ディスハイムの闇
初めての戦闘を終えた龍彗
100戦100勝の無茶な条件に打ち勝つことができるのか
それとも敗北の味をしり一生戦い続けるのか
真良3年1月4日(後編)
<死竜>「花か…俺も出れたらそなえないとな」
『お前は誰にそなえるんだ?』
死竜は少し寂しそうな顔をし話始める。
<死竜>「前に話だだろ。俺がある日をさかいに人が殺せなくなったって」
『あぁ確か最初に闘技場で戦わされてから1年ぐらいたった頃って言ってたな』
<死竜>「そうだ。お前には話しておこうと思ってたんだ。いつか大切にしている相手との殺し合いになった時にお前自身が答えを導けるように」
『大切な人か……今の俺には無縁の言葉だな。俺は一人だからな』
俺には失って困るものなんて何一つない…
<死竜>「まぁそれならいいんだが……俺も最初の殺しをしてから感情が薄れ、無縁だと思ってたよ。ただ、俺の最後の相手は嫁だった。」
嫁…こんな場所で戦ってるだけでも苦痛だったろうに…ディスハイム…これこそ人の闇か…
<死竜>「嫁は…車椅子に乗って、ただ座ってるだけだった。意識はなく吐息だけが微かに聞こえる程度だ。俺は早く楽にしてあげたいと思った。この闘技場にいる限り死ぬまで出れない。多分何もしなくても死んでしまう状態ではあったが、俺は……見てられなかった。だから俺は…嫁を手にかけた。俺はあの時の微かに聞こえた吐息が今でも鮮明に思い出せる。」
死竜の目は悲しみを訴えていた。
俺には死竜にかける言葉が見つからなかった。
<死竜>「お前が俺を出してくれれば墓参りもいけるんだがな。って辛気臭い顔をするな。お前は前だけ向いていろ……今後何があっても……」
何かを語ろうとしてたであろうが俺には聞く勇気がなかった。
ただ、俺が前を向かなければならないことは確かだ。俺のためにも死竜のためにも……
『俺もここから出たらお前の嫁さんの墓に花をそえてやる。』
死竜は俺の方を向き少しだけ笑顔をみせ。
<死竜>「っふ。俺も遠慮しておこう。」