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勇者は聖女で聖女は勇者  作者: 勇者は聖女で聖女は勇者
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入学式

雪虫えぐい

ふにゅっという何か温かいものに触れるのをきっかけに意識が覚醒してきた。

まだ眠いし触り心地もいいしもう一回くらい寝たい・・・


「んっ・・・」


ほら、なんだか艶やかな声も聞こえるし・・・ん?

ゆっくりと目を開けると知らない女の子の胸に思いっきり手を当てていた。


「わっ!!ご、ごめん!」


たまらずばっと手を離しのけぞってしまった。目の前には翆髪で少し無表情ながらも可愛らしい女の子が制服姿で僕と向かい合うような形で寝ていた。

この現実に一気に頭に血が回り目の前のことを処理しようとしているのがわかる。


「大丈夫、あなたとわたしは運命共同体、なんなら今から子作りしてもいい」


あまり抑揚のない声で淡々と告げてくる。ただし言っていることは何一つ理解できないが…と、とにかく


「えっと…まず君は…」


「運命の人」


回答に思わず頭を押さえてしまった。きっとまだ寝ぼけていて聞き間違いをしているのだろう。


「名前を教えてほしい…」


「アリル」


アリル?どこかで聞いたような…いや、コルルさんのところの娘さんじゃないか!?驚きのあまりそのまま声に出してしまったようだった。


「昨日、父上から聞いた。ノアの名前を聞いた時に体が早くノアに会わなければいけないって感じた。だから少しでも早く来た。」


ダメだやっぱりわからん。これはコルルさんに話を聞いたほうが早いだろうか…


「そ、そっか、ところでひとりできたの?」


「ん、なんか父上も説明しなきゃならんって言ってついてきた。ほんとは一人で来る予定だったけど大人数になってしまったからごめん」


そういってぺこりと首を曲げ頭を下げる。やはり悪い子ではないのだろう。そして、ついてきたコルルさんナイス!


そうこうしていると今日の僕付きのメイドさんが起きる時間だと告げに来てくれた。なので着替えて下に朝食を食べに行きたいのだけど…


「あの…着替えをしたいんだけど?」


「うん、いいよ」


僕がチラチラ見ている間しっかりとベッドの上で正座している。ここにいるのが当たり前のようだ。すると、何か思いついたように手をたたいた。


「なるほど、旦那様の着替えの手伝いをしろということか」


「違うし旦那様!?」


どういう風になったらそうなるんだ!くそう!


「ちがうの?」


「うん全然違うよ…一人で着替えたいから部屋から出てほしいんだ」


そう伝えるとなるほどっと一言いい、若干不満そうにしてとぼとぼ部屋を出ていく。そこから一切足音がしていないので扉の前で待機しているのだろう。

早めに着替えて出ていくか…


それからささっと身支度や着替えを済ませ扉の目の前顔がくっつきそうな距離で待機していたアリルを連れて下のダイニングに行くとアリルのお父さんであるコルルさんが申し訳なさそうにして声をかけてきた。


「おはようノア君、朝早くから驚かせてしまて本当に申し訳ない」


そう言って頭を下げてくる。知識お化けなところ以外は本当に素晴らしい人なんだよなぁ。あ、エルフか。


「いえ確かに驚いたのですがそれはいいとしてこれは一体どういうことで?」


なぜアリルがいるのかアリルの言っていたことが何もかもわかっていないのでとりあえずここまでの成り行きを聞かねば。


「ああ、もちろん説明するよ」


ダイニングにてアリルは僕の隣にスッと席に着きコルルさんはテーブルをはさんで向かい合うようにして座った。うん今日もメイドさんが入れてくれた紅茶はおいしい。


「さてどこから説明しようか…」


少し考えるそぶりを見せ紅茶を一口飲んで話し始めた。


「まずうちの家系についてかな」


家系?何かやはり秘密とか僕みたいにに何か力があるのだろうか。


「僕の家の家系は辿っていくとまだ神々が天界にいた時代にさかのぼるんだ。もちろん魔王もいなかった時代だ」


そうなると最低でも2000年以上は前のことか。まぁ、エルフやハイエルフは僕たちよりもはるかに長生きだし普通のことなのかもしれない。


「その時代には加護なんてものはもちろんなかったんだ。しかし、時に自然という脅威なんかは襲ってくるでしょ?それでその脅威から身を守る力として神々は加護という力ではなく託宣という予言を降ろしていたんだ。そしてその託宣を受けるのは巫女の役目だったんだよ」


