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109・薬草採取者

「姉貴、ガーネとフェリンをサメル村から呼び寄せたいんだが、いいか」

「突然ですね。何をさせたいのです」


「ああ、ガーネとフェリンに王国中を回って薬草採取を教えて貰いたいんだ」

「教えるって、誰を教えるですか」


「そうだな、まずは薬草採取を主にやっている冒険者、それと薬草採取者だな」

「冒険者はわかります、けどなぜ薬草採取者なんですか」

姉貴は王国で薬草が不足しているのは知っているが、原因まではよくわかっていない。

腕の良い薬草採取者が少ないからだ。


「俺が冬休みと期間休みで王国中を回ってきてわかったんだが、まともな薬草採取者がいない。そのおかげで新しく薬草採取者がまともに教わっていなかったんだ」

「そうなの。マサルがサメル村に行った後、ガーネさん達で薬草が手に入りましたよ」


「その時、姉貴だって薬草採取の上手い冒険者や薬草採取者を探すの、苦労してんじゃないのか」

「ガーネ達の噂を聞いていましたから。頼んだら来てくれました」

それって、姉貴の情報収集能力が高いからだろ。

それに、買取の条件も高く出したはずだ。


「ガーネさん達は冒険者だろ、その時、姉貴は腕のいい薬草採取者を見つけられたか」

「そう言えば、いませんでしたね。そもそも薬草採取者の多くがダンブロア家の薬師に雇われていてフリーの採取者がいなかった気がします」


「うーん、姉貴。本当は知っているんだろ」

「本当と言うと、かなり前からダンブロア家で薬草採取者を抱え込んでいることや、抱え込まれた採取者が競争するため自分の情報や採取方法を誰にも教えないので、後継者が途絶えたとか、そんなことですか」


「そして、・・・腕の良い薬草採取者がいなくなった」

「そうでした。どうも自分の所では薬草が足りていたので忘れていたようですね」


こうして姉貴の許可をもらい、ガーネとフェリンに王都に来てもらうことにする。

ノラバとシャクヤは引き続きズンダダ森で魔獣牛の管理だ。


「マサル、フェリンさんがいなくなると、サメル村で取れる薬草が少なくならないのか」

「それは大丈夫だ」

ギャは心配したが、既に村人での薬草採取で支店を含むカエデ製薬の分は足りている。ズンダダ森に猪狩りに行く狩人にも薬草採取を教えたのもよかった。

そして、村長が隠しているので俺も聞いていないが、属性:光の人も薬草採取をしているはずだ。

村人が何気に取って来る薬草の中に、貴重な上級薬草が紛れていたからな。


俺が村にいたのは二年だ、それだけの期間で村人たちは一人前の薬草採取者になっている。

教える人さえいれば、薬草不足の問題は解決する。


はずだったが。


「マサル、薬草採取を教えに周るのは良いことです。でも必ずダンブロア家のお抱え採取者の妨害が有るはずです。マサルやガーネさん達は戦えるので良いのですが、他の採取者をどう守るのですか」

まずい、そこまで考えていなかった。


「カエデお姉さま、全ての村や町にカエデ製薬の支店をつくるのだ。そしてカエデ製薬でもお抱えの薬草採取者を集めればいいと思うぞ」

「そうね、それならダンブロア家が手を出せばバルノタイザン家にケンカを売ったことになります。マサル、全ての町に支店を作りなさい」


「それって書類上だけだろ、王都でも出来るから姉貴がやってよ」

「・・・私は忙しいの。申請が終わるまでマサルは王都にいなさい」

「はい」

考えれば俺が社長だ。やるのが当たり前だったな。


それから二週間をかけ、出来る限りの支店を作る。

さすがにどこもかしこにも作る訳には行かず、姉貴の師匠に相談して、各地の薬師を紹介してもらい、そこに支店を作った。


登録した新規支店は二十七有った。

支店は姉貴の弟子がやっている五店と、三か月前に作った二十店がすでにある。

その二十店に異次元小袋が行き渡ったのがついこの前だ。

なのに二十七店も新規に作れたのはあ、くまでお抱えの薬草採取者を集め保護するために使うからだ。


本店と姉貴の弟子の店が直営店で、二十店舗はフランチャイズ契約だが、新しい二十七店は名前と住所を借りただけだ。

誰もいない所に支店登録は出来ないからな。


こうして薬師学校の後期、俺とギャは学校に行かず王都を回ることになった。


「マサル、先に教えに周ったガーネさんから手紙が来ているぞ」

俺が王都で新規支店の手続きをしている時、ガーネとフェリンには先に出発してもらっている。


俺はギャから手紙をもらい読む。


「なんて書いてあるのだ」

「そうだな」

ギャに話しても問題ない内容だ。


ガーネさんには、フランチャイズの店を回ってもらっている。

支店の薬師に、お抱えの薬草採取者を作り教えていく計画を説明すると、快く受け入れてくれる。


そこでまず、薬草採取者の募集広告を打った。

当然だが募集者は沢山来た。

バルノタイザン家の経営する薬屋だ、お抱えになれれば安定して薬草を買ってくれるからな。


だが、沢山来たが使えるものがいない。

いや、これから教育するのだから下手なのは構わないのだが、教えるのにあたいしない者ばかりだったのだ。


そこで、ガーネは近場の冒険者ギルドに行って、薬草採取をしている冒険者はいないか聞くことにした。

薬草採取をする冒険者は子供が多い。

子供だと、採取に行ける場所が限られるのが難点だが、とにかく教える者がいないことには始まらないので、やる気のある冒険者をスカウトしていった。


何人かめぼしい冒険者が見つかったので、一緒に採集しながら教えている。


手紙にはそこまでが書かれていた。


「マサル、この調子だと、全ての支店にお抱え採取者をそろえ、教育し終わるのは遠い日だな」

「ギャ、始まったばかりだぞ。とにかく出来ることを一つずつやるんだ」

「オー」


そして俺とギャも出発する。

俺はガーネ達とは違い、王都外に有る直営店から始めることにした。

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