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勇者は聖女で聖女は勇者  作者: 勇者は聖女で聖女は勇者
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ディルティーネ神のもとへ

ちょっと長くなってしまったかもしれないです

 

 私の住むこのテウス大陸は他の大陸に比べて高いところに浮いている。他の大陸も魔王によって大陸が割れてしまった後瘴気の影響を減らすため各大陸の神力によって大陸が浮くような形で収まった。そのため大陸間の移動には飛行船などが必要になる。

 

 そして大陸ごとに気候や地形も様々であり僕の住んでるテウス大陸は年中暖かい過ごしやすい気候をしている。これもディルティーネ様のおかげらしい。

そんなこんなで朝の目覚めが非常に気持ちがいい。

窓を開けて寝るとすこーしだけ冷たい風が入り目が覚める。


「ん、んん…」


意識がはっきりとしてきて目を開け体を起こす。自分の体を確認すると昨日とは違う方であった。


「今日はこっちね」


今日はディルティーネ様のところへ行く。二つあるクローゼットのうち昨日とは違う方を開けて服を引っ張り出す。父さんが仕事で他の大陸に行くたびにお土産として大量の服やらなんやら持ってきてくれるのでめちゃくちゃ多い。


ちゃちゃっと支度を済ませ出かける用意をする。

一階に降りてみると父さんと母さんも準備ができているみたいだった。


「おはよう、ティアそろそろ起きなかったら起こしに行こうと思っていたところだよ」


「ごめんなさい、父さん昨日楽しみでなかなか寝付けなかったのかも」


普通に起きるのが遅くなってしまっただけだけど…まぁいいでしょう。


「さて、じゃあディルティーネ様も待っていることだろうし出発しましょうか。」


ディルティーネ様はここから歩いて2時間ほどの一番高い山の1つ隣の山に住んでいる。昔は一番高い山の上に住んでいたのだが、両親が山が高くて子供を連れていくには大変だという話を聞いてすぐに引っ越した。次の日には引っ越していたらしい。理由はもちろん私に会いたいからということだ。


 そのまま家を出発し森の中に申し訳ない程度に作られている道をひたすら休憩しながら歩いていく。道かどうかも怪しいくらいなのだが迷うことはない私と母さんには【森羅】があるから。【森羅】はあらゆる生き物や植物と意思疎通をとることができる。森のことは森の生き物に聞かないとね。


 そんなこんなで歩いていくと母さんが異変に気付いた。


「おかしいわね…」


「母さん、何がおかしいの?」


「森の声が少し弱ってる気がするわ」


森の声は森の状況を表すと言ってもいいくらいだ。ここの森の声が少し小さいだけでも奥に行くにつれてどんどん弱くなっていくこともある。そういう時は大きな動物が暴れているか、魔物が発生してしまっているかのどちらかだって母さんとの勉強で聞いていた。


「あなた、どうします?このまま放っておくわけにはいきませんが…」


「そうだな、発生してからそれほど時間も経過していないだろうし今探して倒してからディルティーネ様のところに向かうとしよう。マリーとティア二人で探してもらえるかい?」


「わかったわ」


「はーい」


 それから【森羅】を二人で使いながら森の声を頼りに森を荒らしている原因を探して歩いた。そして森の声がほとんど聞こえなくなってきたころ少し先に森の木がなぎ倒されながら幅の広い道のようなものができその周囲には黒いもやのようなもの、瘴気が立ち込めていた。


「思ったよりも大きな魔物が生まれてきてしまっていたようだな…」


「やはり来て正解でしたね、後回しにしていたら大変なことになってしまったかもしれません。」


「確かになそれにちょうど今日見つけられたのも運がいい。」


きっとこのまま放置されていたら森の動物たちはどんどん死んでいき元気を取り戻すにはかなりの長い時間がかかってしまったと思う。それに、何度か魔物が発生してしまったことはあったのだがいつもは家でお留守番しているので初めて魔物を見る。ちょっと怖いわね…


「ティアは今ノアじゃないから浄化魔法に専念するんだ。おそらく大きい魔物相手だとまだティアのレイピアだと大きなダメージは与えられないだろう。」


 私はノアの時は剣術をティアの時はレイピアを使って鍛錬している。ただし、どちらも同じくらい戦えるかといわれると違う。やはりノアの時の方が近接戦は得意だと思う。ただし、魔法を使うとき、特に回復魔法なんかを使うときは圧倒的に今のティアの姿のほうが得意ね。


「わかったわ浄化に専念するわ」


「ああ、それとおそらく今日お前に初めて私と母さんの【神威】の加護を見せるだろうからしっかり見ていてな」


【神威】の加護は加護の中でも特に威力が強かったり効果が高かったりするらしい、それは普通の加護など比にならないほどだと母さんに聞いていた。

初めて見れることは少しうれしい。


「よし、この道の後を追っていこう」


「わかったわ、高度浄化(ハイキュリアー)


