繁にしたけどなんか違ったのかな~」

「相性なんて文字じゃ伝わらないものよ」

「なんかしっかりされてますね」

「そう?」

「はい、キャリアウーマンって感じで」

「それスーツ着てるからじゃない?」

「そうかも」

「でも、多分遠くから僕のこと見て顔が好みじゃなかったんだと思います」

「えー、それだけでドタキャンする?」

「まあビジュが良い状態と角度でごまかしたことは悪いとは思いますけど」

「ちょっとは反省点あったみたいだね」

「もう僕のことは良いんですよ、喜多川さんはどうなんですか?」

この時点で少し酔っていた、普段なら相手のことを素直に聞くなんてできない。それが女性なら尚更。

でも、喜多川さんもお酒はあまり強くないのか顔が少し赤くなっていた。

「私も年上の男の人だったんだけど、仕事が急に入ったって言われてそれっきり」

「そんな人いるんですね」

「まあね、私も似たようなものだし」

「どう言うことですか?」

「私結婚願望はあるんだけどそれで、同僚に相談したら婚活するかマッチングアプリって言われてマッチングアプリとったんだけど、最近仕事で重要なプロジェクト任されてて、マッチしても仕事が終わらなくて会うのは断っていたの」

「それは大変ですね」

「まあ因果応報と言えばそうだね」

「お仕事はなにやられてるんですか?」

「広告系、橘君は?」

「僕はサラリーマンです」

「そっか」

「はい、でも仕事で需要なポスト任されると自分のことは二の次って感じですよね」

「そうなの、時間がいくらあっても足りやしないし。最近残業もさせてくれないしこの前なんて家にいるのに仕事やってたの」

「僕もあります」

お互い苦笑いが出てしまう。こうして人とちゃんと飲みながら仕事の愚痴とか言うのいつぶりなのかと思ってしまう。

「私は家には仕事持ち込まない主義だったのに、本当もう最悪」

喜多川さんはビールを一気飲みしだした。

「すいません、ビールお替りお願いします」

「はーい」

これで喜多川さん生四杯目、俺も三杯飲んでいた。

普段は家では缶ビール一本飲んで寝るし、それに仕事の話を聞いたり話したりしてると気が緩む、初めて会ったのになんか気が合うのは何故なのだろうか?


一時間後。

「喜多川さ~ん?」

「う~ん、まだ飲む」

「もう無理ですって」

あれから二杯程お互い追加して俺も限界だった。

「飲もう!!」

「はー、分かりましたじゃあ家に帰って飲みましょう」

俺は喜多川さんを家まで送るつもりで言った。

「エッチ」

「馬鹿なこと言わないでください、場所を変えるだけです」

「そう?」

「はい」

「何もしない?」

「しません、初めて会った人にそんなことしたら掴まりまっちゃいますよ」

「じゃあ橘君の家に連れてって」

「分かりました」

こんな簡単に人を信じるなんてこの人大丈夫かと思いつつ、俺は会計を済ませて喜多川さんをおんぶして店を出てタクシーを捕まえて俺の家まで来た。

内心こんな美人と飲んでラッキーだなと思ってはいたが、手を出せば俺が最初に不安に感じてたことが自分がやってしまったって思うし、何よりまた喜多川さんと飲みに行きたいと思うくらい居心地が良かったので、神に誓って手を出すことはしないと思いながら家のドアを開けてベットに喜多川さんを運んだ。

「喜多川さん、着きましたよ」

「う~ん」

「寝ちゃったか」

正直俺も家に帰って来たことで一気に酔いが回って気がついたら眠ってしまっていた。


「変わんないな、輝」


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