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3・ギャをどうするか

父に言われ、わが家が管理するサメル村に向かっている。

『魔力操作力:極小』と判定され、奨学金が貰えないので王都学校に行けず、家の仕事を手伝うことになったからだ。


王都を出て一日歩き宿場町の安宿に泊まっている。


「さてどうするか、自分で拭けるか」

俺は宿の風呂に入れるが奴隷は駄目だと言われた。

仕方ないので、桶にお湯を汲んで厩にいるのだが。


「自分で拭ける」

「そうか、さすがに子供とはいえ女の体を拭くのは無理だからな」

今朝死にそうだったギャは俺の作った薬と昼の食事で自分で体を拭けるくらいには元気になっている。


体を拭き終わったギャは着てきた汚い服ではなく、俺が鞄から出した服を着させた。

「俺の服だが、ちゃんと洗濯してあるからな、大きいがその汚い服よりはましだ」

「ありがとう」


「此処の宿場町には商店街があった、明日服を買ってやる」

「うん、でもお金大丈夫」


「ああ、これでも八歳から七年間バイトをしてきたからな」

「なんで貴族がバイトなの」


「俺は、八歳の魔力検査で、『魔力捜査力:極小、属性:無』の判定をもらったからな、将来のためお金をためておこうと思ったんだ」

「でも極小の無じゃ、たいしたバイトできない」


「お前奴隷のわりによく知っているな。まあ普通はそうだ、だがまあ色々やり方があってかなり稼いだ」

「そうだよね、あたいは死んじゃったから、ただだったけど、買おうとしたんだから五万円は持っているものね」

ギャは死んではいない、死んだように見えただけだ。


「んっ、五万円。俺も奴隷のことは詳しくはないが、百万から五百万するんじゃないのか」

「そうだよ、でも私は五万円 って、ご主人様は五百万円持っているの」

持っているよ、それくらい。


「お前が金の心配をするな、それに親からも旅のお金はもらっているからな」

バイトは親には内緒していた、当然鞄に仕舞っているお金も内緒だ。


体を拭き終えたギャを連れて部屋に戻る。


「よし、夕飯にしよう、とは言っても昼と同じだがいいな」

「うん」

一応スープは四種類用意してある、同じといっても飽きないだろう。


どうする、ギャを連れてサメル村まで行くのか。

サメル村は三つの町と二つの村の先にある。

王都から町へ、町から次の町へと一日で着く。そのあとの町から村へも一日で着く距離にある。

野営をすることなくサメル村まで着ける予定だ。

サメル村までは順調なら歩いて六日だ。


異次元鞄の中には三食六日分の食事を入れてきたがギャを連れていくので途中で無くなる。

連れていくなら、食料の買い出しも必要だな。

おっと、忘れていた、ギャの服も買わないとな。


翌朝、宿の老婆にもう一泊空いているか聞く。

「ああ、空いているぞ。それと、まーなんだな、厩で女の子が裸になるのはよくないな。今日はお前達しか泊まらないから、風呂を使っていいぞ」

ギャの風呂の許可が出た、まあその代わり宿代が一万三千円に上げられた。


朝飯を食べ終わるとギャを連れて街中にでる。

まずは服と靴だ。

服はお古を売っている店を探す。

子供服はすぐに着られなくなるのでリサイクルショップを回ると安く手に入るのだ。


そして靴、これは足にしっかり合わないと困まる。

お古では見つからなので靴屋で買うことになった。


「ご主人様、こんなおしゃれな靴もったいないよ」

「そうか、結構似合っていると思ったんだがな」

売っていた靴は、おしゃれなのに丈夫で実用的な真っ赤な靴だ。


「そうじゃ無いってば、あたいには高価すぎるんだよ」

「いや、旅に靴は大切だ」

無理やり俺の選んだ靴を履かせる。


「兄さん、目が高いね。これ魔獣の皮を使っているんだぜ」

「ああ、それくらいはわかるさ、それよりこの値段でよく魔獣の皮の靴を売っているな」


「へへへ、間違えて女の子のサイズで作っちまったんで売れねえんだよ。だから原価なんだ」

「そうか、まあ十万なら買い得だったな」

魔獣の皮は丈夫でしなやかで蒸れない。魔獣があまりとれないので、十万円は格安だった。


「ご主人様、あのーお願いしていい」

「ああ、なんだ」


「下着も新しいのにして」

「そうだったな。下着は雑貨屋でも売っているはずだ」

下着以外にもギャに必要なものもあるだろう。雑貨屋に向かった。


雑貨屋のおかみさんが面倒見がよく、あれもこれも進められ、いろいろ買ってしまった。

ギャの専用鞄も買って、ギャの日用品はそっちに入れた。


「いやー、いい買いっぷりだね。持って帰れるかい」

「ああ、外に荷車があるだろ、あれに積めば大丈夫だ」

念のため荷車を引くロバを連れてきて正解だった。

異次元鞄は人目のある所ではあまり使いたくない。


王都を出てからずっと同じ食事だったので、ここでは昼飯は食堂でとることにする。


「おい、何が食べたい」

「あたい、外の食べ物知らない、食べられればなんでもいいよ」


「そうか、奴隷商の店から出て食事をしたことが無いんだな」

とはいえ、俺が作った食事より美味い店が有るかだ。


「ご主人様、良い匂いがする。あっち」

ギャが指さす。

「とりあえず匂いの方へ行ってみるか」


ロバを引き二人で歩いていくと。

『大衆食堂、花』と、看板のある食堂があった。

うん此処なら旨そうだな、俺の勘が言っている。

ロバは店先につなぎ、桶を借りて鞄から草を出して食べさせる。

みんな忙しいのだろ、鞄より大量の草を取り出しても誰も気づかなかった。


二人で腹いっぱい食べる、勘は当たって美味い飯だった。


「これからどうするの」

「ああ、食材を買って、宿の調理場で調理だ。村に着くまでのギャの食事を用意しないとな」


宿に帰り調理場を借りる。

「五千円でいいぞ」

老婆に言われた、絶対ぼったくっているだろ。

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