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18・許可をもぎ取りました

「マサル、今日は薬草取りか」

「ああ」


「ついでに狩はやらないのか」

「やらせてくれない」


「それは魔獣のことだろ」

「いや、全ての獣も駄目だそうだ」


「なぜだ」

「怪我が心配だそうだ」


俺は、薬草採取、薬草作り、店番、休みのローテーションを繰り返していた。

店番に行くと必ずロマンヌさんが来るので。


「狩りをしてもいいか」

「駄目です」


「魔獣じゃないぞ、薬草取りに行くと兎がいる。それくらい狩ってもいいだろ」

「だめですね、兎を許可すれば、次は猪だ、次は熊だ、次は虎だ、次は竜だと言いそうです」


「虎はともかく竜もいるのか」

「失礼竜は伝説でした。この村から西へ百里、北へ二百里行った山の山頂にいると言われています。ところでマサルさん、食堂を始めてみませんか」


「それって、俺を森に行かせないためですか」

「否定しません、でもマサルさんは料理がお上手なようですね。小屋と屋敷の掃除に行ってる子供にが昼飯がうまいと言っており、掃除に行きたがる子供が押し寄せているんです」


「そうか、あれ以上来られても掃除する場所は無いぞ」

「ええ、それは調整しております。それと此処に来る暇人に簡単な料理を出しましたよね」


「あれは作りすぎた時のあまりものだ」

「そう、それでは食堂をやってくれたら狩り以外の願いを、お礼にかなえてあげますが、どうですか」


「ちっ、狩りは駄目か。ならいつもここに来る暇人は何者か教えて欲しい」

「ただの暇な老人達です」


「一人若いのもいたぞ」

「見た目が若いだけですね」


「それじゃあ答えじゃない、食堂はやらなくて良いんだな」

「困りましたね、でも遊びに来る人の為に、昼飯を作るくらいはやってくれませんか」


「材料が無い、狩りができれば用意できるのに残念だ」

「しょうがないですね、わかりました、薬草を取るために許可した山だけ、取るのは兎だけにしてください、これで食堂を始めてくれませんか」


「ああいいだろう、それと店をロマンヌさんのお金で広げてくれ」

「ええ、言い出したのは私ですから」


ロマンヌさんの頼みを受けて薬屋は『食堂兼薬屋』になった。


「マサル、狩りが出来て良かったな」

「ああ、これで調べられる」


「何をだ」

「サメル村の周りの魔獣の割合だな、魔獣は数百頭に一頭生まれる突然変異らしいんだ。だけどその割合にしてはサメル村で取れる魔獣が多いみたいなんでんね。それと沢山取れたら繁殖も試したい」


「魔獣を増やせるのか」

「ああ、魔獣同士なら五頭に一頭は魔獣で生まれるらしいからな」


「そうか、それにしてもロマンヌさんが答えてくれなくて残念だったな」

「いや、あれで確信できた。若い暇人も闇属性だな」


「暇人もって、他にいたか」

「ああ、爺がそうだ」


「そうなのか、サメル村に来て闇が二人だな、そんなに闇はいるのか」

「うーん、炎 水 風 土はだいたい同じ割合だが、闇と光は三百人に一人だな、闇はほとんど(生物学的)男性で、光は(生物学的)女性だが、闇の二十人に一人が女性で光の二十人に一人が男性だな」


「光の男性は六千人に一人だな」

「ギャは計算が速いな」


「ところでなんで若い暇人はいつも薬屋で遊んでいるんだ」

「貴重な存在だから、守っているんだろう。異次元鞄が作れるし、狩ってきた獣が魔獣なのか仕分けができる」


「闇なら魔獣鞄が作れるのか」

「辛く厳しい鍛錬を積むと作れるようになるらしい。爺や暇人は村では鍛錬できそうもないけど、ロマンヌさんが異次元鞄を持っていたから、作れることは作れるんだろうな」


食堂を始めて二か月、山に入るたびに食材の兎を狩っている。

素材にすれば俺でもなんとなく魔獣のだとわかるが、生きたままの魔獣の判別は属性:闇で無いとできない。

なので爺にやってもらう。


ただの兎はおいしく食べられ、魔獣なら飼うことにした。

飼うためのウサギ小屋は薬屋兼食堂の近くに作ってもらった。

ウサギなら静かで匂いも少ないので食堂の近くでも問題無い。


「マサル、せっかく作ったウサギ小屋、一匹しかいないぞ」

「しょうがないだろ、山に入るのは週に一日、取れるウサギも五匹が限界、数百頭に一頭しか魔獣が混じらないんだ、一頭でもいいほうだぞ」


「まあいい、ウサギのお肉毎日食べられる」

「そうだな、そのせいか、ギャもふっくらしてきたな」


「ああ、マサルの食事のおかげだ」

「髪もおかしくなくなったな」


「少し伸びたらロマンヌさんが整えてくれた。でもまだ女らしい髪型になってない」

「それと」


「まだあるのか」

「村の人がギャの白目に慣れたからと言ってゴーグルを外すな。目に悪いぞ」

「わかった、外ではかける」


王都を出てからだと三か月になる。

七月になって日差しは強くなっていた。

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