巫女?母さんとの勉強でも聞いたことがないな…


「その巫女というのはやはり特別でね、神の声を聴くために特別に相性の良い神の声が聞こえたりその神に近い場所が自然と分かったりみたいな超常の力を持っていたんだ。しかし、魔王という存在が神から生まれ神々が下界に降臨してからは声を聴く必要もなくなったから巫女という役割はなくなったんだよ」


そしてコルルさんはここまで言うとアリルに顔を向ける。


「アリルはねその巫女の血がより強く出ていると思う。僕より前の代は男の子が続いていたから巫女の血が現れることはなかったんだ。」


アリルから続いて僕の顔を見やる。


「ここまで説明したらあとは大したことはないよ。昨日アリルに君の名前を言った瞬間興奮して今すぐ会いに行くと言い出したもんだから何とか止めて朝になったらたたき起こされてきたというわけだよ」


そう言いながらどんどん肩をすくめていく。心なしか半分くらいの大きさになっている気がする。


「そういうことでしたか…とはいえなぜ僕に?」


言いながらアリルの方へ眼を向けるとアリルもじっとこちらを見ていた。まさかしゃべっている間ずっとこっち見てたの?


「多分君が思っている通りだよ」


僕の顔を見てか反対側から見ていたコルルさんが答えてくれた。


「なぜかと言われると正直私にもわからないんだ、もちろんアリルにも分からないらしい。かなり本能的なところに左右されているのかもしれないね。」


「そうなんですかぁ、なら今はどうにかなるというわけでもなさそうですね」


正直巫女と言われても僕にはあまりわからないし元々仲良くなれたらと思っていたアリルと仲良くなれるならいっか。とあまりにもポジティブに考えてみる。だってどうしようもないしね☆


「そうだね君が思ったより冷静でポジティブで助かったよ。グレンとマリーもそろそろ起きてくるころだと思うから起きたら僕から事情は説明しておくよ」


こうして話ひと段落着くと僕はとりあえずといった感じでもう一度アリルの方へ体を向ける。


「今日から同じ学校のお友達としてよろしくね!」


そう言って手を差し出す。握手を差し出されたアリルは無表情でありながらもやはりうれしそうにして手を合わせてくれた。


それからは父さんや母さんも起きてきてコルルさんから事情を聞いた。まぁ反応は仲良くなれてよかったとい僕以上のポジティブさを見せてくれた。僕はやっぱり二人の子供らしい。

そして、コルルさんは学校で入学式の準備があるらしく先に馬車で学院に向かいアリルは僕たちの馬車で向かうことになった。飛行船に続いて馬車ももちろん最新のものだ一人くらい増えても十分に余裕がある。


そして、時間もたち馬車に乗り込み走り出す。アリルを交えた4人で雑談しているとあっという間に学院の校門前に着いたここからは学院の入り口まで歩かなければいけないので降りたのだが…


「勇者様たちだーー!」


「聖女様もいるぞ!!聖女様ーーーー!」


「隣にいる見た目麗しい殿方はもしや…」


とんでもない拍手喝采にビビった。降りている途中だったのにもかかわらず一瞬で気づかれてしまった。特に隠していたわけでもないが…

みな近づきたそうにしているがお互いがお互いをけん制するような目を向けている。誰が先に話しかけるのか様子を見ているといった感じなのだろうか?

そして全員が全員良い目を向けてくれているわけでもなくいくつかは良くない目を向けるものもいることに気づけた。この辺はもともと森に棲んでいても動物すべてがいい子ではないため視線にはかなり敏感に気づける。


そんな感じで歩いていき受付を済ませ両親と別れる。案内が別々だからねしょうがない。とはいえ…


「意外と近寄ってこないな…」


聞いていた話では隙あらば顔を覚えてもらうため挨拶してくると言われていたのだが来ない。本当にアリルがいるだけで違うものだなぁ。

そう思いアリルの方に目を向けるとほんの少しだけ口角が上がり笑った気がした。


そのまま入学式自体はスムーズに進みコルルさんの話も聞きながら無事に終え

さぁ家路に着こうかというタイミングで


「その女の子は誰?」


「…なんでいるの?」


うつろな目で問いかけてくるディルティーネがいました…









































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