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38・もう一泊することになりました

猪狩りに出かけた村人たち八人は夕方二頭の猪を担いで帰っきた。


「ただいま、一応二頭取れたが、多分ただの猪みたいだな」

リーダーのニトルさんの感じでは魔獣では無いみたいだ。


「確かめてみよう」

属性:闇のボイルさんが確認する。


「残念だが、ただの猪だ」

「そうか、まあただの猪でも毛皮と肉は取れるからな、だが出来れば魔獣猪も取りたい、そこでもう一泊したいのだが、食糧は大丈夫だな」


「ああ、ニトル。マサル君が料理を用意してくれたた。今日の夕飯はそいつの肉を使ったから大丈夫だ」

料理をした村人が、小屋の奥に置かれた解体された猪を指さした。


「おお、これはどうしただ」

「今日の午前中にマサル君が仕留めてきたんだ。ボイルさんに確認してもらったが魔獣猪だぞ」


「すごいな、マサル君は猪を狩ることも出来るんだな」

「ええ、皆さん勘違いしてますが、俺は薬師でも調理人でも教師でもありません、冒険者です」


「そうだ、マサルはスチールランクだが冒険者なんだぞ」

「ギャ、ランクは言わなくてもいい、試験を受けていないだけだからな」


「そうだった、自称カッパーランクだったな」

「自称と言うな、恥ずかしいだろ」


「いや、マサル君、一人でこの大きさの、ましてや魔獣の猪を倒せるのなら、シルバーランクでもおかしくないぞ」

「そうなんですか、まあ八歳から一人で冒険者をやっていればこれくらいの実力は付きますよ」

「マサル、ちょっと嘘つき、マサルが強いのは、ま・・・・・・」

慌てて俺はギャの口をふさぐ、魔剣は秘密なんだよ。


「何だ、ま…とは」

「ニトルさん気にしないでほしい、俺が負けず嫌いなのは人に知られたくないんだ」


「そうか、ま・・・けず嫌いなんだな」

「ああ」

ふー、何とかごまかせたな。


そのあと夕食が始まり。

全員が俺の作ったポークソテーに驚くのだった。


夕食も終わり。

「さあ、明日も狩りだ、早く寝ることにするぞ」

ニトルさんに言われ寝ることにする。


翌朝、俺は日の出前、うす明るくとめをさます。

隣でギャはまだ寝ている。


「さて、飯の準備でもするかな」

せっかく竈が有るので、薪を燃やしお湯を沸かして、スープを作り出す。

大人数分を作る時はコンロ魔具より薪竈の方が効率が良い。


作り置きを異次元鞄に入れておくが、熱々を入れるのは難しく、一度温め直したほうが美味い。

鞄の中のスープも残り少ないので新しく作るのだ。


お湯にダシを取るための骨を入れ煮込んでいく。

もう少し煮込みたいが時間も無いので、肉や野菜を入れていく。

味付けに塩と醤油を入れる。

醤油は隠し味程度だ。


食堂ではもう少し調味料やダシに凝るが、此処ではこれで十分だろう。


「マサル、いい匂いだ」

匂いに釣られてギャが起きてくる。


「ギャ、食卓の準備をしてくれ」

「おー」


ギャはテーブルの上に食器を並べていく。


「マサル、パンは何処にある」

「確か、あの袋じゃないかな」

村人たちが運び込んだ袋を指さす。


「マサル、これか。固いパンなら入っているぞ」

「ああ、それだ。こういう所では保存のきく固いパンを食べるんだぞ」

昨日の夕食はポークソテーだったので俺は鞄から柔らかいパンを出したが、スープが有れば固いパンでも食べられる。


「ギャは柔らかいパンの方が好きだが、奴隷だから文句を言わずに固いパンを食べてやるぞ」

「うん、とっても奴隷らしくない言い方だな」

ギャとあれこれ言っていると、村人たちやボイルさん達も起きてきた。


「おっ、マサル君、朝食を用意してくれたんだな」

「ええ、約束ですから」


「昨日の夕食も上手かったが、このスープもいい匂いだ、どうだマサル君、狩りの度に料理人としてきてくれないか」

「それはちょっと無理かな。俺は旅の冒険者ですから、一か所には長く留まらないのです」


「そうか、残念だな」

ニトルさん、昨日大型の魔獣猪を俺が狩ったのを忘れてしませんか、誘うなら料理人でなく狩人として雇ってくださいよ。


食事が終わると、村人八人は狩りに、ボイルさん達三人は魔獣の秘密を探るために森に入って行った。


「マサル今日は何をする」

「今日はだな、まず、あの猪の解体の手伝いをする」

ニトルさん達が取ってきた二頭の猪を指さす。


「そうか、それで」

「それで終わりだ、俺が此処に来た目的は終わっているからな」


「まさか、ボイルさんもわからない魔獣の秘密がわかったのか」

「ああ、この森が魔獣が増えやすい環境にあるのと、魔獣率がマルマ国より格段に高いことだな」


「なんだぞれ」

「ギャも魔獣兎の実験を見ただろ。魔獣同士だと子供の魔獣率が高かった。特に年に何回も出産し、一度に何頭も生む猪はある一定以上に魔獣率が上がると爆発的に魔獣率が増えるんだ」


「そうか、わかってみれば簡単なことだな」

「ああ、簡単なことだ。多分ボイルさんも気づいているはずだな」


「なら何で調査に行く」

「たぶん、猪以外の魔獣、出来れば魔獣牛を探しているはずだ」


「だが、マサル。繁殖に使うなら殺せない。生きたままマルマ国に運ぶのは難しいぞ」

「ギャ、ボイルさんはプラチナ爵だぞ、金が有るから人は集められる。人海戦術で何とでもなる」

別に大人の魔獣牛でなくてもよい、子供なら連れて帰ることが出来るだろう。

それに、ズンダダ森で魔獣牛や魔獣馬が取れることがわかれば、サメル村が狩りの拠点になる。

そうすれば、サメル村は大儲けだ。


「マサル、また顔がにやけた。金儲けの話だな。だがあたいは知っている。サメル村でのバルノタイザン家の権利はロバだけだ、魔獣の権利は持っていない。サメル村にお金が入ってもマサルには回らないのだ」

「ギャ、サメル村の食堂は一応俺のものだぞ、それにバルノタイザン家の屋敷も宿屋に出来る。なっ、お金が入って来るだろ」

まあ、何年も先の話だろうな。


昼までに猪の解体が終わると、やることが無くなった。


「ギャ、夕食の準備までこのあたりで薬草を探すぞ」

「おー」


小屋から余り離れられないので、見つけたのはよくある薬草ばかりだが。


「ギャ、此処の薬草は質が良いぞ、良く効く薬が作れそうだ」

「そうか、ギャにわかったことが有る、薬草とは魔植物なんだな」


「えっ、そうなのか」

それは気づかなかった、言われればその可能性が高い。

帰ったら調べてみよう。


薬草取りも終え、夕食の準備が終わるころ、狩りに行った村人やボイルさん達も帰ってきた。

狩れた猪は一頭だったが、なんと魔獣猪だった。


これでノルマが達成されたので、明日はサメル村に帰ることになった。

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