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第45転 引きこもり陰キャ根暗の僕が魔族に転生したので闇属性無双して魔王に成り上がる2

「トーホーマオー?」

「ええ、そうよ、殿下。それが貴方のお父様の正式な地位」


 村で最も仲良くなったのは人狼族(ヴェアヴォルフ)の娘だ。年齢はニールよりも二歳年上。灰褐色の頭髪から狼の耳がぴょこんと立ち、臀部からは頭髪と同色の尾が生えている。牙は鋭く、目は金色と狼の特徴を備えていた。

 彼女の名はジャクリン・ガードナー。傍系とはいえ『神喰らいの狼王(フェンリル)』の血を引く名門の出である。ただし、魔族ではなく魔物と呼ばれる種だ。


 魔物とは何か。この世界の存在は全て魔力を宿している。人も獣も植物も鉱物も何もかも全てだ。であれば、普通の生物と魔物との間に線を引いているのは何か。

 それは魔力を核としているという点だ。如何に生物的に見えるものでも、心臓と脳を存在の中心としている動物と違い、魔物は魔力を存在の中心としている。究極的には血流も呼吸も必要としない為、非生物的な無機物でも魔物になれる。ゴーレムやスライムといった存在が活動できるのもこういった理屈だ。


 ガードナー家は魔物の中でも上流の地位にある。その血統の良さ故に彼女はニールの世話係に選ばれた。


「『魔界孔』を中心に東西南北にある四つの大陸。その四大陸それぞれを侵略する魔王様がいるの」

「魔王って父さん一人だけじゃないんだ?」


 魔法世界カールフターランドには魔王が四人いる。『東方魔王』、『西方魔王』、『南方魔王』、『北方魔王』だ。名の通り四方それぞれの大陸を担当している。この四者こそが人類を苛む大敵。魔族を率いる四王である。


「魔王様達は各地を侵略し、人類を制圧し終えたら『魔界孔』に戻ってくるの。そして、魔王同士で雌雄を決す。魔王を統べる魔王――大魔王になるのを目標としているのよ」


 でも、


「有史以来二〇〇〇年以上、未だに大魔王になった魔王様はいないの。大陸を支配なんて滅多に叶わないし、支配できても一時的で、人間に盛り返されちゃう」

「難しいんだね」

「そうね。でも、もしかしたら、ニール様だったら大魔王様になれるかも。ニール様は凄い才能の持ち主なんだもの」

「よしてくれ。僕はそんな大それた器じゃないよ」


 大魔王どころか魔王にすらなりたくない。それがニールの本音だった。できる事なら何事もなく過ごしていたい。いや、そもそも生きていたくない。消滅したい。転生した後もニールの思考はそんな風に暗く凍り付いたままだった。


「それでもいいわ。私は何があってもニール様についていくと決めたんだから。ニール様は好きな道を進んでいいのよ」

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