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勇者は聖女で聖女は勇者  作者: 勇者は聖女で聖女は勇者
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加護の発現

学校早くつれていきたいです

私は過去一番に集中していた。

ディルティーネの手を握りながら、左腕から流れてくるその力を体で覚えるために。

この体の入れ替わりをなんとかするための加護を発現するためにディルティーネと鍛錬しているのだが、ディルティーネがとった方法はいたってシンプルなものだった。


「妾がやってみるので感じとるのじゃ」


これだった。

 加護の力にも魔法で魔力を使うのと同じく神力というものを消費するらしい。これは、下界に住む者たちにとっても同じで量には個体差がかなりあるとのことだった。この神力を現象としてうまくイメージしたりすることで加護が発動する。

 

なので、ディルティーネが行う神力の操作を感じ取り自分の中で落とし込めればこの加護に関しては発動できるようになるらしい。

 

今回はかなり特殊で私自身が加護としては発動していないけれど現象としては毎日起こしているので寝ているとはいえ体が覚えているだろうとのことから比較的簡単に発現できるらしい、とはいえ加護である時点で難しいのだけどね。


「どうじゃ?【森羅】を発動させるときの神力に流し方は違えど感触としてはほとんどわからん位に一緒じゃろう?  正直、妾の神力とティアの神力は妾にも区別がつかん。そのくらい質が似ておる。」


たしかに、もっと異物が流れ込んでくるような感覚があると思っていたのだけど何も感じないくらいに違和感がない。むしろ温かくて心地よいくらいだ。


「本来こんなにも他人の神力を流すと拒否反応が出てしまうのだが…いや、やはり妾とティアの相性は最高なのじゃな♡」


にへらっという感じの笑みをこちらに向けてくる。

私が生まれる前のディルティーネ様はもっと厳粛な感じだったと聞いていたんだけど今のところ全く感じられないかも


そのまま二人は手をつなぎディルティーネは神力の流し方をティアに流しながら教え、かれこれ20分ほどたった。


「さて、そろそろ覚えてきたころじゃろうて。あとはティアのイメージを強く持つことじゃ寝ている間のことを少しでもいいから思い出すように感じるとよいかもな」


寝ている間のことをどうやって思い出して感じるというのか疑問に思ったが、神力の源である神が言うのだからきっとそうなのだろうと思いながらやってみる。


目を閉じて意識を体の深いところへ持っていく。


---イメージ---


私の体が作り変わるようなイメージで。そして、さっきのディルティーネの神力の流し方を思い出す、全身にまんべんなく行きわたらせ隅々まで行き届かせる感じ。

しかし、初めてやるにしては自分でやっていても神力が全身にスムーズにいきわたっているのを感じる。


…こんなに簡単にいくものなのかな?


思わずティアが目を閉じ眉間にしわを寄せて考えていると、


「それが、体で覚えているということじゃよ、ティアはそれを生れたときから毎日無意識のうちにやっておるのじゃ。無意識のうちにやっていたことを今、意識的にやっているだけじゃ」


なるほど、と思った。

この感覚がさっきディルティーネ言っていた比較的簡単ということか。

なら、あとはこのまま詠唱を口にすれば発動するはず、大丈夫さっき加護の名前は教えてもらった。


「【転変(てんぺん)】」


その変化は静かに始まった。ティアが詠唱をし終えた瞬間にティアの体から少し光が漏れ動き出した。少しずつ背が伸び始めると同時に体も広く厚くなっていった。

そうしてものの10秒もしないうちに光は収まり加護の発動は終わった。


発動している間ずっと目を閉じていたティアは目を開け自分の体を見ると目線が高くなっていて服がきつくなっていることに気づいた。手足を見ると男の子のものであることは間違いなかった。


