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20・薬屋の裏にある家を借りました

「なあ、ロマンヌさん」

「なんだ」


「薬屋の店舗の裏の家、空き家みたいなんだが」

「ええ、空いています。昔この店をやっていた老夫婦が住んでいた家ですね」


「そこを貸してくれないか」

「使用人小屋じゃ不満ですか」


「此処での仕事が増えて通うのが大変なんだ」

「そうですか、お家賃をいただけるのなら構いませんよ」


「家賃か、まけるよな」

「えーと、しょうが有りません、最安値でお貸しします」


そんなやり取りがあり、俺とギャは丘の上の小屋から引っ越してきた」


「おう、ここなら井戸が近いぞ」

「そうだろ、丘の上に有る小屋と屋敷は暮らすには不便なんだ」


「だが、マサルとギャがここに来ると、掃除の子たちの仕事がなくなる。マサルのお菓子食べられなくなって残念だな」

「掃除はそのまま続けるんじゃないかな。まあお菓子と昼の食事はこっちで作ってロバに運ばせるか」


「お菓子と昼飯はわかったが、続けるのはなぜだ」

「ほら、バルノタイザン家がサメル村に無関心だってロマンヌがぼやいていただろ」


「そうだな」

「そこで王都の家に手紙を出した」


「いつだ」

「此処で出すと怪しまれるから、薬作りの日に隣村までひとっ走りして出してきた」


「ああ、作業部屋に『立ち入り禁止』の札があった日か、それで何を書いたのだ」

「ああ、親父の会社から信用のおける者をよこしてもらう。俺がここではバルノタイザン家と関係ない冒険者であり、薬師や料理人として暮らしていと書いておいた。そうすれば俺のことを知らないか知らないふりをしてくれる人が来るからな」


「そいつは何をするんだ」

「とりあえず、村の窓口になって、村の意見を聞いて親父に連絡する役だ。親父は村の管理者だろ、管理者に直接意見をすることで、少しだが気を晴らしてもらう」


「意見を言うだけで気が収まるのか」

「多少はなるな、それにおやじなら良い意見なら聞くぞ。悪口も当然聞が聞くだけで無視するけどな」


「そうなんだな、まあそいつが来てもギャは関係ない、マサルと薬と食事を作る」

「ああ、その前に、借りた裏の家の掃除だ」


「また掃除か」

「しょうがないだろ、今度の家は子供たちの応援は頼めないからな」


「わかった、小さい家だからすぐ終わらせよう」

「そうだな」


こうして俺とギャは村の中心部で暮らせるようになったが、することは一緒だ。

薬草の採取、薬づくり、店番、食堂の料理作りの繰り返しだ。

日曜日は休みにしてあるが週休二日は遠い夢だ。


薬は怪我人か病人がいなければ店に買いに来ないが、食堂は毎日繁盛している。

薬草採取の日は料理が作れないので、作れるときに作れるだけ作り異次元鞄に保管しておく。

異次元鞄は手伝いに来ている子には秘密なので、手伝いが店に来る前に鞄から出しておく。


「マサル、朝から出しておいて腐らないのか」

「ああ、最新の魔具が付いた箱に入れれば大丈夫だ」


「なんだその魔具は」

「熱を吸収する魔具だ」


「吸収するのか、魔具は光るか熱くなるだけかと思っていたぞ」

「まあ熱くもなるな、見ろこの石板が魔具だ。魔力を入れると片面が熱くなるが」


「おっ、反対の面が冷たいぞ」

「そうだろ、この板をこの箱の此処にはめて魔力を入れれば」


「箱の中が冷たいな」

「そうだ、この中に食材を入れておけば腐らない」


「よくやったマサル。この魔具もリサイクルショップで手に入れたのか」

「いや俺が、というか俺と爺で作った」


「マサル特許だ特許を取るぞ」

「当たり前だろ」

当然だ、この発明は大発明だ。

大発明だが作るのは属性:闇の人がいれば簡単だ。


魔力で発熱する魔具に属性:闇の人間の魔力を流してもらうだけだ。

何故こんなことを思いついたというと、魔力検査で属性:闇だと検査機の水晶が黒くくすむ。

そこから闇の魔力は負のエネルギーを持っていると考えていたんだ


そこで、爺に暖房に使う魔具に『爺の魔力を流すと片面から熱を吸って片面が放出する魔具になるからな』と何度もいい聞かせてから魔力を流してもらった。


何とこれでうまくいってしまったのだ。

一度できてしまえば誰の魔力でもこの魔具は動いてくれた。

爺の注いだ魔力は暖房魔道具の魔法式の書き換えに使われたのだろう。


これで冷蔵庫ができた。

もうすぐ来る親父の会社の人を使い特許の申請をしてもおう。

おふくろの食堂でも姉貴の薬屋でも重宝するはずだ。


「マサル。部屋が暑いぞ」

「そうだった。箱の中は冷えるが回りは熱くなるんだな。ギャ、水をかけて冷やしてくれ」

まあ暑い日は水をかける手間はあるが冷蔵庫があれば、朝に作り置きの料理を入れておけば温めるだけでお客に出せる。

冷たい飲み物も売れるだろうな。


店に手伝いにくる子には王都の新商品と説明した。

田舎の子を馬鹿にするわけではないが、うまい事騙されてくれた。


「マサルさん、この箱は」

「冷蔵庫だが」


「王都の新製品でしょうか」

「そうだ」


「マサルさん、嘘ですね。私と爺でこの間まで旅をしていましたが、こんな新製品見ていません」

「・・・・・・黙っていてくれますか」


「一台作ってくれるのなら」

「わかりました」

ロマンヌさんは冷蔵庫を一台で見逃してくれた。


そして。

「マサル様、作るのは爺でございます」

うんそうだね、爺には何かおいしいもでも作ってあげよう。

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