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101/414

101・中規模の町ゴモスです

王都に有る薬師学校は十二月二十五日から冬休みに入った。

姉貴の命令で俺は冬休み中は王都を回って薬草の分布図を作ることになった。


今日は十二月二十九日、王都から三日かけてきたゴモスと言う町にいる。


「マサル、おはよう」

「ああ、おはよう」

昨日の夕方、やっと見つけた宿だ。

高い割には貧相な宿だった。

朝食も出ないので、異次元鞄から出した料理で済ます。


「まずは、姉貴の紹介状を持ってゴモスの薬屋に行くぞ」

「オー」

薬屋はすぐに見つかった。

ゴモス一番の商店街通りの一番いい所に在ったからだ。


「大きいぞ」

「そうだな」


「マサル、姉貴の紹介状だけで大丈夫か」

「・・・多分」


俺とギャは店に入ると姉貴の紹介状を見せ、この店の薬師に会わせてくれないか聞いてみる。

結果は、駄目だった。

姉貴の店は知っていたが、それだけだった。


「マサル、どうする」

「まあ、予想通りだ。ゴモスの薬師や薬屋の協力は取れなくても、薬草の分布図は作れるからな。まずは冒険者ギルドに行って、どんな薬草の常駐依頼が出ているか調べてみるぞ」

「オー」


俺とギャは冒険者ギルドを目指す。

たいてい冒険者ギルドは町の外側に有る。それも街道に近いところだ。


「マサル、あれだな」

「そうだな」

簡単に見つかったが、一度町の中心に行って来たので、昼近くになっている。


「すいません、失礼します」

俺とギャはギルドに入る。

昼前と言うこともありすいていた。


「いらっしゃい、どんな御用ですか」

「ええ、薬草の常駐依頼が出ていないかと思いました」


「そうすると、あなたは薬草採取者の方ですか」

「そうとも言えますね」

薬草採取を主たる業務とするカエデ製薬の社長だから薬草採取者と言えば言えるはずだ。


「マサルは、冒険者だぞ」

「えー、薬草採取をする冒険者なのですね」


「はい」

俺的にはこの方がしっくりくる。


「あの、この町は初めてですよね」

「はい」

「しばらく滞在して薬草採取をすることは出来ますか」

「いえ、滞在予定は後二日なんです」

そう答えるとギルドの受付が残念そうな顔をして。


「そうなのですか、でも二日でもいいので薬草採取をお願いします」

「・・・はい、って、そんなに薬草が無いのですか」


「無いことは無いのですが、町の薬師が王都の貴族、確かダンブロラ家の系列と言うか子分と言うか、そんな感じで、自分のところで薬草を全部買い集めてしまっているのです。王都にいる薬草採取者は取ってきた薬草をみんなその薬師に売ってしまうので、他の薬師に薬草が回らないのです」

