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76・虫でも薬になるなら薬草です

「マサル、十七歳になっていたぞ」

「ああ、よく覚えていたな」


「王都では家族が誰もお祝いしてくれなかったな」

「忙しかったからな」


「存在感が無いからでは無いのか」

「ああ」

俺の誕生日は十月十日。

家族にお祝いされず、二週間以上が経っていた。


「マサルさん、おはようございます」

屋敷に暮らすガーネさん達四人が俺の家にやってくる。

家の倉庫がガーネさん達の仕事の拠点になっているからだ。


「ギャちゃんもおはよう、今日も可愛いわね」

「オー」


「マサルさん、ちょっといいか」

「ああ」

いつもは簡単な打ち合わせでガーネさん達四人とハナコの一頭は薬草採取に出かけるのだが」


「カエデ様よりの依頼書に、知らない薬草の名前が有って、マサルさんに教えて欲しいのです」

「どれどれ」

俺は、姉貴から送られてくる、薬草の依頼書を見ると。


「あー、また面倒なやつ、頼んできたな」

「そうなんですか」


「ああ、仕方ない今日の採取はやめだ」

教えなければ取りにも行けないからな。


まずは六人で倉庫のテーブルに着く。


「ギャ、御茶を出してくれ」

「オー」

ギャにお茶を出させると、俺は異次元鞄から薬草図鑑を取り出す。


「これを見てくれ」

依頼の薬草が乗っているページを開き机に置くと。


「キ、キモイ。草ではないぞ」

「ギャ、これも薬の材料になるんだ。まあ草ではないがな」

薬草と言っているが、葉っぱだけでなく、根も茎も種も使うし、木の実や皮や樹液も使う。


後は鉱物だったり、虫や動物の一部を干した物だったりする。


そして今回姉貴が依頼してきたのは、『虫』だ。

なお、冬虫夏草は虫に寄生したキノコで有り虫ではない。


姉貴の依頼は本当に虫、クロスズメバチの蜂の子だった。


「マサル、サメル村にクロスズメバチはいるのか」

「姉貴が依頼してきたのだからいるんじゃないか」


「何処にいる、探すだけで大変だぞ」

「ああ、そうだ」

図鑑には、女王バチの体長は十五ミリで働きバチは十二ミリと書かれている。

十月終わりの今が一番巣が大きくなる時期らしい。

イラストも書いてある。


そして依頼書には、姉貴が村に来た時に蜂を見かけた場所も書いてあった。

見かけたから依頼したんだな。


そして、巣を見つけたら風上から痺れ草を燃やし煙で麻痺させて巣を取り出し、蜂の子を採取しろと。

採取した蜂の子は強い酒に漬けて送れとも書いてある。

これは酒を飲むのではなく薬の材料にするための処理らしい。



「無理だな」

「無理ですね」

「「「無理ー」」」

「無理なのか」

ギャ、無理に決まっているだろ。


「だがマサル。カエデお姉さまがわざわざ痺れ草(正式名は不明)を送ってきたのだぞ、やるだけやらないと今度王都に行ったときひどい目に会わないか」

「・・・会うな。しょうがない巣だけでも探すか」


俺とギャ ガーネとフェリン シャクヤとノラバに別れ、姉貴が書いた場所の周辺を探しに行くことにした。


ノラバは馬のハナコに乗るとして、後の五人の為にロバを借りに行く。


「マサルにはロバはいらないだろ」

「そうだな、ギャ」

ロバは四人分借りた。


そして三日目、俺たちは巣を発見した。

発見したら、蜂の子の採取をやらなければならない。


「ギャ、火を起こせ」

「オー」

蜂の子の採取は俺とギャだけでやる。

ガーネ達が刺されたら困るからな。


姉貴が送ってきた痺れ草を焚火に入れると、もうもうと煙が出る。

風向きを考えて焚火を起こしてので、煙はハチの巣に吸い込まれるように流れた。


「マサル、考えていた以上に上手くいているな」

「ああ、そうだな」

しばらく待って、蜂が痺れて動かなくなるのを確認する。


「巣だけ持ち替えるのだな」

「そうだ」

俺は素を掘り出し、痺れている蜂をすべて払い落とした。


こうして蜂の巣をゲットすると、家の倉庫に持ち帰り、巣から蜂の子を取り出す。


「マサル、これは食べられるのか」

「ああ、少しだけ食べてみるか」


「このままか」

「そうだ、姉貴が送った痺れ草は蜂の子を軽く水洗いすれば落とすことが出来る。安心して食べてくれ」


「モグ モグ 甘くてうまいな」

「・・・良く食えるな」

見た目で俺は駄目だった。


残りの蜂の子を強い酒に漬ける。

これをカエデ製薬の荷馬車で姉貴に送れば任務完了だ。


「マサルさん、今度の荷馬車と一緒に四人で王都に行っても良いか」

蜂の子の酒漬けが出来た日、ガーネが聞いてきた。


「そうだな、大丈夫だろ。薬草の依頼は俺とギャでやっておく」

「助かる、それじゃあ二週間後に帰って来るからな」


ガーネ達四人と馬のハナコは次に来たカエデ製薬の荷馬車と一緒に王都に向かった。


「大丈夫かマサル」

「何がだ」


「このまま帰ってこないのではないか」

「その時はその時だ」


「だが絶対帰って来るな」

「どうしてだ」

「そんな気がする」

まあギャの勘は当たるから帰って来るな。


それにたぶんあれだ、ただの買い物に行っただけろう。

姉貴も言っていた、買い物はストレス解消に最高だと。

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