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開幕

歴史上の人物を罵ったりしてますが、決して作者は彼らを馬鹿にしているわけではありません。

そして正史に基づいた作品でもなく、時代背景や出来事は完全に作者のオリジナルですので、その辺りはご容赦ください。



 「なぁなぁ、オレこんなの見つけたんだ。授業終わったらさ、皆でやらねーか?」

 全ての始まりは、この一言だ。

 

 ここはごく平凡な大学の、とある部室である。スポーツ部と文化部、クラブは大体この二つに分けられるが、このクラブは他とは少し変わっていた。

 

その名も「考古学研究会」、縮めて「考研こうけん」である。学内でも一番、何をしているクラブなのかと尋ねられることの多いクラブだ。部員は今のところ六人で構成されている。少し紹介しておこう。

 

まずは部長の「小川おがわ(けん)」。通称『張りぼて部長』。読んで字の如く、張りぼてのような部長である。ぶっちゃけた話、いるだけの部長。趣味は喫煙と飲酒という、将来的に病気が心配なヤツだ。ちなみにあだ名は、何故か「王子」である。

 

 副部長は「梅本うめもと祐樹(ゆうき)」。部長の仕事を一身に引き受け、日々胃痛の絶えない可哀想な苦労人である。手先が器用でプラモ作りが趣味と普通そうに見えるが、日々金欠にて借金大王のレッテルを貼られている。あだ名は「梅」だが、本人は微妙に呼ばれるのを嫌っている。

 

 そして会計の「きた修子(しゅうこ)」。医者の娘にしてクラブ一の目利き。化石と宝石と和服と可愛い女の子をこよなく愛する変人である。普段はボーっとしているが、口を開けばキツイ暴言を真顔で吐きまくる。あだ名は雰囲気が酷似こくじしていることから、「マンボウ」である。


 次に部員その一、「谷中たになか若菜(わかな)」。出身が伊賀というだけで忍者疑惑が持たれている。絵や漫画を描くことと、タチの悪い悪戯を仕掛けるのが得意である。あだ名は「殿下」。


 部員その二、「山中やまなか美奈(みな)」。普段は物静かだが、中国の事を語り出すと止まらない、その名も歩く中国辞典である。その柔和そうな表情とは裏腹、笑顔で黒い事を言い放ち、主に小川を凹ませる隠れブラックだ。あだ名はシンプルに「ミナちゃん」である。

 

 そして最後、「木下きのした千尋(ちひろ)」。身長は148センチと小柄だが、態度は誰よりもでかく口の悪さも北と張り合える程だ。刃物や銃器をこよなく愛する危険人物にして、勝手気ままでイヤだと言ったことは絶対やらない。北と馬が合い、よく二人で男性陣をけなしたり北をボコったりしている。あだ名は「チロ」である。

 

 以上、男性二人と女性四人、これで全員だ。なかなかのキャラの濃さに、毎年新入部員確保が大変になってきているのがたまに傷なのだが・・・・とりあえず話を戻そう。

ゲーム好きな木下の携帯には、「国盗り戦国乱世」という名のオンラインゲームの広告が映っている。

 

 「まーた、チロの好きそうなヤツだな。」

 

梅本が苦笑いしながら携帯の画面をのぞき込んだ。


 「最近戦国時代が有名ですよね。私もそれ、やってみようかと思っていたんです。」

「さっすがミナちゃん!目の付け所がオレと一緒だな!」

 

 にっこり微笑む山中に、嬉しげに木下がまとわりついた。


「・・・・・俺はやらんぞ。めんどくさい。」


 窓辺で煙草を吸っていた小川がボソッと言うのを聞きつけ、即座に宝石カタログを眺めていた北につっこまれた。

 

 「面倒もなにも、どーせ暇なんやろ。彼女もおらん、することと言ったら家で一人酒が関の山やないか。」

 「何でお前にそんなこと言われなくちゃいけないんだ!?」

 

 相変わらずズッパリと痛いところを突かれ、小川が北に噛み付く。

 

 「やかましいわ。二日酔いはそこで一人寂しくヤニでも吸ってろ。」

 「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲くって言うよね。」

 

 遠慮もへったくれもない北と谷中の口撃に、返す言葉もなく凹む小川。


 「まぁまぁ、おいマンボウ、あんま言ってやるなって。けっこう気にしてるんだからよ。」

 

 見かねた梅本が割って入り、北を押さえる。

 

 「じゃあ、学校終わったらみんなでやろうか。」

 「りょーかい。」

 谷中がそう言い、皆の返事が部室に響いた。





 そして、帰宅した六人は早速それぞれのパソコンの前に陣取る。立ち上げを済ませるとオンラインゲームのTOPページが画面に映り、六人はスタートボタンをクリックした。プレイ人数を入力した後、アバターを作るところから始まりだ。チャット機能を使用して、六人はそれぞれ話し合う。


