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105/414

105・学校へ来てもうすぐ一年です

パカパカパカ パカパカパカ


今日もロバに乗って学校へ出勤だ。


「マサル、ちょっと待て。ロバは糞をした」

「そうか」

ギャはロバから降りて糞を袋に詰める。


馬やロバの後ろに糞拾いを雇えるのは金持ちだけだ。

貧乏人は自分で拾う。


ロバをバルノタイザン商会に預け、俺とギャは学校に入る。

俺とギャは一度用務員室に行き、その後俺だけ職員会議に出席するため職員室に行く。


職員室に行こうとすると。


「マサル。今日の昼めしは豪華だろうな」

「何だギャ」


「あたいの誕生日だろ」

「あー、そうだった。悪いが昼めしはいつもと変わらない」


「なら、帰りにケーキを買え」

「わかった」

それくらいなら買ってやれる。


ギャの誕生日は二月一日だ。

俺が王都の薬師学校に来たのが四月の初めだから十ヶ月が経ったんだな。


職員室に行き、いつも通りの所行く員会議を終えると、俺はメリッサと一緒に二年の教室に向かう。

ヤヨとカスミとキョウカは一年の教室だ。


二人の教師が辞め代わりにカスミとキョウカの二人が入った一年生だが、何とかカリキュラム通りに授業は進んでいるみたいだ。

まあ、前期は基礎知識などの座学と、薬草の下地処理が主だから、そうそう予定が狂うことは無い。


一年生が下地処理をした薬草は、二年が薬作りをするのに使われる。


そして今日の授業で二年の生徒に質問する。


「今日の授業だが、薬師が薬草を手に入れるにはどうするかだ。大きく分けて五つの方法が有る。一つずつ答えてくれ。まずはウルキダ」

「はい、薬草を売っている店から買います」


「そうだな、次カイ」

「はい、薬草採取者を雇って取って来てもらいます」


「よし、次ジュリ」

「はい、冒険者ギルドの依頼して冒険者が採取してきます」


「ああ、そうだ。次リン」

「自分で栽培します」


「リンは、自分で栽培できるか」

「やったことは有りません」

「そうだな、貴族は土いじりなどしないからな。だが多くの薬師は自分で栽培している、覚えておくように」

「はい」


「次、ミネバ」

「はい、えっと、あと何か有りますか」

「わからないか」

「はい」


「自分で取りに行くだ。俺も冒険者として薬草採取をこの学校に来るまで長いことしてきたぞ」

「私には無理だと思います」


「わたしも」

「無理無理」

ジュルとリンダ。


「ウルキダとカイは、薬草採取に山や森に行きたいとは思わないか」

「「思いません」」


「そうだな、貴族としては正しい答えだ。薬草採取者に頼めばいいのだからな。だが村で一人で薬師をやっていたらどうなる。薬草採取者や冒険者に依頼するにしてもお金がかかる。村の薬師ではそこまで稼げない。当然村には薬草販売に店などない。結局、薬師自信が育てるか採取してこないと薬草が手に入らないんだ」


「先生、大丈夫です。田舎に行って一人で薬師をやる事はあり得ませんから」

「私もです」

「私も」

「「うん うん」」

二年の生徒全員が貴族の子供だ、この答えは当然だな。


「ちなみにメリッサさんは薬草採取に行ったことが有りますか」

黒板の脇に座っているメリッサに聞く。


「私は薬屋に勤務して薬を作ってました。薬草は店で準備するので採集には行ったことが有りません」

「まあ、そうだろうな。後期になったら採取に連れて行こうと思っていたんだが」


「先生、それってカリキュラムに入っていないですよね」

「はははは、そうだった。ちょっと最近薬草採取の事で色々考えることが有ったからな」


「マサルさん、それって最近薬草の値段が上がったり品不足になっていることですか」

「・・・そう、なのですか」

薬草採取を主な仕事とするカエデ製薬の社長が知らないとは、不覚だった。


サメル村で薬草が取れなくなったと言う話は聞かない。

冬休み中に回った町や村では、ダンブロア家の息のかかった薬師以外が薬草が手に入らないのは見てきた。

だが、メリッサは王都に住んでいる。

王都でも薬草が不足しているのか。

帰ったら姉貴に聞いてみよう。


「だから、薬師学校に薬草が納られるのが不思議なんです」

「学校にはカエデ製薬が寄付として納めているからだろ」


「マサルさんは、カエデ製薬で薬草が不足していない理由を知っているのですか。知っていたら教えて欲しいんです。そうでないとお父さんが薬を作れないんです」

「えっと、メリッサのお父さんは、ダンブロア家の方の薬師ですよね」


「ええ、そうです」

「ならば・・・」

なんか変だなと思ったところで。


「先生、授業中です。無駄話はやめてください」

ジュリの注意されてしまた。

しょうがない、メリッサの話は置いといて。


「悪かった。それでは授業を続ける」

俺は授業を続けた。


そしてその日の授業を終え、俺はギャのケーキを買うために二人でケーキ屋に向かっている。


「マサル。学校では言えなかったが、大事な話が有る」

「学校にいる人に聞かれたくない話だな」


「オー、そうだ。ジャックの事だ」

「薬草倉庫でサボっている奴だな」


「そうだ、ジャックがあたいの在庫管理のやり方に文句を言って来た」

「何て行って来たんだ」


「在庫が足りないからカエデ製薬へもっと寄付するようにしろって」

「足りているはずだがな、まさか今だに俺がカエデ製薬の人間だとバレていないのか」

「そおみたいだ。そもそも校長もまだ気づいていないのだろ」


「ヤヨさんは当然だし、カスミさんもキョウカさんも知っているし、メリッサもうすうすバレているぞ」

もう一人の用務員にもバレているはずだ。

学園の仕事をしっかりやれば、わかるのが当たり前であり、校長とジャックはまともにやっていないんだな。


「まさか、前の担当が横流しで首になったことを知らないのか」

「教えてもらって無さそうだな」


「そうか、メリッサも言っていたが、王都でも薬草が不足しているのかもしれない」

「あたいはそれより、ケーキ屋の前を通り過ぎたのが気になるのだが」


「おっすまない」

話に夢中で行き過ぎてしまった。

おかげで、一つの予定のケーキが二つになってしまった。


王都だけでなく、マルマ王国全体での薬草不足。

期間休みが忙しくなりそうだ。

誤字報告ありがとうございます。訂正しました。

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