顔合わせ
学校行くまでに書きたいことが多すぎる・・・
中央リメール連合大陸はその名の通りいくつかの大陸が集まって一つの大陸としている。
中央にリメール大陸、北にギット大陸、東側には小さな大陸が二つあり上側にパルス大陸、下側にパルナ大陸がある。南側にはファルトリア大陸、西にアージ大陸の五つで成り立っている。この大陸の名前は各大陸の主神の名前であり連合大陸の主神としてはリメール神がたっているそうだ。
そして、僕が通うことになっている神政中央学院はもちろん王都のある首都リメールにある。屋敷なども学校からある程度近いところにある。
今日はその屋敷の使用人たちや学校の学院長に挨拶に向かうため入学式前日なのだが中央リメール連合大陸に飛行船で向かっている。
「すごいなぁ…」
生れて初めて見る大陸の外の景色を魔法によって風の抵抗が来ないようになっているデッキから眺めていた小さな大陸から不思議な形をした大陸など刺激が多かった。そんなこんなで外の景色を楽しんでいると声をかけられた。
「ノア様、喜んでいただけているようで何よりでございます」
デッキの手すりに手をかけながら外をきょろきょろしているとこの船の添乗員だろうか?年は僕に近いようだがどこか大人びている雰囲気のある女の子が声をかけてきた。
「はい、初めての外の大陸で少々はしゃぎすぎてしまいました、すみません」
頭の後ろをかきながら少し照れていうと女性は首を横に振った。
「いえいえ、そんなあなたもかわいi…ん˝んっ、いえ何事も初めては興奮するものでしょう。到着までの間どうぞお楽しみください」
そういうとその女の子は一礼してそそくさと退散してしまった。
きっと僕が興奮しているのを見て声をかけてくれたのだろう。帽子も少々深めにかぶっていたし照れ屋なのかな?途中ちょっと噛んでいたしね。どちらにせよ気を使ってくれたのだろうありがたい。
「楽しみだ」
外の大陸に対して思いをはせながら飛行船はどんどん進んでいき予定通りお昼前には到着した。
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「…」
僕は口が開いています。まず人が多い、建物が高い、そして人が多い。
その光景に圧倒されポカーンとしていると、
「ノア、これが外の世界だぞ」
これが外の世界かぁ、正直想像以上だった。少しガタイのいい男性たちが船着場にある飛行船の荷物を降ろしていたり奥の建物の中では受付の人だろうか?にこやかな笑顔で対応している。建物に目を向けてみるとレンガでできた大きな倉庫のようなものが並んでおりそこへさっきの男性たちも荷物を運んでいる。
奥の住宅街では木でできた建物から煉瓦でできた建物まであり大小も様々だった。そしてさらに奥、ひときわ大きくそびえたつ大きな城が見える。
「父さん、あの奥に見える城が王城なの?」
「その通りだ、ほんとはお前が生まれたら見せてくれと言われていたんだがなそうなると面倒だから王様には見せてなかったけどな」
うん、聞かなかったことにしよう。そう、そんなことぼくは知らなかった。
そうしていると船着場にある建物で船の受付を済ませた乗務員が戻ってきて、完了したことを伝えてきた。そのまま船着場がある道の通りに向かうと少し遠くに明らかに作りや化粧が豪華な馬車が止まっていた。そして、その横には一人のいかにも執事といった風貌の老人が立っていた。あ、目が合った。
なかなか人が歩いているのだがスススっと僕たちのもとまで来ると見事なほどの礼をしながら
「お待たせいたしましたノア様、私本日よりノア様の執事を務めさせていただきますセバスと申します」
わお、本物の執事だぁ。今までは母さんの話でしか聞いたことがなかった。
「こんにちは、セバスさん今日からよろしくお願いします」
「こちらこそ全身全霊にて務めさせていただきます。しかし、到着して早々なのですが・・・一つお願いがございますれば」
「お願い?僕にできることなら頑張るけど…」
いきなりお願いって何だろう?なんか失礼なことでもしてしまっただろうか?
