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ハズレ勇者の気まま暮らし  作者: 桜惡夢
~Another World Life~
26/36

後悔は先にはしない


 迷宮主(ダンジョンボス)[ハングコングキング]が光の粒子となり目の前で消えて行く。

 ……うん、アルビナスの方が圧倒的に強かった。だから、ダンジョンとクリーチャーには悪いけど、特筆すべき事は無かった。ゴメン。



《特殊条件:【初挑戦で単独による完全踏破】達成により、魔道具【足跡之書】が贈られます》


《隠し条件:【迷宮主を単独蹂躙】の達成により、固有アビリティ【博識学者】が贈られます》


《レベル99で【迷宮主の単独討伐】を達成した事により、レベル00(・・)に到達しました》

《レベル00到達によって、【農夫】が秘めていたエクストラスキル【加工】が解放されました》


《レベルが上限に達した事でジョブが【農夫】から昇級(クラスチェンジ)します》

《ジョブが【農家】に成りました》


《ジョブ【農家】への昇級に伴い更新を実行──》

《──全ての更新が正常に完了しました》



 …………色々と思う事は有るけど、取り敢えずは目の前の宝箱を回収しよう。消えちゃうから。



《【禁忌の解石】を入手しました》



 ………………あれ? 迷宮主の宝箱の中身って、装備品と決まってるって話じゃなかったっけ?

 コレ、何に使うんだろ?


 【禁忌の解石】

  【勇者】が手にすると封印が解かれる。


 …………え? 何で? いや、それよりも──と考えている内に足元の床が消えた。

 反射的に【礫蹴の跳靴】で跳ぼうとしたけれど、スカッた。まさかの強制イベントオオォォ…………






《【忘却の刻石】を入手しました》



 落ちた先が万魔殿(パンデモニウム)って鬼畜過ぎる。

 文字通り、クリーチャーが一万体居る密閉空間で強制戦闘でしたから少しは焦りましたよ。

 まあ、装備品の御陰で生きてはいますが。物量戦というのは単純な強敵よりも厄介でした。疲れた。早く帰って皆に癒されたい。

 大量の魔石と魔素材は入手出来たけど、戦利品が謎アイテムが一つ。割りに合わないなぁ……


 ただ、落ちてきた穴は消えて天井に。確認しても通り抜けられなかったので出現した通路へ。


 万魔殿での戦闘中に判った事が一つ。今までなら判らなかった筈のクリーチャー等の情報が判る様に為っていました。【博識学者】を獲得した事により【農者之眼】が万能化したみたいです。

 また、ジョブが昇級した事で以前のアビリティは熟練度が消えました。完ストしてて良かった。

 【農家】のアビリティは【農者之武】【農体】【農時感】の三つで、戦闘でも熟練度が上がります。熟練度が早く上がるのは有難い。

 それと、レベルが上がっても新しくアビリティが増えなかったので、ジョブのアビリティは初期時に全て出揃っていて熟練度を上げるだけの仕様という事が判りました。判り易くていいです。

 そのアビリティを全て完ストさせると、ジョブに備わった戦技(アーツ)が解放される。よく出来てます。


 それはそれとして。上層域(先程まで)のクリーチャーよりは下層域(此方)の方が強い。でも、物足りない。

 ただ、【足跡之書】の御陰で、地味だけどマップ埋めという眼に見える目標と成果が有るから楽しく攻略出来る様になったのは嬉しいかな。




 …………そう思っていた頃が懐かしい。広いし、宝箱は無いし、クリーチャーの種類も変わらない!

 こんなん飽きてまうやろーっ!


 ──と思っていたら、放棄されて荒れた墓地に。別に怖いとかはないんですけど……また期待外れな相手だったらなぁ……マジで凹みます。


 地震? ……あ、地面を割って出て来る演出ね。おー、ちょっと格好良い鬼顔の骸骨武者だ。身長は4メートルは有りそう。六腕というのも高評価だ。刀に十字槍、戦斧、弓矢に盾。良いね良いね~。

 今回は楽しめそうだ。






「違う、違うんです……出来心だったんです……」



 消え行く[ヴァイスヴァジュラアシュラ]を前に地面に手を付いて俺は項垂れるしかなかった。

 見るからにアンデッドだったから、軽い気持ちで試しに【クリーンナップ】を使ったら、終わった。そんな展開有りいぃぃーーっ!?