木下:【アバターだってさ。やっぱまずはこれだよな。】

北:【なんかめんどいな・・・・。あたしは適当でいいや。】



性別、髪型、顔のパーツ、衣装。自分の好きなようにアバターを設定していく。


小川:【属性?何だ、こんなのもつけられるのか。】

梅本:【マンボウは当然水属性だろ?なんせマンボウだし。】


属性は炎、水、土、雷、風、闇、光の七つ。


山中:【まぁ、一般的な属性ですよね。私は・・・風にしますね。】

谷中:【じゃあ、僕は雷!チロちゃんは?】

木下:【オレは闇だ!個人的に!】

北:【梅の言いなりってのが気に入らんけど、やっぱり水やな。】

小川:【なら、炎。】

梅本:【なんだよ、俺は土かよ。地味だな・・・・・。】


それぞれアバターを作り終えると、モード設定の場面に進む。


山中:【モード設定って・・・・史実モードとフリーモードとありますね。】

梅本:【あれだろ、ストーリーモードと自由戦闘。】

木下:【はいはーい、オレは自由戦闘がいい!】

北:【そこはストーリーモードから始めるべきやろ、普通。】

谷中:【マンボウから普通なんて言葉が聞けるなんてねー。】

小川:【どっちでもいいだろ・・・早くしろよ。】


結局フリーモードを選び、ようやくプロローグのムービーが流れ出す。


~ここは群雄割拠する戦国の世。君達はチームを組み、天下統一を目指す。誰かの傘下につくもよし、他国を攻めて戦国武将を従えるもよし。戦い方は君達次第。君達に付与された強力な能力を駆使して、自由なやり方で天下を手にしてほしい。~


木下:【ふーん、ナルホド。まぁいっちょやってみますか。】

北:【あたし、つまらんかったらすぐやめるで。】

谷中:【まぁまぁ、そんなつれないこと言わないで。】

谷中:【私は、結構期待してるんですが・・・。】

梅本:【ミナちゃん、好きだもんなぁ。こーいうゲームは。】

小川:【さっさとしろよ。】


ムービーが終わり、日本地図が画面に現れる。戦闘フィールドを選択せよ、ということらしい。


小川:【どこを攻める?】

北:【まだ始めたばっかりやから、あんまり難易度の高い場所は無理やな。】

山中:【じゃぁ、桶狭間なんてどうですか?難易度も低いですし。】

梅本:【織田につくか今川につくか選ぶんだな。どうする?】

谷中:【そりゃー当然、織田でしょ?今川はやられ役!】

木下:【オレも同意見。今川でも飛ばしに行こうぜ。】


木下、谷中に続き、他の四人も満場一致で撃破する武将は今川義元に決定した。


木下:【そんじゃー皆さん、プレイ開始といきますか!】


この一言の後、六人はスタートボタンを押した。


~一時間後経過~


木下:【いやー、雑魚と言えど吹っ飛ばすのは気分爽快ですなー。】

北:【レベルはそこそこあがっとるな。そろそろボス戦行ってもいいんちゃうか?】

 

 雑魚敵をサクサクと倒しながら、相変わらずチャット欄で会話を交わす六人。画面内では激しい雨が降っており、現実世界でも天候は同じ、雨が降りしきっている。時折ピカッと光る稲光が、窓から見えた。

 

 さて、いよいよ今川軍総大将、今川いまがわ義元よしもとを倒しに行こうかと息巻いたそのとき、凄まじい雷鳴が天も裂けよとばかりに響き渡り、激しい光が窓を突き破るが如く、部屋の中までをも照らし出した。


 このとき、もし幾つもの景色を見ることが叶うなら・・・・異常な光景を視界に移すことができただろう。彼ら六人の住まう家のすぐ側に、同時に落ちる六つの巨大な稲妻の姿を。

 

 間近に落ちた雷に驚き、停電よりも早く反射的に目を閉じた六人。不意に、身体が圧倒的な力によって引き込まれるのを感じた。降ろした瞼を開けるより尚早く、前のめりに倒れ込む。見開いた目に映るのは黒一色。身体が感じるのは落下、それも何かに引っ張られるような急降下だ。ツバメやハヤブサなればいざ知らず、スカイダイビングなんぞたしなまぬ一般人にこの感覚はきつすぎた。夢か現か幻覚か、最早そんなことはどうでもいい。彼らができるのはただ一つ・・・意識のブラックアウトのみ。

 




 とある嵐の日に、六人の大学生が忽然と姿を消した。落雷が消え去ったあと、残るのは煌々と光るパソコンの画面だけ。

世にも奇妙な異界奇譚、開幕ベルがどこかで鳴り響く。

とうとう投稿してしまいました・・・。

小説の投稿は初めてで読みづらいところもありますが、どうかぬるい目で見てやってください。

楽しんで頂ければ幸いです。

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