そう思っていたのだがセバスのお願いというものはそんなものであるはずがなく
「ありがとうございます、では私共使用人とお話しする際には敬語を使うのを控えていただきますと大変うれしく思います」
敬語を控える?いったいどうしてそんなことを…と思っていると今まで黙って話を聞いていた父さんが教えてくれた。
「ノア、一応知識としては頭に入っていたのだと思うが貴族は自分の使用人たちに敬語は使わないな?」
「うんでも僕は、あっ…」
そういえばそうだった僕は外の大陸では貴族なんだった…
「はっはっは、気づいたみたいだな。まぁ慣れるまでは時間がかかるかもしれんがセバスたちもノアが親しく声をかけてくれた方が嬉しいと思うぞ」
そういって僕の肩をたたいてくる。この大陸で暮らしていく以上こういうのにもちゃんと慣れていかないと学校でまた絡まれるって言われてるし頑張ろう。
そしてまたセバスに向き直る。
「あーセバス、これからよろしくね」
少し慣れないながらも言った僕の言葉を聞いてセバスは少し鼻息を荒くしてもう一度きれいに礼をすると一言
「お任せください」
その姿はとても頼りになりそうだった。
そのままセバスが御者を務める馬車に乗り込み僕が住むことになっている屋敷へと向かった。船着場から大通りに出て走っていくと少し外れて貴族街と呼ばれる場所を通り抜けた道に入ると建物がまばらにしか建っていないエリアに入った。そして、一軒の家の前で止まるとセバスが“到着いたしました”と言ったので三人とも降りていく。そして目の前にある屋敷を見てみる。
「大きい、かな…?」
目の前にある家はもちろん大きいのは間違いなかったのだけど途中の貴族街の家に比べると大きくはないかな?いや、一人で住むには十分なんだけど今までの流れ的にいかにも貴族らしい屋敷みたいなのが現れるかと思っていたので少々安心している自分がいる。
「中で使用人一同ノア様を待たせていただいております。お疲れでしょうが顔を見せて一言挨拶いただけると」
僕はわかったと言って玄関までの綺麗でいながら少し年代を感じる道を歩いていき中に入るとホールのようなところにきれいに整列して待っているメイドの人たちがいた。
『おかえりなさいませノア様』
左右に一列に並びピシッと頭を下げるメイドたちに思わず気圧されてしまった。先ほどのセバスとのやり取りを思い出し貴族らしい振る舞いを心掛けなければ
「今日から君たちの主人になるノアだ、よろしく頼むね」
そう言ってみんなの顔を見渡し目を合わせていくとなぜか皆下を向きだした。
すると…
「ひっぐ」 「うっぐ」 「ずずっ」
ちょっと待ってなんでみんな泣き出すの!?
見渡すとメイドのみんなが泣き出していた。
必死に声を押し殺し泣くものから静かに涙を流し続けるもの、中には8歳ぐらいの女の子までいてわんわん泣いている。
そんなにひどいことを言ってしまったかとあたふたしているとセバスが理由を教えてくれた。
「皆、ノア様のお言葉が聞けて感涙しているのであります」
「…どういうこと?」
「この者たちは過去に勇者様と聖女様に命を救われた者たちなのです。勇者様方は村が魔物に襲われたならば助けに向かい魔物を倒すだけでなく村の復興まで行いました、そしてその中で親を失った子がいれば勇者様たちが建てた孤児院にて育て上げました。そしてここにいるものはそんな勇者様と聖女様のご子息であらせられるノア様に仕えるため必死に学び礼儀作法を心得た中から選び抜かれた精鋭なのでございます。」
「そうだったのか…」
そんな事情があったとは…
まぁどちらにせよみんなは今まで父さんや母さんが行ってきたことに対する恩返しを僕に返してくれているのだろう。そして父さんと母さんには感謝しなければならない。そう思い後ろを振り向くとなぜか腕組をしながらさも泣いていませんと言わんばかりにしながら涙をこれでもかと流している父さんとうっすら目元の赤い母さんが“どういたしまして”と笑ってくれた。
「さぁ皆さん仕事に戻りましょう。皆さんのゴールはここではありませんよ。これからです。」
セバスの一言でメイドたちは各自仕事に戻っていった。
「この後は学院長様へ挨拶へ向かうと伺っております。少し休憩されてから行かれるのが良いかと」
たしかに移動やらなんやらで少し疲れた。セバスの誘いに了承を伝えるとダイニングのような場所に向かいまだ目の赤いメイドたちの入れる紅茶を飲みしばしの休憩を取った。メイドの入れた紅茶はとても温かく心にしみるようだった。
」
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