 ぅぅっ……戦いたかったぁ…………あ、持ってた武器とか残ってる。回収しないと勿体無い。



《“封じられた真淵(エクストラダンジョン)”を単独攻略した偉業により、【迷宮核】(ダンジョン・コア)が贈られます》


《特殊条件:【真怨の堕鬼の単独討伐】達成により固有アビリティ【造物之手】が贈られます》


《特殊条件:【真怨への廻起】を達成している為、手にしていた装備品が真化します》

《【肥耕の鍬】が【万耕の天鍬】と成りました》


《特殊勝利条件:【不戦と慈悲の真なる勇心】達成により、エクストラ戦技(アーツ)【双天鬼刃】が贈られます》


《【禁忌の解石】を入手していますのでエクストラスキル【合成】が贈られます》

《【忘却の刻石】を入手していますのでエクストラスキル【調合】が贈られます》


《レベル99で【迷宮主の単独討伐】を達成した事により、レベル00に到達しました》

《レベル00到達によって、【農家】が秘めていたエクストラスキル【熟成】が解放されました》


《レベルが上限に達した事でジョブが【農家】から昇級します》

《ジョブが【豪農】に成りました》


《ジョブ【豪農】への昇級に伴い更新を実行──》

《全ての更新が正常に完了しました》


《二度の覚醒昇級を確認しました》

《アイク・ヤスハラに領地(・・)が贈られます》

《領地を得た事で、アイク・ヤスハラは【領主】と成りました》

《【領主】と成った事で、【勇者】としての全ての能力が永続化しました》


《【領主】である【勇者】アイク・ヤスハラの妻に祝福が贈られます》

《ローザ・ヤスハラがオルガナ族の長として認められました》

《ローザ・ヤスハラに始祖の能力が回帰します》

《マリアナ・ヤスハラが、ネーレイア族の長として認められました》

《マリアナ・ヤスハラに始祖の能力が回帰します》

《アルビナス・ヤスハラが、ナーガス族の長として認められました》

《エメツェリ・ヤスハラが、トレニト族の長として認められました》


《二種族以上の始祖回帰を確認しました》

《装備品【絆晶の皇環】が贈られます》


《二種族以上の始祖誕生を確認しました》

《固有アビリティ【絆晶帝環】が贈られます》


《二種族以上の始祖回帰と始祖誕生を達成した偉業によりアイク・ヤスハラは【英雄】と成りました》

《【英雄】と成った事で専用神器(・・)が誕生します》

《該当装備品を選出します》

《【万耕の天鍬】が神器に選定されました》



 ……………………え? 何? 何か色々言われて滅茶苦茶長かったんですけど?

 ……取り敢えず、目の前の宝箱を回収しよう。



《装備品【勇壮の武衣】を入手しました》








「──という訳で、まだ俺もよく判ってない」



 あの後、ダンジョンは消えて強制退去(放り出された)

 また、俺がダンジョンに入ってから1時間程しか経っていなかった。そういった仕様だって話は全く聞いていませんでしたから吃驚です。

 色々と御互いに話したい事は有りましたが、二度手間を避ける為に直帰。レベルも上がり、昇級した今なら帰りは自力で──と思ったらエメが泣きそうだったので抱き上げられましたとさ。

 ──で、着いたら直ぐに緊急家族会議。



「……成る程な、そういう事だったのか。急に頭に聞き覚えの無い声が響いて驚いたが……そうか」


「とても素晴らしい事です!」



 世界に(・・・)長として認められ、始祖に回帰した二人は驚いてはいたけど喜んでいる。

 また、ラシアさん達もミロナさん達も祝福により各々がスキルとアビリティを一つずつ得た。

 ムムナちゃんの様な先天的なスキル持ちが稀で、滅多に居ないんです。

 まあ、種族的な能力はアビリティの御陰なんだと思ってはいましたが、確認出来たので納得。



「それで主様、【領主】と領地というのは?」


「領地はユマデェ山を中心に、ウォウギュの荒森を含む一体で、【領主】は絶対者としての権限かな。要は自分の領地内だとエメ以上の事が出来る」


「……それは凄まじいのぉ……」


「まあ、条件付きや必要な物とかは有るけどね」



 一応は、絶対者。うん、一応はね。領地内でなら害される事は無いし無敵に近いけど万能ではない。ゲームみたいに領地を弄れるけど、魔石や素材とか必要な物が有るから。追々って事で。

