怪しい男
人殺しである主人公が、金持ちの道楽で作られたディスハイムという闘技場で戦うことに
そして勝利の報酬として……
生き残ることができるのか
…………俺は目を覚ました。
あたりを見渡すと、コンクリートで覆われた部屋に鉄の扉が一つ。
ドアノブは破壊されており、こちらからは開かないようになっている。
動こうとすると、身体が麻痺しているのか指一本動かせない。
「気が付いたか」どこからか声が聞こえる。
扉の奥からだろうか……
俺も声を発しようとしたのだがやはり動かない。
「安心しろ。身体はあと数時間もすれば動かせるようになるだろう」
壁の向こうにいる男が説明をしているが俺は全く理解が出来ず。
無理矢理に声を出そうとする。
『お……は、…うし…こ…な………に…る…だ。』
「はっはは、さすがに若いな。今お前に使ってる薬は熊でも5時間は眠っている激薬だぞ。まぁいい、お前の状況を簡単に説明してやる。1回で覚えろ。まずお前の名前は2-8463だ。桜田 龍彗と言う名は捨てろ。桜田 龍彗はもうこの世には存在しない死人だ。」
男は俺が死んだと抜かしている。俺はこうして生きているのにだ。
まぁそんなことよりも俺に聞きたいことが多すぎた。
『…れは…こ……こだ……きいて…いる…だよ。』
少しずつ麻痺が解けていく
「あぁ、ここがどこだか知りたいのか。ここは人間の闇が作り出した闇の闘技場ディスハイム。通称DH、地下の世界だ。」
闇の闘技場?地下の世界?なんのことだ…そんなもん聞いたこともない。
『あ、あーあーあー。よし少し痛みはあるが喋れる。おい。俺がなぜここにいるかは聞かずともわかるが、お前は一体どこの誰でなぜ俺に関わる、そしてなんで利益もないのに情報を教える。まぁ助かるが……』
「質問か…まぁ始めはこんなもんか」
扉の向こうにいる男がため息を1度ついて話し始める。
「お前に近づいたのには理由がある。俺がお前を見込んだからだ。お前は必ずここから出れる。」
『ちょっと待て、ここから出れるのか?俺がしたことを知らないわけじゃないだろ?』
出れる…俺は人を殺したんだぞ。一人や二人なんて数じゃない…人殺しを外に出すなんてイカれてる。
「戸惑ってるのか。まぁ当然か。ここから出れるといっても条件がある。それは100戦100勝が条件で、1度でも負けてしまえば永遠にここから出ることはできない。無論死ぬまでな。」
『そうか。100勝か……お前は俺に賭けたギャンブラーってところか。』
「間違っちゃいないな。ただ俺のギャンブルは命を賭けた物だがな。お前の敗北は実質俺の死につながる」
『そこまでする理由があるのか。お前は一体何なんだ。なぜそこまでする。俺はただの人殺し以外の何者でもない』
「っふ。俺は直感に従っただけだ。理由はない。」
男は鼻で笑い答える。
するとガチャと扉の向こうから音がする。
「時間だ。死竜話はそのぐらいにしろ」
さっきとは別の男の声だ。
死竜…奴の名前か…
<死竜>「じゃあな。明日もまた来る。」
ガチャと音をたて死竜ともう1人の男が出て行った。