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74・姉貴に報告です

「姉貴、帰ったぞ」

「お帰り、ギャちゃんマサルはしっかりお使い出来ましたか」


「オー、あたいがしっかり見張ったからな」

「そう、偉いわねギャちゃん」


別にギャに見張られなくても仕事はきちんとやるぞ。

ましてやカエデ製薬の仕事だ社長が真面目でなくて何なんだ。

まあそれはともかく。


「姉貴、あれだな、すでに情報は集めていたんだろ」

「ええ、社長のマサルに実際見てもらいたくて、お使いを頼んだの」


「マサル、どう言う事だ」

「ああ、ギャも見たろ、あれはとても学校とは言えない、それに寄付した薬草もどう使われているかわからなかっただろ」

「オー」


「そうなの、まあ学校はこれからまともになることを期待するとして、問題は薬草の行き先と資格と組合なのよね」

「姉貴、薬師資格はしょうがないんじゃないか、やはり薬は命に係わるし、誰でもやっていいもんじゃないからな。」


「そうね、資格自体は反対しないけど、組合をダンブロラ家に作られるのはまずいのよ。だいたい薬師の組合がなんなのよ、薬師の方が国や貴族の制度より古いのよ」

「だよね、組合を作れば組合費を集めるからな。ダンブロラ家の大きな収入になる」


「そうなのだな、だがそのダンブラロ家とは何者なのだ」

「それはねギャちゃん、昔々の大昔、ダンブロラ家の祖先の薬師が王様の病気を治して、そのお礼としてゴールド爵をもらった貴族なの」


「その後も代々薬師をやっているな。薬と薬草の流通の権利を持っている」

「なるほど、そうするとカエデ製薬のように、社員が薬草を取ってきて、社員が薬にして、直接お客に売ると、ダンブロラ家にはお金が行かないのだな」


「そー、賢いわねギャちゃんは。でね、私の所が邪魔なの」

「カエデ製薬は、潰されないのか」


「ほら、カエデ製薬を作る時、ボイルさんのスターマイラル家が色々やってくれたでしょ。それを気にしているから表立って潰しには来れないの」

「なるほど、ボイルさんの数少ないメリットだな」


「で、どうするんだ」

「どうするって」


「ダンブロラ家に薬師組合と薬屋組合を作らせるのか」

「作らせるわけないじゃない。当たり前でしょ。いまマルマ王国中の薬師と薬屋と連絡を取っているの。それで私の師匠にダンブロラ家より先に組合を作ってもらうの」


「できるのか」

「出来るわよ。その為に学校に薬草を治めているんだもの」


「と言うことは、あの薬草がどこに流れているのか知っているんだ」

「ええ、ダンブロラ家の薬師に行っているわ」


「カエデお姉さま、ギャには何が何だかわからないぞ」

「そうね、学校の寄付を薬草にしてもらったのはお金がないんじゃなくて」


「でも無いのだろ」

「ギャちゃん違うわよ。お金より薬草の方が学校とダンブロラ家にとっては有り難かったはずなの」


「だろうな、俺が冒険者になってからは、王都の薬草のほぼすべての需要をまかなってきたからな。その上ガーネさん達がサメル村に来たから、王都にはまともに薬草採取出来るやつはいないくてダンブロア家は困っているはずだ」

「まだわかないぞ、薬草が手に入らないダンブロラ家に薬草を渡す。敵に塩を送るようなものだ」


「フフフ、ギャちゃん。ゴールド爵のダンブロラ家から寄付を頼まれたら断れないでしょ。だから薬草を渡しているのね。それも言われるままに送っているわ。そうするとダンブロラ家は薬草はカエデ製薬が言いなりに持ってくると信じる訳ね」

「タダでもらえるのだな。そうすれば他から薬草を買わなくて済む。ダンブロラ家は大儲けだ」


「ええ、しばらくは儲けさすのよ。もうかって気分を良くさせるの」

「なるほど、やはり姉貴は姑息な手を使わせたら右に出るものはいないな」


バシッ

姉貴に叩かれた。


「姑息じゃないわ、駆け引きよ。ダンブロラ家がカエデ製薬からの薬草だけで薬作りをするようになるまで待って」

「寄付の薬草を止めるんだろ」


「そう、そうすればダンブロラ家は薬を作れなくなる」

「薬草をよこせと脅してくるぞ」


「脅されるくらい平気よ。その時は立場が上になっていますから」

「そして、ダンブロラ家が薬を作れなくて困っている間に、組合も作ってしまうと」


「ええ、まあ結果が出るに一年はかかりそうだけどね」

「わかりました、それまで俺はサメル村でせっせと薬草を取ってまーす」


「カエデお姉さま、ダンブロア家をやっつけるのはいいが、あの学校は何とかしないと、通っている生徒がかわいそうだぞ」

「そうなのよね。どうもダンブロア家の子分の貴族の子供達が通っているみたいなんだけど、せっかく薬師に興味を持って貰たんだから、薬師になってもらいたいわね」


「良い考えが有るぞ、カエデお姉さまが教師になるのだ。既に八人もの薬師を育てている実力者なのだからな」

「ギャ、俺を入れれば九人だ。そうだな姉貴が教師になればより信用してくるから騙すにはちょうどいいかも」


俺とギャの話しに姉貴はしばらく考え込む。


「そうね、やってみようかな。どうせだから、学校も奪っちゃいますか」

うん姉貴ならやりかねないな。


「あっ、これ渡すわね。マサルの薬師免状。私達のついでに申請しておいたの」

「良かったな、マサル。これでもぐりとは言われないぞ」

もぐりって言っているのはギャ、お前だけだ。


姉貴が教師に行く分、俺の事務仕事が増える、王都のカエデ製薬にも新しい社員が必要だな。

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