 興味も好奇心も有るけど、物資が有限だからね。試すにしても慎重に遣る必要が有ります。



「その上、妾達の持つアビリティの効果も得られるのじゃから途轍も無いのぉ……」


「流石は私達の旦那様ですの」



 アルビナス達を妻にした事で得た【絆晶帝環】は妻達が持つアビリティの効果を俺も得られるというチート性能で、これでネーレイア族の様に水中でも呼吸する事が可能に。変身は出来ませんが。

 水中を調査したり出来る様になるのは大きいな。活動範囲が広がると発見も増えるだろうから。



「……で、【英雄】というのは?」


「それが、さっぱり」


「何も無いのか?」


「うん、何も無し」



 そう言うと皆、困った様にする。

 【勇者】には召喚された時点で成っていたけど、自分の事が判ったりするし、【領主】は話した様に権限や能力が有る。

 それなのに【英雄】には何も無い。説明書は?



「……始祖回帰と始祖誕生を各々二種族以上成した事によって、じゃったな?」


「うん、そういう事みたい」


「……これは飽く迄も妾の意見じゃが、【英雄】の真価というのは繁栄なのかもしれぬ」


「繁栄?」


「“英雄、色を好む”といった言葉がヒュームには有るのじゃろう?」


「…………え? そういう(・・・・)事?」


「可能性としては、じゃがな」


「……アイク様?」


「あー……何と言うか……妻の数が多い程、子供の数が多い程、俺の力が高まる、的な……」



 そう言ったら場が静まり返り──唖然としていた皆の顔付きが一転して真剣な物に。

 ──って、あ、あれ? 俺、弾かれてない?



「ローザ様、この辺りに他の種族は?」


「私達は会った事は無い。だが、北西の沿岸部には国が有るという話は聞いた事が有る」


「北西というと……グリャンギザの深淵森を越えた先という事ですか……」


「今の我々であれば行けるのでは?」


「行くだけでは駄目です。それに、アイク様が勇者であると判れば必ず群がってきます」


「旦那様には近付かせませんの」


「それでは行く意味がなかろう……しかし、拐って来るという訳にも行かぬじゃろうし…………いや、確か奴隷という者が居るのではないか?」


「奴隷制度は有る国と無い国に分かれていますから行ってみなければ判りませんね」


「じゃが、奴隷ならば文句は有るまい?」


「文句は有りませんが、御金も有りません」


「ぅぬ……そうじゃったな……」


「此処での生活には御金は要りませんからね……」


「私達も放浪していましたし、自給自足でしたから御金は要りませんでしたしね……」



 …………何か生々しい会話がされています。

 その目的は多分、俺の妻を増やす算段でしょう。取り敢えず、妻達が平和思考で安心しました。実力行使による調達(・・)や確保となると笑えません。

 それが出来ますから。


 しかも、まだ確定した訳ではないんですけどね。無関係でも家族が増えるのは良い事ですが。無理に妻を増やす必要は無いのでは?

 ……あ、はい。皆、早く子供が欲しいから、と。妻が増えれば、妊娠もし易くなるからと。

 …………それ、環境的な意味で、ですよね?


 取り敢えず、今の皆には近付かないでおこう。

 先輩方は、下手に反論したり、口を挟んだ結果、それがフラグになって、妻が増えていたから。

 まあ、だからと言って、こっそり逃げ出したりもしません。それもフラグになりますから。

 はい、ちゃんと俺は先輩方から学んでいます。


 つまり、“我関せず”こそが正解っ!

 ……違う? そっかぁ~。

 それで……ルッテちゃんは何を?

 …………暇だから子作りに励む? え? いや、此処でするの? …………まあ、今は俺達夫婦だけ住んでいるから問題は無いけど……無いのか?

 ……──ハッ!? いつの間にか服がっ?! まっ、待ってルッテちゃん、いや、声を出さない様に唇を塞ぐと喋れな────



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