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28・ロバの出荷

「マサル、今日は朝から広場に人がいるぞ」

「ああ、昨日ロバの受け取りにバルノタイザン商会の人達だろ」


「丘の上の使用人小屋に泊まったやつらだな」

「奴ら言うな。まあそいつらがこの村に来る時に馬車に乗って来たな」


「ああ、ロバ屋なのに馬で来た」

「それはしょうがない、馬の方が荷物を沢山運べるからな」


「わかったぞ、マサル。その荷馬車に村で必要な物を積んできたんだ」

「正解だ。サメル村はほぼ自給自足が出来るが、服や日用品は買っているからな」


「よし、あたいも買い物にいく」

「お金持っているのか」


「無い」

「まあいい、俺が払うから見に行くか」

朝飯を食べ終わると俺とギャは広場に作られた簡易市場に向かった。


バルノタイザン商会は馬車二台で来ている。

サメル村まで馬車が来れるようになって五十年だ。

山を削り谷を埋め橋を架けて道を広げたからだ。


「ギャ、何か欲しいもは有ったか」

「特に無かった」


「いや、欲しそうに見ていた服があっただろう」

「・・・・・・うん」


「上下三着ずつなら買ってやるぞ」

「いいのか」


「奴隷を養うのは主人の務めだろ」

「そうだったな。それならあれとこれも買え」


「お、おう。まあそれくらいまでならいいか」

市場に並ぶ商品には高額なものはないので買ってやる。

高額な物や俺が頼んだ特殊な調味料などは、あらかじめ注文するから市場に並ぶことは無い。


市は昼前で終わる。

明日バルノタイザン商会がロバを連れて王都に向かう準備が有るからだ。


「マサル、あれが出荷されるロバか」

「ああ、そうだ」

出荷の為に十頭のロバが広場の柵につながれている。


「あれだけで、村の収入は大丈夫なのか」

「大丈夫だな。それに出荷は年に数回ある。今年は魔獣の素材のすり替え事件が有って今回だけだがな。それにほら、空になった馬車に荷物が積まれているだろ」


「ロバ以外にも何か売るのか」

「ああ、魔獣じゃなかった獣の革だ」


「もしかすると、魔法式が付与された魔獣の毛皮も交じっているか」

「そうかもしれないし、そうでないかもしれないな」


「なるほど、混じっているな。王様に言いつけてやる」

「ギャは王様に会えるのか」


「会えない」

「そうだろ言いつけるのは無理だ。それにすり替え事件で納品できなかった代わりは用意してあるそうだ。近いうちに業者が取りに来る」


「うーん、マサル。魔獣をサメル村では取る気になればもっと取れるんだったな」

「そうだ、言っただろ、魔獣馬と魔獣牛を扱っている貴族に怒られない程度に売っているって。実際はもっと狩っているだ」


「なるほど、で、どうなんだ、本当はどれくらいの割合で魔獣が混じっている」

「そうだな、一般的には魔獣は二百頭に一頭と言われているが、サメル村で狩っている猪は五十頭に一頭は魔獣だな。それに、馬や牛と違って猪は一回に沢山の子供を産むだろ、だから狩りをして間引かないと森が荒れたり畑を荒らしに来るくらい増えてしまうんだ」


「サメル村の山は魔獣と相性が良いんだな」

「ああ、猪と兎だけらしいがな」


「そうか、ロバからは魔獣が生まれていないのだな」

「そうらしい、今では魔獣がいるかすら調べていないそうだ」

サメル村のロバは、荷物運びの為のロバとして出荷している。

魔獣ロバの判別をする必要は無い。


広場のロバは明日の朝早く村を出る。

馬車に乗せるのではなく歩かせていくのだ。


出荷されるロバは、ただ大きくしただけではない。

飼い主の言うことを聞いて、荷物を積んだり荷車を引くなどの訓練もしてある。

綱につなぎ、引いて行けば素直についてきてくれる。


翌朝、ギャが見送りたいと言うので店の前に立っていると。

「マサル、寒いな」

「ああ、此処は標高が高いから王都より寒いぞ」


「雪は無いのだな」

「まだ十二月だからな。一月から二月はうっすら積もるらしい」


「なあ、マサル。寒いから王都に帰らないか。バルノタイザン商会の後ろについていくぞ」

「いきなりは無理だ。早くて次の春だな、出来ればもう一年いたい。そうだ、寒いならカイロ魔具が有るぞ、自分で魔力を入れて温まれ」


ギャにカイロ魔具をわたす。

石鹸くらいの大きさの石だが、魔力を込めると温かくなる魔方式が付与されている。


「おー、懐が温かくなるな」

「ギャ、それって意味が少し違うぞ」

ギャは奴隷商で一緒にいた奴隷から色々教わったようだが、わざと間違えて覚えさせられたようだ。


商会の馬車とロバが出発したので、俺とギャは薬屋の店にはいる。

しばらくすると、


「おはようございます」

店員が出勤してきた。そろそろ店を開ける時間だな。


「ギャ、寒くなったから、薬草採取は春まで休むぞ、冬の間、みっちり薬作りと料理と、そうだな読み書き計算と剣の稽古をみっちりやってやる」

「そうなのか、ギャは布団の中で冬眠がしたいぞ」


「だめだ、ほら店の準備を始めろ」

ギャに薬屋の準備をやらせ、俺は食堂の調理場に向かった。

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