37・ギャの魔力属性
昼の食事を終えるとボイルさん達は再び森に入って行った。
「マサル、あたい達も小屋の回りで探索を続けるのか」
「いや、少しだけわかったから探索は終わりにする。代わりに料理作りの手伝いだな」
「そうだった、ズンダダ森に行く条件に料理作りが有ったな」
「ああ、それから、もし村人たちがただの猪を狩ってきたらギャに試してもらいたいことが有る」
「なんだ」
「ギャでも魔獣とただの獣の判定が出来るんじゃないかってことだ」
「別に猪でなくても良いはず、村には魔獣兎を狩っている」
「そうなんだが、兎だと小さくて『気のせいかな』になるからな。大きな猪ならわかりやすいだろ」
「そうなのか、それでどうやるんだ」
「まず、魔獣の判定は魔力属性:闇が出来る」
「そうだ」
「闇のエネルギーは負であり、魔獣から魔力を吸い出すんだ、吸い出した魔力で判定している」
「ただ触れているだけではないか」
「違うな、本人たちも感じているだけだと思っているかもしれないが、あれは魔力を吸い出している」
「魔獣は魔力を帯びているがただの獣には魔力は無いはずだぞ」
「全くゼロではない、飲んでいる水にも魔力は含まれているからな。ただ魔獣のように細胞一つ一つにまで浸透しないんだ」
「人間の体は半分が水分だな。それに魔力が含まれても意味無いんだな」
「そこまで俺はわからないが、魔具に魔力を入れるときに使っているかもしれないな。そう考えるとバフかけやヒールも体内に有る魔力を使っているのか」
「おっ、新しい考えだな、学界にでも発表しろ」
「無理だ、あくまで俺の想像だからな、それで本題に戻すが、闇が負なら光は反対の正だ」
「そうだな、マサルはギャにヒールをかけた時、マサルが送った魔力を感じた」
「よくわかったな、俺はギャにヒールをかけたとは言ってないぞ」
出発の朝、ギャは本当に死にそうだった。
ポーションも飲ませたが、一応ヒールもかけておいた。
「言われないからお礼も言ってない、これで相子だ」
「変な理屈だな、まあそれでギャに魔獣とただの獣に有る魔力の違いを感じてもらいたいんだ」
「そんなこと出来ないぞ」
「たぶんできる。ほら今朝椎の実を拾ったら手のひらが温かくなったと言ったろ、あれは椎の実に含まれる魔力に反応したんだ。あの椎の実は魔力を吸収していたからな」
魔力を吸収している椎の実か、魔植物だな。
ズンダダ森は魔獣率が高いだけでなく魔植物もいるんだ。
「ならば、ギャが触れて、温かく感じれば魔獣なんだな」
「そうだが、獣には体温が有る、だから死んでないと駄目なんだ」
「もしかしてマサル、毛皮を触ると魔獣のかどうかわかると言っていたが、それはマサルの能力なのか」
「ああ、家に魔獣の素材が有って小さい時から触れているから何となくわかるのかと思っていたが、どうやらこれは属性:光の力らしい」
「そうか、だがあたいは属性の検査をしていないぞ」
「間違いなくギャの属性は光だ、おまえゴーグルを渡すときに目は魔力で保護しているから大丈夫だと言ったろ」
「おお、よく覚えていたな、まぶしい時は目の周りにボワッと魔力を集めるとまぶしくなくなったんだ」
「それは魔力で光を抑えて眩しさを抑えたんじゃない、ギャが瞳にバフかけして耐久性を持たせたからだ」
「そうなのか、あれがバフかけなのか、それじゃあギャはヒールも使えるのだな」
「ああ、勉強して訓練すればな。しかし奴隷商がギャの属性に気付かなくて良かった。もし気づけば三千万円でも買い手が付いたな」
「そうか、ギャはやはりすごかったんだな」
「そうだ、それより話が長くなったな、そろそろ料理の手伝いをするぞ」
「おー」
食事の支度と言っても二泊三日分の食事くらい俺の異次元鞄に出来上がった料理が入っている。
出すだけなのだが。
「マサル君、多分料理は作って持ってきていると思うが、時間も有ることだし、何か一品料理を教えてくれないか」
「ええ、良いですよ、それであの肉使っても良いですか」
俺は午前中に取ってきた魔獣猪を指さした。
「そうだな、持って帰るには大きいし、使う素材は革と骨くらいだから解体するか」
「そうですね、それでは厚切りのポークソテーでも作りますか」
猪の血抜きが終わり、村人たちは手際よく毛皮を剥いでいく。
肉も切り分けられていく。
「マサル、新鮮な肉だうまそうだな」
「そうだったかな・・・」
たしか肉は熟成させるとうまい聞いたことが有る。
熟成は低温で保存する必要があり、常温では腐ってしまう。
『あれ、冷蔵庫って作ったよな。あれを使えば肉を熟成させて美味しくできるぞ』
俺はひらめいた、そうだ冷蔵庫を使って肉を熟成させれば、美味しい料理が出来る。
これは新しい商売につながりそうだ。
「マサル、ニヤニヤしている。新しいお金儲けを考え着いたな。ギャも一枚かませろ」
「顔に出たか、お金も儲かるが上手い肉料理の食べ方を思いついたんだ」
「そうか期待しているぞ」
「ああ、それより肉の用意だ出来たようだな、下ごしらえを始めるぞ」
おれはポークソテー用に醤油みりんなどの調味料をカバンから取り出した。
「マサル、この真っ黒な調味料はなんだ」
「これは醤油と言ってな、大豆を発酵して作るんだ、醤油麹が手に入ったんでお袋と作ったんだ」
「手作りなんだな、真っ黒でまずそうだが大丈夫か」
「ああ、食べて驚いてくれ」
その日の夕食、ポークソテーを食べた全員が。
「「「「「「うまい」」」」」」
とだけ言って、後は無言で食べ続けていた。




