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56・薬草採取を頼みます

「「「「おはようございます」」」」

冒険者四人が俺の家にやってきた。

この家はロマンヌさんから借りていたのだが、バルノタイザン家の三男だとばらし時に購入しており、正真正銘俺の家だ。


「おはよう、まあ入ってくれ」

「マサル、四人は無理だぞ」

頑張れば入れそうだが、やはり狭いか。


「そうだな、ギャ、この家には倉庫が有ったが、そこならどうだ」

「わかった見てみる」


「どうだ使えそうか」

「大丈夫だ」

この家に来て初めて倉庫を開ける。


「ギャ、まずは軽く掃除だ」

埃がすごい。

まあ六人いるので掃除はすぐに終わった。


倉庫のに有ったテーブルについてもらい。

「まずは、この地図を見てくれ」

俺がサメル村に来てから作った、薬草の分布が書かれた地図だ。


「えっと、地図ですね。それに色々書かれています」

冒険者パーティーリーダーのガーネだ。


「ああ、取れる薬草の名前が書いてある、そしてこっちが薬草の図鑑だ。特徴や取れる時期が書いてある。これを見て薬草を採取してくれ」

「わかりました」

ガーネが返事をして、冒険者の四人は地図をのぞき込んだ。


「ねえ、ガーネ。この地図って、王都でカエデさんが見せてくれた地図に似てないかな」

「シャクヤもそう思うか」

「ええ、私も」

ノラバとフェリンも似たような地図を姉貴から見せられているようだ。


「もしかすると、王都でも姉貴に頼まれた薬草採取をしていたのか」

「ええ、そうですね一年前くらいから頼まれたいました」

俺が王都を出てからだな。

俺の代わりに薬草採取を頼んだ冒険者が、村長の言っていた村出身の属性:光なのは偶然なのか。

姉貴の事だ、村長に言われる前から知っていたのかも。


「そうなの、その時カエデさんから王都周辺の地図を渡されたんです」

「周辺どころじゃなかったわね、泊まりで行かないと駄目な場所の地図まであったわよ」

「そうそう、それに希少薬草の地図も有って、この地図売ったらいくらになるかゾッとしたわ」

そうだろう、あの地図を作り上げるのに五年以上かかっているんだぞ。


「マサル、地図が有れば薬草は取れるのか」

「いや、かなりの経験が必要だな。それに希少薬草は属性:光でないと見つけるのが難しいんだ。そうだよなフェリン」


「えっ、・・・」

「まあいいか、それでこの村の周辺でも希少薬草は取れるので頼んだぞ。取りあえず、しばらくの間は俺とギャも一緒に行く」


「ギャも行くのか」

「当たり前だ。ギャもすでに薬草採取の戦力だからな」

「オー」


「では、行くぞ」

「あのー、昼は一度帰ってくるのですか」


「何でだ」

「食事です」


「大丈夫だ、現地でマサルが作る」

「そうだな」

昨日の晩飯で味を覚えた四人はうれしそうだった。


いきなりズンダダ森にはいかない。始めにロマンヌさんに許可された村の近くの森からだ。


「今日は近くの森だから歩いていくぞ」

「「「「はい」」」」


「マサル、何気に気持ちよさそうだぞ。若い女に囲まれて嬉しいんだろ」

「馬鹿言うな。それにギャ、みんなは俺より年上だぞ」


「そうだったな、マサルはまだ十六歳だ」

「マサル様は、年上は駄目なんですか」


「そうなんだ、マサルはサクラおばさまとカエデお姉さまが強くて、年上が苦手になったんだ」

「ギャ、勝手なことを言うな」


「勝手ではないぞ。この間王都に言って散々聞かされたんだぞ。マサルの駄目っぷりを」

「ちっ、言いたいこと言ったんだな。だから嫌なんだ」


「ほれ、年上は苦手ではないか」

「あのー、二人で盛り上がるのは良いのですが、そろそろ目的の森に着きます」

ガーネに言われ、俺とギャは黙ることにした。

四人の俺を見る目が冷たい。


「一年間、姉貴の依頼で薬草採取をしてきたと言うことは採取は上手に出来ると言うことで良いんだな」

「はい、カエデ様には褒められています」


「なら、今日は採取をしないで、回れるだけ薬草のある場所を回る。良く覚えてくれ」

「「「「はい」」」」