長い説明だった。


要するに今朝行って俺を追い出した薬師がこの町周辺で、取れる薬草を独り占めしているんだな。


「わかりました、今から回れば二日半あります、取れるだけの薬草を取ってきます」

「・・・お願いします」

「よしギャ、行くぞ」

「オー」


カエデ製薬がサメル村で採取した薬草は姉貴に伝が有る薬師には売っている。

売れば薬草の流通販売の権利を持つダンブロア家にお金を払うことになるが、これは買う方に負担してもらう。

そのお金を払ってもカエデ製薬の薬草は新鮮であり買うメリットがあった。


だが、ゴモスには姉貴に伝の有る薬師はいない。

冒険者ギルドに頼るしかないようだ。


俺は自分にバフをかける。

一緒にいるロバにも軽くかけ、ギャは自分で掛けさせる。


「マサル。薬草のある場所はわかるのか」

「ああ、八年くらい前に一度調べたことが有る」

八歳で冒険者になり、バフが使えるようになった十歳のころ、ゴモスまで足を延ばしたことが有った。

今持っている、薬草分布が書き込まれた地図はその時作ったものだ。


「八年前か、だいぶ変わっているのだろう」

「ああ」

だが、心当たりはいくつかある。

とにかく全速で回り、片っ端から採取し異次元鞄に詰め込んでいく。


「今日はこんなもんか」

「そうだな、マサルとギャよりロバが疲れている」

ギャが歩けなくなった時用にロバを連れて来たが、帰ってロバが足手まといになった。

明日はロバ無しで回わろう。


「おそくなりました」

ギルドが締まる寸前に入ることが出来た。

「これが今日取ってきた薬草です」

ギルドの買取カウンターに採取してきた薬草を並べた。


「えっと、何ですかこの量は」

カウンターに乗り切れないほどの山が出来ていた。


「頑張りました」

「オー」


「頑張っただけで取れる量じゃないですよ。でも助かります。誰か薬師を集めてください。ギルドでは補完しきれないので、薬師に配ってしまいます」

すごいな此処のギルド員、ギルド長に許可を取らないで話をどんどん進めていく。


ギルドの呼びかけに集まった薬師は薬草の山から自分の必要な薬草を取り出していく。


「明日も採取してきますから、あわてないでください」

山に群がる薬師は殺気だっている、よほど薬草に植えていたんだな。


「こ、この薬草を取ってこれますか」

「私は、これとこれ」

「俺は、この薬草が欲しいんだが」

欲しい薬草の名前が書かれた紙が俺のところに集まってくる。


「マサル、時季外れの薬草も有るが、どうする」

「どうするって、手持ちが有れば出す」

「新鮮だと変だと思われるぞ」

「そうか、だけどこの様子だと気にしないんじゃないか」

「そうだな」

そして次の日、朝早くから俺とギャは薬草採取に駆け回わり、ギルドで薬師に配った行く。


「マサルさん、助かりました」

「ですね、明日一日回れば、希望した薬草はだいたい配れそうですね。ところでギルドではきちんと明細書は作ってありますよね」


「ええ、後で持って行った薬草の一覧表を出すことになっています」

「正直に書きますかね、俺もどれだけ取って来たか記録して無いんですけど」

「・・・何とかなります」


そして次の日も薬草を採取しまくり。

「えっと、明日町を出るので、此処までですね」

夕方、ギルド員に言うと。


「ありがとうございました。助かりました」

ギルド員がお礼を言ってくれた。

そしてお礼を言うギルド員の横に一人人が立っている。


「すいません、少しお話しできますか」

薬師ではない、見た感じ薬草採取者だな。


「夕食を食べながらならいいぞ」

「はい」


俺は薬草採取者の少年と夕食を一緒に食べることになった。


「それで、話とは」

「俺を薬草採取の弟子にしてください」


「無理だな、俺は薬草採取者ではない、ただの冒険者だ」

「そうだ、薬草採取しかできない最低ランクの冒険者でぞ」

ギャ、前にも言っただろ、ランクアップの申請をしていないだけだと。


「それでも、あれだけの薬草を採取してきました。弟子にしてください」

「無理だな、俺は明日この町を出る。そしてやる事する事が山のようにある、弟子を取る余裕などないな」

「そうだぞ、マサルは忙しいんだ」


「でも、このままだとゴモスの町の薬師はみんな潰れてしまいます。残るのはあの薬師だけです」

「そんなにひどい薬師なのか」


「いえ、腕は確かです。ただお金が大好きなんです」

「そうか、ゴメスの薬を独り占めすれば値段は付け放題だからな」

「・・・そうなんです」


「だが少年、ゴメスの薬草採取者みんながその薬師に薬草を売っているんだろ、一人だけ反発して何か変わるのか」

「・・・・・・」


「マサル、冷たいぞ。せめて地図と図鑑くらい渡してやれ」

「そうだな」

実は薬草採取をしながら、ゴメス周辺の薬草分布の地図を作っていた。

これと、採取の仕方まで書いてある図鑑が有れば薬草採取が出来るはずだ。


「少年、話は分かったが、今すぐ君を信じることは出来ない。俺も少し調べるから返事をする。名前と連絡先を教えてもらえるか」

「・・・はい」


次の日の朝、町を出る前にギルドに寄り。


「すいません、後で薬草のお金を取りに来るので、薬草を持って行った薬師の名簿を作っておいてくれますか」

「ええ、わかりました。それでいつ頃取りに来ますか」

「二月の半ばころになると思います」


冬休み中にゴメスに再度来ることは出来ない。

薬師学校の次の長期の休みは前期と後期の間の二週間だ。

その時にゴメスのあの薬師以外の薬師をどうにかしてあげたい。


ゴメスを後にした後、いくつかの村や町を拠点に薬草の分布を調べ地図に書き込んでいく。

そして冬休みもあと一日の一月六日に王都に戻ってきた。

誤字報告ありがとうございます。訂正しました。

今回多かったです。反省中

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