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人のせい

作者: 灰庭 太郎

「あいつのせいだ。」と、僕は声を荒げて訴えた。


「僕は悪くない。あいつがやれって言ったから。僕のせいじゃない。」

そんなことを何度も訴えた。同じようなことを何度も言った。

そのたびに周りが引いていくのを感じた。

それを感じて僕はますます訴えを強くした。

「そもそもどうして皆も止めてくれなかったんだ。

そんなに悪いことだっていうならやる前に言ってくれればよかったんだ。

どうして何も言ってくれなかったんだ。僕はただ精一杯やっただけのに。

そうするのが皆のためだと思ったから。そうするのが自分の役目だと思ったから。

どうしてだれも僕を助けてくれなかったんだ。どうしてだれも僕にかまってくれないんだ。

あいつのせいだ。あいつのせいだ。あいつのせいだ。

お前のせいだ。お前のせいだ。お前のせいだ。

皆のせいだ。皆のせいだ。皆のせいだ。

どうして、どうして、どうして。

僕は悪くない。

僕は悪く、ない。

悪いのは。

いつもいつも-。」


そこまで言って、僕は声を出すのをやめた。

周りにはもう、誰もいなかったから。


他人のせいにすることは、そんなに悪いことなんだろうか?

僕はただ、思ったことを分かってほしかっただけなのに。


ふと、僕は空を見上げる。

空は、今日も憎たらしいぐらいの快晴だ。

その青い風景に向かって、僕は両手を広げた。

そして願った。

このまま、空から雷が落ちて、僕に当たればいいのに。

そうすれば、僕は胸を張って言えるだろう。


ほら、やっぱり僕は悪くない、と。

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