15・ロバがはやり病にかかったのです
俺の家、バルノタイザン家は今から二百年前に、今いるサメル村でロバの繁殖と飼育に成功して、当時の荷物の流通の大きな恩恵をもたらした。
その功績により国よりゴールド爵を爵位していた。
「ギャ、俺のひいひい爺さんの時、ロバがはやり病にかかったんだ。サメル村のロバは半滅した。その結果、数年にわたりロバによる収入がなくなったんだ」
「大変だね」
「ああ、大変だった、結局五年は利益が上げられず、税金を払えなかったんだ」
「王様に怒られる」
「そうだ、借金をしてでも払えと言われたそうだ」
「借金しなかったんだ」
「ああ、当時はまだロバの利用が多く、再建に融資してくれる話も来たそうだが、ひいひい爺さんは、時代は馬に移っているって考えて、借金をせずに降爵を選んだんだ」
「そうすると税金を払わなくていいの」
「いや、免除にはならない。税金を払うために王都にある屋敷を売ったんだ。それに、ゴールドからシルバーになると貴族として日ごろかかるお金が少なくて済むんだ」
「そうか、でもサメル村では魔獣が取れるのだろ、借金返せなかったのか」
「その頃はまだサメル村では魔獣を狩っていなかったんだ。ロバが半減すれば村も収入が無くなるだろ、幸いサメル村は小麦や豆、芋や野菜も作っていたし、猪やウサギは山で狩ることが出来たから、飢えることはなかったんだが、バルノタイザン家のために何かできないか考えていたんだ」
「考えるだけで魔獣がとれたのか」
「いや、獣は狩っていたんだが、それが魔獣かただの獣かわからなかったんだ」
「もったいない」
「それに、魔獣狩りは国によって厳重に管理されている。届け出をしないで狩りをしたら殺されてしまうかもしれないんだ」
「じゃあなんで魔獣を狩れるようになったの」
「村の収入のために、今まで狩った獣の毛皮を売りに出したんだ、安くても売れれば収入になるからな。そうしたらその中に魔獣の毛皮が混じっていたんだ」
「王様にばれたら怒られる」
「そうだ、すぐに担当の役人が来た」
「怒られただろう」
「ああ、だがサメル村の人達が魔獣だと知らなかったことをわかってくれた」
「やさしい役人で良かったな」
「そうだ、そして当然その話は村の管理者であるバルノタイザン家にも来ていた」
「ラッキーじゃないか、これで借金が返せるぞ」
「いや、魔獣の素材を扱って良いのはプラチナクラスの貴族だけだ。確かこの国で扱える貴族は二つだけ。サメル村の魔獣をどちらかの家に任せるしか無かったんだ」
「そうしたらサメル村取られるんでしょ、ロバも半減したし、マサルの家つぶれる」
「そうだったが、二つの貴族がどちらも断ったんだ」
「なんでだ、儲かるんだよね」
「それが、どちらの貴族も王都の北の村で魔獣を扱っていたんだ。サメル村は王都の西だ、とても遠いじゃないか」
「うん、王都から来るの大変だった」
「そこで、ひいひい爺さんは、サメル村でとれる魔獣は、国で直接管理してほしいとお願いしたんだ、そうすれば魔獣での利益はバルノタイザン家には入らないが、狩りをした手間賃は村に入るだろ、国も書類の手続きが一番簡単なこの案を飲んでくれた」
「良かった、丸く収まった」
「いあ、まだこの段階ではロバは半減したままで税金は払えない」
「屋敷を売っても残っているのか」
「滞納分を払っただけだ、来年や再来年もロバが少なければ払うことが出来なかったんだが、来てくれた役人が頑張ってくれて、ロバ牧場の経営が元に戻るまで、サメル村の魔獣素材で国が得た利益の一部をバルノタイザン家の税金に回してくれたんだ」
「優しくて優秀な役人だな」
「ああ、それから村の人が頑張って魔獣を狩ってくれるし、ロバも五年で元の数に戻った」
「村人に感謝だな、それだけバルノタイザン家が慕われていたんだな」
「まあ、屋敷を売っていたからな、村人に同情される管理者じゃ情けないけどな」
「遅れた税金が払い終われば、街は大儲けだな」
「ああ、サメル村の山には魔獣が思いのほか多くいた。そのうえ魔獣の判別の出来るものがいたんだ」
「良かったな」
「ああ、そいつは今までは、なんとなく変な獣が混じっていると思ったことが有ったそうだが、それが魔獣だと知らなくて、変な感じの獣だと思っていたんだ」
「わかった、優秀で優しい役人に教わったんだ」
「そうだ、これが魔獣だとわかれば、それからは判別できる。だがこれがちょっとまずいことになった」
「なんでだ」
「サメル村で魔獣狩りが始まると、魔獣をたくさん取ってしまったんだ」
「良いことじゃないか」
「魔獣を扱っている他の貴族はどう思ったと思う」
「魔獣の素材増える、値崩れする、・・・・・・そうだな、恨まれる」
「そうならないよう、サメル村では少ししか魔獣が取れないことにしたんだ」
「すでにバレているんだよね」
「今まで狩っていなかったから始めの内だけ取れて、一巡したらいなくなったことにした。あとは少しずつ狩ったんだ」
「そうなんだ」
「まあ以上が我が家がシルバーに落ちたのとサメル村が魔獣を狩るようになった理由だ」
「話が長くてギャはもう忘れた、疲れたから飯食って寝る」
わかっていたが、無駄な時間を使ってしまった。俺も飯食って寝ることにした。