それから一週間は、採取をやらずに地図に書かれた所を回っていく。


「マサル様、そろそろズンダダ森を案内してもらえませんか」

サメル村周辺の森や山では飽きてきたかな。


「そうなんだが、そろそろ王都へ薬草を送らないといけない。採取してもらいたい薬草の一覧表を渡すから、ガーネ達だけで採取してくれないか」


「・・・、はい」

やっぱ、ズンダダ森に行きたかったんだ。


そして俺とギャはズンダダの森に行くことにする。


「マサル、みんなを置いていくのか。罪悪感はないのか」

「あるわけ無いだろ。これまで王都に送っていた薬草は、ガーネさんに渡した地図に書いてあるところで取ったものだけだ。ガーネさん達も地図の範囲で十分採取できる。それにズンダダの森の調査が何もしていない。やみくもに行っても何も取れないだろ」


「そうだな」

ギャはわかってくれる。何といってもギャは賢いからな。


俺はロバと荷車を用意する。

「マサル、荷車で行くのか」

「ああ、ズンダダ森の中間点に作った小屋までは馬車でも行けるようになったからな」


「わかった。だがマサル。その中間地点の小屋とは言いずらいぞ。なんか名前はないのか」

「そうだな、森小屋作りの人達が何と呼んでいるか聞いてみる」


そしてギャを荷車乗せ森へ向かう。

俺は軽くバフを自分にかけ、ロバの早足に速度を合わせる。


「わ、わ、わぉ。早いぞマサル」

「そうか」

と、言ったが速度は落とさない。

歩けば半日かかるのを一時間かけずについた。


森小屋に着くと『峠の小屋』の看板がつけられていた。


「マサル、名前が付いていたのだな」

「ああ、そうみたいだ」


俺はロバと荷車を峠の小屋に預ける。

此処には常駐の人もおり、泊まることも出来る。


ギャには自分でバフがけをさせ、二人でズンダダ森へ走っていく。

峠の小屋迄、ギャを荷車に乗せたのは、村から森までだとギャのバフがけが持たないからだ。


「おおっ、道が良くなっているぞ」

「ああ、小屋の資材を運んでいるからな。馬車は無理でも荷車は通れるようにしてある」

通れると言っても急坂であり、荷車に綱を付けて、上で抑えながら荷馬車を下ろしている。


昼にはズンダダ森の入り口にある森小屋に着いた。

以前からあるサメル村の森小屋の隣にはボイルさんの小屋が立っている。

俺とギャは、サメル村の小屋に泊まるが、俺が思っていたよりボイルさん達の小屋は立派だな。


「マサル、ボイルさんの小屋には『本部』の看板が有るぞ、かっこいいな」

「そうだな」

魔獣調査と狩りは極秘事項だ。看板にスターマイラル家だの魔獣だの文字は書けない。

それでただの『本部』何だろうな。


本部もほぼ完成しており、此処には小屋作りの職人の他に魔獣調査の人も来ていた。


「マサル。あれはスターマイラル家の人か」

「いや、だがスターマイラル家の会社の人だろうな」

俺とギャが話していると。


「マサル様でいらっしゃいますね。ラバル商事のラバルと言います」

「えっと、スターマイラル家のスターマイラル商会の方ではないのですか」


「ええ、ですからサメル村にもズンダダ森にもスターマイラル家は関与していませんよね」

「・・・ああ」


「ですから、私のラルバ商事が来ているのです」

「なるほど、ダミー会社ですね」


「はっきり言わないでください。それにラルバ商事はマサルさんのバルノタイザン商会との取引をしているのですよ」

「しているではなく、していることになっているだね」


「ですからマサル様、はっきり言わないでください」

「そうだぞマサル。感の鈍い奴だ」


なるほど、これまでボイルさんに頼まれた職人さん達だと思っていたが、ラルバ商事に頼まれていたんだな。

自分のことで忙しくて気が付かなかった。


「それでマサル。もう帰るのか。今でないとサメル村に明るいうちに帰れないぞ」

「いや、俺たちはサメル村の小屋に泊まる。その為にガーネさん達に一週間の仕事を頼んだんだ」


そして俺とギャのズンダダ森の薬草調査が始まった。

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