「ノアなのじゃーーーーーーーーー♡」


目の前で加護の発動が成功してくれたのとノアが現れた喜びが爆発しほとんどタックルでディルティーネはノアに抱きつき押し倒した。


「かわいいのぅ、ノア♡」


「わかった、わかったからその頬をすりすりするのやめてくれ」


まるでマーキングするかのようにノアにくっついていたディルティーネをなんとか引きはがし立ち上がる。そして自分の状態をもう一度確認した。


とりあえず加護の発現自体はどうやら成功したみたいだな、性格的なところでの入れ替わりもしっかりできているみたいだし。ただ…


「服はどうにもならないよねぇ…」


見た目は少し筋肉質の13歳美少年が少しキツめの女の子の服を着ている状態であるためかなり変態じみていた。


「たしかに、服ばかりは中央大陸に売っている魔法繊維でできた服を買うしかななさそうじゃの」


手を顎に当てながらディルティーネが解決策を提案してくれる。


「一応、寝間着はそれなんだけどすごく高いみたいだね…」


魔法繊維は伝統的な衣装や一生モノの冠婚葬祭服などに用いられるとてつもないくらい高価な服だ。サイズは着ている者に自動で調節されていく優れモノである。小さいころにも困っていたことで忘れていたが用事で父さんが中央リメール連合大陸に行ったときお土産で買ってきてくれたものを今でも着ている。


「しかもノアが着るのであれば男の子でも女の子でも来ていておかしくないようなデザインの特注にしなければいかんしの」


特注となるとまた更に値段が跳ね上がるだろうなあ、魔法繊維は加工がとてつもなく難しいって聞いていたしうちはそんなに裕福じゃないし。

しばらくはその日は姿を変えないまま過ごすしかないし学校に行ったらどちらか一つにして過ごそう、いざとなったら変わるしかないけど…


「とりあえず服も伸びちゃうし戻ろうかな」


そうして、もう一度少し集中して


「【転変】」


またまた光が少し漏れ背は縮んで体つきも丸くなっていった。今度は目をけていたため不思議な感覚だった。


「ふぅ、思ったよりうまくいってよかった、手伝ってくれてありがとうね

ディルティーネ」


ここまで手伝ってくれたディルティーネには感謝しかない。

溺愛している子供の満面の笑みからの感謝を受けたディルティーネには少し体をくねくねさせ照れていた。


「よいのじゃ、よいのじゃ。ティアの悩みが一つ消えて妾も嬉しいのじゃ」


こうして、ティアは【森羅】の他にも【転変】という加護を発現させた。

加護の発現を終えた二人は家の中へ戻りティアは存分にディルティーネに甘やかされディルティーネは久しぶりのティアにべったりだった。

両親も久しぶりの二人きりの時間を過ごすことができて幸せそうな顔をしながら帰ってきた。

その後はディルティーネという存在がいながらも家族のように四人は過ごし翌日には家へ帰るため出発となった。


「ディルティーネそろそろ…」


「いやじゃ」


「ディルティーn」


「やじゃ」


朝からずっとこの調子だった。昨日一緒のベッドで眠り息苦しさで朝早く目を覚ますとディルティーネにギュッと抱きしめられながら寝ていた。こっそり抜け出そうとするとさらに強く抱きしめられて、そのまま玄関で30分ほどごねて今に至る。


「大丈夫だよディルティーネまたすぐに来るからね」


ティアは必死にディルティーネをあやすようにして言葉をかける。


「…本当に?」


「もちろんよ、だってディルティーネのこと大好きだもの」


にこりとディルティーネに笑いかけると満足したかのようにディルティーネはティアをおろした。

これも、もちろんティアの作戦勝ちである。


「三人とも気をつけて帰るのじゃ」


まだ少しにやつきながらも手を振り見送ってくれた。

三人も世話になった感謝を伝えディルティーネのもとを後にした。

帰り道は山の上からであり見渡す限り青い空が見えていた。


ティアも新しい加護の発現と久しぶりにディルティーネと過ごせた満足感から普段よりも軽い足取りで家路についた。




























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