表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/414

93・俺に夏休みは無かった

「マサル、薬師学校は今日から夏休みだな」

「ああ」


「あれだな、学年末試験はやったんだな」

「ああ、生徒がやりたいと言っきた。それで簡単な問題にするか教科書や参考書を持ち込めるが難しい問題のどっちにするか聞いたんだ」


「あたいだったら、難しくても教科書が有った方が良いな、答えを教科書から見つければ満点が取れるぞ」

「ギャならそうだろうな。ところが男子生徒二人は簡単な問題を希望したんだ」

「簡単という見かけの言葉に惑わされたな」

「そうだな、だが女子生徒二人が難しい問題を希望したから多数決で難しい問題にした」


「それでどうだった」

「まあ、全員合格点なんだが、やはり女子生徒の方が成績は良かった」

「そうだろうな」

ギャも授業を時々覗いていたので、誰が優秀なのかは見抜いていた。


「それでマサル、学校は夏休みなのだが、マサルは何をする」

「姉貴に呼ばれている。カエデ製薬の仕事が有るんだ」

「そうか、ならギャも会社について行く」


朝食が終わると、姉貴とお袋は馬車に乗って店に向かう。

俺とギャはロバに乗っていく。


パカパカパカ パカパカパカ

毎日学校に通うのと同じロバだ。

だいぶ懐いてきてた。


まあ馬車の方が早いので、俺が薬屋カエデの店に着くころには姉貴はすでに着いている。


「マサル、遅いぞ」

「姉貴、まだ遅刻の時間じゃないぞ」


「周りをよく見て見なさい、掃除も終わってすぐに仕事が始められるでしょ」

「そうだな」


「マサル様、気にしないでください。社長がいると掃除の邪魔になりますから。カエデさんにも遅く来てもらっているのです」

おお、姉貴の弟子から社員になったサキさんだな、そうそうもっと言ってくれ。


社員の終業時間は朝の八時だが、俺と姉貴は八時半に出勤している。

朝の準備時間もきちんと終業時間に入れている。

決して『ブラック』にしない為だ。だが収支は『ブラック』だ。


「おはようございます」

「えっと、姉貴誰だっけ」


「ジルちゃんよ。バイト採用の書類を見ているはずでしょ」

「ああ、そうだった」

うんペキに忘れている。いや覚えていなかった。


「ジル、おはよう」

「おはよう」

久しぶりにギャのまともな『おはよう』を聞いたな。


「マサル、ちょっと話が有るから私の部屋に来なさい。そうねギャちゃんはジルと一緒にいてね」

「はい」

「オー」

ジルは八歳でギャは十歳か。

ギャはサメル村の友達と仲良くなったがジルとも仲良くなれるかな。


そして姉貴の部屋に呼ばれた俺に。

「今度薬師学校で教員を募集しているのは知っているでしょ」

「いや、知らんけど」


「あなた、学校に行って何をしているの」

「何って、用務員なのに生徒に教えているが」


「校長とは話をしないの」

「あっちが避けているからな」


「しょうがないわね、それでね、来年度の生徒が入って来るにあたって教師を募集しているの」

「そうだろうな、俺一人では無理だからな」


「でね、四人募集しているうちの一人にヤヨを入れたいの」

「ヤヨって弟子から社員になった薬師か、でも入れたいのと言われても、俺には何の力も無いが」


「マサルには期待していないわ。でも、新しく入って来る教師が全員ダンブロア家の息のかかった人では、マサルもこれからやりにくいでしょ」

「それはそうだが、どうするんだ」


「教師の採用試験に出てもらうわ。応募者は薬師の資格を持っているけど、弟子を持った人はいないの。要するに、人に教えたことの無い人では教師は無理でしょ」

「で、」


「あなたが応募者の前で模範を見せるの、その後応募者に模擬授業をやってもらって採用の判定材料にするのよ」

「そんなんで大丈夫なのか」


「大丈夫よ、私の師匠や師匠の仲間に頼んで優秀な薬師を何人か試験を受けてもらうから、そうするとダンブロア家の息のかかった受験者の下手さが際立つでしょ」

「なら、俺が模範を示すことも無いだろ」


「マサル、そんなことは無いぞ。マサルは料理ではサクラお母様に負け、薬作りではカエデお姉さまに負け、学問ではタカシお兄様に負け、剣ではサトシお兄様に負けるが、人に教えるのは一番うまいぞ」

「ギャ、いつの間にいるんだ」


「だから、ギャさん、入っちゃ駄目だって言ったのに」

「ジル、大丈夫だ、こんなことでマサルは怒らない」

ジルに止められても姉貴の部屋に入って来たんだ。

まあ俺も隣にギャが隣にいた方が落ち着くからかまわないか。


「そう、ギャちゃんの言う通りね、どういう訳かマサルは人にもの教えるのが上手いのよね。だからついでに、サメル村のカルとマイそれにジュンとネネに試験に受かるように教えに行って欲しいの」

「えっと、どう言うことですか」


「だから、教員試験が来週でしょ。終わり次第サメル村に行って彼女たちが薬師試験に受かるようにして欲しいの。九月に試験が有るから頼んだわよ」

「・・・はい」

返事はしたがスケジュール的にサメル村で教えることのできるのは二週間だ、これは大変だな。


「マサル、忙しい夏休みになって良かったな」

「良くはない、ギャも一緒に行くんだからな」

「わかってる」


それから教員試験までの一週間は対策のために姉貴の師匠やその仲間から推薦を受けた薬師に受験対策として、授業のやり方を教えに行く。


試験は筆記と模擬試験だが、ダンブロア家の息のかかった受験者は筆記試験の内容を知っている可能性がある。

なので俺が姉貴側の受験者に教えても罪悪感は全くなかった。


そしてサメル村で薬を作っている彼女達も資格が無いとまずいらしい。

村なんで誰も来ないからバレないと思うんだけどね。


それと、ギャは合格するだけの知識も技術も有るが、奴隷は試験を受けられ無い。

試験の無いギャは、サメル村に向かうまでの一週間をジルと一緒に薬屋カエデの仕事をすることになった。

誤字報告ありがとうございます。訂正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