浄化(キュリアー)


 そこから私と母さんで浄化魔法を発動させ瘴気を浄化しながらなぎ倒された木をたどっていくとついに見えた。大きなクマのような見た目の魔物がのそのそと歩ていて体は大きく牙は異常に長くなっていて目は赤黒くに濁っていた。

私たちは見つからないように木の陰に隠れながら様子をうかがった。


「さて、ここからは父さんと母さんだけで戦うからティアはここで隠れてみていなさい」


「いえ、わたしも攻撃魔法は使えるけどダメなの?」


「いや、ティアが戦えないと言ってるわけじゃないんだ今から見せるものをティアにはしっかりと見てほしいんだ」


父さんがこう言っている時は大体意味がある。ティアの時もノアの時も見た方が私にとって成長につながるときはずっと見させられた。だから今回も見ていた方がいいのだろう。

 そう思った私は黙ってコクリと頷いた。



「いい子だ」


私の頭をなでながら微笑んで手を下すと父さんの顔は真剣なものとなった。


「行こうか、マリー」


「ええ、参りましょうグレン」


二人はスッと木の陰から出ていき魔物の前に立った。


『グゥルゥァァアアアアァアア』


魔物は二人に対して常人であれば気を失いそうなほどの殺気をばらまきながら吼えた。二人はそんなものをものともせずたったの一言詠唱した。



---「「 【神威】ー解放  」」---


たった一言。そのたった一言で二人の周りの世界が一瞬で変わったようにオーラのようなものがあふれ出ていた。普段の二人の優しい雰囲気からは全く考えられないくらい苛烈なものがあふれていた。そしてそこからは早かった。二人は言葉を交わすことなく動き出し、父さんは腰に差した剣に手をかけ低い姿勢のまま魔物めがけて突っ込んでいった。一方母さんは魔物の側面の方に回り込むようにして走った。


『グゥオオオオオオオオオオオオ』


魔物も突っ込んできた父さんに対して大きな腕を振り上げその巨体からは考えられない速さで振り下ろした。しかし、父さんはまるで予期したかのように振り下ろす腕の直前で空中へ飛びあがった。


「我求むるは【神威】--【星覇】」


その言葉の後にあたりが少し薄暗くなる。

そして、飛び上がった父さんは魔物の死角となる直上に高く飛び上がりそのまま銀色の残光を残しながら魔物の首にめがけ一直線に降っていった。

まさにその姿は流星のようであった。


「綺麗…」


思わず息を呑む美しさであった。

彼らが活躍した時代に彼らの戦いを見たことのある者たちならばその美しさを前にきっと涙を流す者たちもいただろう。


一直線に降っていく銀色の光は魔物の首を切り裂き地面へと着地した。


『ギュルウオオオオオオオオオオ』


切り裂かれた首からは血が噴き出し、魔物は痛みで悶えながら暴れていた。

そして、魔物の横へ回っていた母さんが詠唱(うた)いだす。



「我うたうは【神威】ー【聖唱】」



その言葉の後につむがれたのは詠唱(うた)であった。痛みに悶え、暴れ、森を壊していく魔物を鎮めるように赤子を慰め泣き止ませるような優しく美しい

詠唱(うた)が森に響く。

そして、いつの間にかあたりは明るくなり魔物のもとへ金色の雪のような光が粉雪のように降り注ぐ。

その雪のやさしさに触れた魔物は暴れることなく優しい目のままその場に倒れもう動くことはなかった。


「どうか安らかに」


こうしてティアの初めて見る両親の加護を使っての戦いは幕を閉じた。


「大丈夫だったかい?」


父さんと母さんが私のところに戻ってきて心配してくれる。


「ええ、もちろんここで二人の戦いを見ていただけだもの」


本当に凄かった。いや、美しくもあった。父さんが戦う前に見ていなさいと言った意味が分かったと思う、戦いながら見るにはあまりにももったいないもの。


「あれがティアにも継承加護として受け継がれている加護だティアはマリーの【聖唱】しか使えないと思うがノアは【星覇】が使えるようになるはずだ。

ま、もっともまだまだ先のことだとは思うがな」


グレンは少し得意げな顔をしていた。そして、打って変わって少し真剣な顔になると人差し指を立て顔をティアに近づけ言った。


「いいか、ティアこの大陸は魔物がとても少ないほうだ学校に行ったら魔物は森の方なんかにもっとたくさん出るし強いやつもいる。気を付けるんだぞ。」


そうしてティアは初めて見る両親の加護の興奮を忘れられないままディルティーネのいる家まで歩き出し先ほどの戦いのことを聞きながら歩くとあっという間に目的地についてしまった。











































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