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50・合格でした

「いよいよだな」

「何がだ」


「サクラおばさまとカエデお姉さまが来るぞ」

「手紙を読んだのは昨日だ、いよいよと言うほど時は経っていないぞ。それに何だお袋をサクラおばさまとか姉貴のことをカエデお姉さまと呼ぶのは」


「王都に言ったとき覚えたのだ。こう呼ぶとお菓子をもらえたのだ」

「そう言うことか。まあ主人のお袋と姉貴を呼ぶのならそれでもいいか」


「主人とは誰だ」

「俺に決まっているだろ。魔法契約はしてないが、一応ギャは俺の奴隷だぞ」

「そうだった」


「それでマサルは何をするんだ」

「俺はやることが無い、見守るだけだ」

店の方は従業員に任せる。

昨日のチェックで問題はない。


俺はギャと今日のやることを考えていると。


「おはようございます。マサル様はいらっしゃいますか」

「おー、マサルはいるぞ。ロマンヌさんだな」

ギャは玄関のドアを開け、ロマンヌさんを家にあげる。


「おはようございます。ロマンヌさんどうしました」

「はい、今日サクラ様とカエデ様が家に泊まることなんですけど」


「困ったことでもあるのか、どうしても駄目ならこの家に泊めるぞ」

「いえ、この家はあまりにひどすぎます。私の家にお泊りいただくのですが、サクラ様は王都でも有名な食堂の料理をしていると聞いています。私の家では母が料理をするのですが、お口に会うでしょうか」

今住んでいる家は、薬屋兼食堂の建物のすぐ裏にあり、俺の方から頼んで借りているが、俺が住むにあたっては、ひどい家とは言わなかったぞ。

まあそれはいい。


「大丈夫ですよ。おふくろの店と言っても庶民相手の大衆食堂です。家では食堂の余りの食材を使い、雇いの料理人が作ってます。村の食堂サクラと大差ないものです。それにロマンヌさんがいつも持ってくるお菓子はお母さんの作ったものですよね。あれだけのお菓子が出来る人なら料理も上手ではないのですか」

「ギャも、ロマンヌさんのお菓子大好きだぞ」


「褒めていただきありがとうございます。それでもちょっと心配なので、出来れば今日の昼食を私の家で食べてもらえませんか」

「おー、マサル飯代が一食分浮いたぞ」


「わかりました、お伺いします」

「それでは、お待ちしておりますので」

ロマンヌさんはちょっと安心した顔で帰って行った。


そして、ロマンヌさんの家での昼食だ。


「もぐ もぐ もぐ おー美味しいぞ」

「そうだな、想像以上だ」

もしかしなくても俺より美味い。


「そうですか、良かった」

一緒に食事をしているロマンヌさんの母だ。


「もしかしてお母様はどこかで料理の勉強をしてこられましたか」

「・・・ええ、一応」

なるほど、初めて会ったとき村の育ちでは無さそうだと思ったが、それなりの所から嫁に来たみたいだ。


「お母さんは、あの有名なハトリ料理学校を出ているのよ」

おっロマンヌさん自慢したいんだな。

ハトリ料理学校、誰でも入ることが出来るが、実力の無い生徒はすぐに辞めさるので卒業生が少なくて有名な学校だ。


「そうでしたか」

王都にある学校でお袋もバルノタイザン家に来る前に通ったはずだ。

もしかすると顔なじみか。


夕方、それほど遅くない頃、お袋と姉貴を乗せた馬車が村に着いた。

ちなみに乗ってきた馬車はバルノタイザン家の所有だ、決してレンタルではない。


「奥様、着きました」

村長の家の前で、御者が小窓を開け馬車の中のお袋に告げる。


御者席の隣に座っていた使用人の男性が降りて来て馬車のドアを開ける。

馬車からお袋と姉貴がおり、出迎えの村長とあいさつをする。

当然俺も村長の隣に並んでいた。


「遠い所、わざわざお越しいただきありがとうございます」

「ええ、お迎えご苦労様です」

簡単な挨拶が終わると、お袋と姉貴は応接室に案内される。


「お母様、御茶の前に着替えてきます」

「そうね、私も着替えようかしら」

馬車の中とはいえ一日乗っていると埃や砂で汚れてしまう。


姉は王都の屋敷ではメイドを付けていないが、さすがに旅の時は専用メイドを付ける。

お袋はいつものメイドのアンと、姉貴は最近王都の屋敷に入ったメイド見習のリンと着替えに向かった。


ただの着替えにしては時間がかかると思ったら風呂も済ませたようだ。

当然、すでに夕食の時間。

そのまま夕食が始まる。


「久しぶりですね」

「ええサクラ様、卒業以来ですね」

やはり知り合いだった。


お袋と姉貴は村長の家に泊まる。当然メイドのアンとリンもだ。


「トニーさん、リンクさん、モークさんは丘の上の屋敷に泊まるんだな」

「はい、三人で一部屋らしいですけどね」

使用人のリンクさんが答える。

トニーさんは御者で、モークさんは護衛だ。

モークさんは馬車に乗らず、馬に乗って来ていた。


そして翌日、お袋と姉貴を村長の家に迎えに行く。

村長の家から薬屋と食堂は歩いても十分だが、馬車に乗っていく。

やはり村の管理者としての威厳は見せないといけないらしい。


「お袋、これが食堂だ、そして姉貴こっちが薬屋だ」

「見ればわかります。それでは見させてもらいますね」


「わたしも。マサルは夕方まで店に来ないように」

「姉貴、俺がいちゃ駄目なのか」


「目ざわりです」

「やーいマサル、除け者にされたぞ」


「違うぞギャ、俺が手助けするといけないからだ。仕方ないギャ、森に行くか」

「それは駄目だ、ニトルさんがいない」

そうだった、ロマンヌさんとの約束で森には居るときはニトルさんがいないと駄目だ。


仕方なく俺はギャの剣の稽古をして夕方までの時間をつぶした。


そして。

「まあまあね」

「まあまあですね」

サメル村の食堂サクラと薬屋カエデの合格が告げられた。

使用人の名前をジルからリンクに変えました。

後で出てくる女の子の名前をジルにしたかったからです。

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