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55・ギャが王都から村へ帰ってきました

「ただいま、マサル帰ってきたぞ」

「お帰り、俺から離れて寂しくなかったか」


ギャは馬車に乗って村に帰ってきた。

王都とサメル村を行き来しているカエデ製薬の馬車だ。


「当たり前だ。ギャはもう大人だぞ。むっ、む 胸は見るな、これは幼少時の栄養不足の影響だ。もう少しすれば解決する」

「別に見てない。ギャはまだ九歳だぞ。無理に大人ぶるな。それよりお袋や姉貴は優しくしてくれたか」


「オー、十分甘えてきた」

「だろうな、姉貴は妹が欲しかったからな」

何回も言う。妹でなく弟の俺が生まれ時、姉貴は暴れまわったそうだ。


「マサル様、依頼達成のサインをもらえますか」

ギャの護衛として村に来た冒険者だ。


「ああ、ご苦労だったな」

俺は護衛の依頼達成のサインをする。

冒険者としてサインをもらったことはあるが、するのは初めてだ。

ただ、この村には冒険者ギルドの出張所さえない。

後で何処かのギルドに出すのだろう。


「それで、私たちの住まいはどちらでしょうか」

「・・・えっ」


「あの、カエデ様からギャの護衛としてサメル村に行ったら薬草採取をやるよう、一年分の依頼料を前払いで貰っているのですが」

「そ、そうだったな」

姉貴ーーー、聞いてないぞ。


薬草採取が欲しいことは村長にも姉貴にも相談はしている。

さっそく手配してくれた姉貴には感謝するが、連絡はよこしてほしかった。


来てくれた冒険者は女性四人のバーティーだった。

あれ、これって、前に村長が言っていた、属性:光で教会から逃げる為に冒険者になって村を出て行った人かな。


「えっと。パーティー四人の中にこの村出身の人はいますか」

宿に案内しながら聞いてみる。


「はい、フェリンと言います」

メンバーの一人が返事をした。


「村に家族はいるのか」

「いいえ、私が八歳になる頃、家族で引っ越しました。今は王都の隣町で暮らしています」

「そうか」


八歳になると魔力検査をする。

その頃に転々と引っ越していれば魔力検査から逃げるのは容易だ。


ただ、フェリンの家族が村にいないとすると、フェリンの家に泊まってもらうことは出来ない。


「マサル。冒険者さん達には丘の上の屋敷に泊まってもらうのはどうだ」

「いや、あそこは使用人小屋に入りきれない労働者やバルノタイザン商会の人達が泊まっているだろ」


「ズンダダ森までの途中の森小屋が出来ただろ、それに森の入り口の森小屋もかなりできているはずだ。森小屋作りの職人はあっちに泊まっているのではないか」

「そうか、じゃあ屋敷の状況を見に行くか」


俺とギャは冒険者四人を連れて丘の上の屋敷に向かう。

俺も屋敷には行ってはいるが、バルノタイザン商会の事務所でムサイさんと、カエデ製薬の事務所でザエルさんに会うだけだ。

職人たちは仕事をしている時間に行くので、夜に帰って来ているかどうかは知らない。


「今日は」

「いらっしゃいませ。マサル様、こんな時間にどうなされました」

商会の事務所にはムサイさんがいる。

カエデ製薬のムンさんが来てからは、食堂サクラではなくムンさんの作る夕食を食べている。

おかげでこの時間でもムサイさんに会うことが出来た。


「ああ、実はカエデ製薬で薬草採取の冒険者を四人雇ったのだが、泊まる所をどうしようかと思って」

「そう言うことですか。大丈夫ですよ、屋敷で今寝泊まりしているのは私の他は、ザエルさんとムンさんだけです。二人部屋を二つなら用意できますよ」


「そうか、それじゃあギャ、ザエルさんとムンさんに声をかけて部屋の準備をして来てくれ」

「オー」


「あっ、私たちも手伝います」

冒険者の四人も部屋の準備に出て行った。


「マサル様、良かったですね、これで薬草採取をマサル様がしなくても良くなりますね」

ムサイさんも薬草採取を俺がやっているのを心配していた。


「ああそうだな。それでは俺は、みんなの分の夕食でも作るか」

冒険者四人分、そして俺とギャの夕食の準備の為に屋敷の厨房にいく。


材料を異次元鞄から出し、調理を始める。

肉を焼いてスープを温め、パンを出すだけだ。

調理が終わるころ、ギャが調理場にやってきた。


「マサル。泊まれるようになったぞ。あんな部屋でも豪華だと驚いたいたな」

「当たり前だ。これでも貴族の屋敷だぞ。それにあの部屋は客室ではなくバルノタイザン家が来た時に泊まる部屋だ。冒険者が普段泊まる部屋に比べれば豪華なのは当たり前だ。


「そうなのか、それと夕食が出来ているようだが、冒険者たちを呼んできてもいいか」

「ああ頼む」

ギャに呼ばれて冒険者たちが食堂に入ってくる。


「今日は俺が作った料理だ。明日から朝と夕はムンさんが作る食事をムサイさんやザエルさんと一緒に食べてくれ。昼は自分たちで作るか食堂サクラを使うように」

「わかった。依頼料は規定通り貰っているので、朝夕の食事代を払いたいのだが、いくらだ」


「朝夕はこちらで持つ、遠慮するな」

「わかった。遠慮と貧乏はするなと死んだ爺さんに言われている」

このパーティーのリーダーは判断が早くて助かる。


そして。

「「「「いただきます」」」」

食事が始まった。


「おっ、おいしい」

「これは美味いぞ」

「すごいな、簡単な料理なのに」

「いや、簡単ほど腕の違いが差が出るはずだ」

うん、喜んでもらえた。


食事をしながら冒険者の名前を聞いた。

リーダーはガーネ、サメル村出身はフェリン、後はシャクヤとノラバだ。

属性は全員が未検査だと言って教えてくれない。

多分フェリンの光を隠す為だろう。


食事が終わると、簡単な打ち合わせだ。


まずこの屋敷がバルノタイザン家の屋敷だと説明する。

バルノタイザン商会とカエデ製薬の事務所が有り、ムサイさんとザエルさんとムンさんが住み込んでいる。

掃除には村の子供たちがやっている事も話す。


「以上だ、明日からは俺と一緒に薬草採取をやるからな、今日はゆっくり休んでくれ」

俺も疲れた。食堂裏の家に帰って寝ることにする。

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