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94・教員試験の対策です

「では、基礎知識の復習からです」

「「「「「はい」」」」」


今日から薬師学校の教員試験の為の講習が始まった。


講習生はカエデ製薬の社員のヤヨと姉貴の師匠に頼んできてもらった薬師四人の五人だ。

今回薬師学校の教師募集は四人であり、姉貴はヤヨ一人を送り込めれば良いのだが、敵であるダンブロア家の息のかかった受験生が十人いることがわかり、一人ではどんなに成績が良くても落とされることがわかった。

そこで、姉貴側で五人の受験生を用意したのだ。

これなら、五人がダンブロア家側より成績が良ければ一人くらいは合格させるはずだ。


講習期間は五日間、その中でダンブロア家側の受験生を完全に打ちのめすようにする。


座学を二日、模擬授業の訓練が三日の予定だ。


まず基礎知識だが、問題なかった。

次の応用からかなり突っ込んだ専門的な質問にも軽々答える。


「この中で、薬師資格の模擬試験を受けた人はいますか」

既に薬師を行っている人たちは、申請だけで資格を与えたが、試験内容と現役の薬師がどれくらいなのか調べるために、模擬試験を行ったのだ。


「「「はい」」」

三人ほど受けていた。


「当然、合格でしたよね」

「「「はい」」」

三人とも合格している。


満点だった人。

「「はい」」

二人は満点だ。


筆記と実技で満点なのだからすごいな。

ちなみに満点のうちの一人はヤヨさんだった。


そして二日目の授業では。


「えー、多分ですが、ダンブロア家側の受験生は、ほぼ答えを教えてもらっていると考えてください」

「「「「「・・・・・・」」」」」


「そして、問題の半分以上は引っ掻け問題や嫌がらせの問題になるはずです」

「「「「「・・・・・・」」」」」


「では、これから問題用紙を配ります」

俺が考えられるか限りの引っ掻け問題を作ってきた。


「はじめ」

五人が問題用紙と取り組む。


「マサルさん」

さっそく質問だ。

「何ですか」


「この四択問題なんですが、正解が有りません」

「そうです、正解が無いが正解です」

「・・・はい」


「マサルさん、次の文章の間違いを見つけ正しくしなさの問題なのですが、正しいところが一つも無く、どうしたら正しい文が書けるのですか」

「それは、出てくる薬草の生息地だけが正しいので、生息地から薬草を割り出し、何に効く薬を作るのか判断し、他に必要な薬草をかき出し、薬作りの手順を書いてください。間違っている文章でも全体のバランスを見ると何か一つくらいは正しいものが見つかるはずです」

「・・・ハァー」

ため息しか出ないだろうな。


とにかく引っ掻けとありえないような問題を二日間解いてもらう。


ギャにも問題を見せると。

「マサルはそう言う問題を作るのが得意だ。ひねくれた性格のせいだな」

褒めてくれた。

俺と付き合いの長いギャは、ほとんど引っかかる事なく問題を解いている。


そして四日目と五日目は、教壇に立って教師をやってもらう。


「試験での時間は五分から十分だと思う」

受験生が十五人いる。一人に当てられる時間はそれくらいのはずだ。


「授業のポイントだが、まず生徒の顔、出来れば目を見て話すこと。出来なくても怒らないこと、生徒の名前は全員覚えることだな。試験では試験官が生徒代わりに席に着くから、試験官の名前は覚えるように。けっして、おいとか呼んじゃ駄目だからな」

「はい」


「いいか、決して生徒が子供だからと言って見下すな、一人の人間として向き合え」

「でも、マサルさん。試験では生徒役が良い大人ですよ」


「そうだったな、じゃあ、まず試験官を子供だと思って、その上で一人前の人間としてみるように」

「・・・難しいですね」

聞いてきたヤヨさんも悩んでしまう。当然他の四人もだ。


とにかく三日間、教師としての振る舞い、特にやってはいけないことをみっちり教える。

そして、薬師学校の教員試験が始まった。


受講生は十五人、まずは筆記試験だ。

当然俺の教えた五人は合格する。


「マサルさん、講習で使った問題より素直だったですよ」

「ええ、良くあんなひどい問題を作れましたね」

おかしい、ここは褒められるはずだったが。


「いえ、あれくらい悪意のある問題を解いてきたからこそ、試験問題がやさしく見えたのです。マサルさんには感謝すべきです」

ヤヨさん、それって褒めているよね。


ダンブロア家の十人のうち五人が筆記で落ちる。

答えを教えられていたはずだが、それすら覚えられなかったのかな。


とにかく実技試験は十人で行われた。

講習をした五人は見事に試験をこなすが、ダンブロア家側の五人は教壇に立つとしどろもどろになってしまった。

予行練習は大事なのだ。


そして無事にヤヨさんは合格となり、九月の新年度より学校に教師として来ることになった。


「マサル、後の三人はダンブロア家側だが、あれでよく合格になったな」

「そうだな、まあ本当なら全員ダンブロア家側にしたかったのを、俺たちの作戦でヤヨさんを教師に出来たのだから作戦成功だろ」

予定通りだった。


そして、新学期が始まりダンブロア家側の教師の二人がノイローゼでやめ、代わりに俺の講習を受けた薬師が教師になったのは、数か月後の話だ。

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