50話
雪視点
家では姉が俺を無視し続けて、お母さんも俺とは話をしなくなってしまった。学校では俺の噂がどんどん広がっているが、もう誰とも話をしていない。先生も俺に話しかけることはしなくなった。紙を配るときなどは作業の一つでしかない。本当に話をしなくなった。
いや、よく考えたら、俺は会話も下手なボッチだから、大して変わらないか。
毎日のようにクラスの自分に向けた、悪意を感じる。
上町(春香)が中心に俺の話題を広げているようだ。
そして、もう一度会話する機会が訪れた。
「私のことまた触ったでしょー!」
俺はまた冤罪を夏山に掛けられた。
もう正直大して変わらなかった。証拠もないので、問題にはならない。いや冤罪なのは夏山が自身が誰より知っているから問題にしないほうがいいんだ。
そして、家に帰ると、次からどんどんご飯が減らされ、最終的には、小銭だけになった。
俺を照らすストラップももう無い。どんどん世界は暗くなる。
そして、ある日変化が起きたらしい。
どうやら、上町が捕まったようだ。同時に警察の調査が入り俺の疑いのこともあった。そして、冤罪が判明した。夏山も上町と似たような処分になったようだ。夏山の冤罪に加担した人達は高校の入学が取り消しになった。問題があった学校の先生達は何人か辞めることになった。そのことがトラウマなのか、また何かあったのか真面目な先生も数人辞めた。
そして、クラスでは皆が俺に話しかける。きっと俺に許して欲しいのだろう。俺への度が超えた虐めはとっくに有名になり、全員がその虐めに加担した対象になっている。気分次第で下手したら高校を辞めることになるし、俺が言えば高校に受かる人もいるだろう。告白してきた女子もいた。
世界は暗いまま。
姉と母親は冤罪後に久しぶりに話しかけて来た。
「本当に悪かったごめん、雪!」
今度は俺が無視を始めた。
そして、取り調べの中で、ストラップがおそらく上町さんに盗まれたことを話すと見つかったようだ。 その兄が謝罪を含めて返しに来てくれるらしい。
久しぶりに母親と話をした。
「お母さん横にいるね。」
ーーーーーーーーーーー
優視点
髪がとても長いしばらく切っていないのだろうか、、、
それも春香、いや俺のせいだ。
ずっと下を向いている。この感じまるで、俺のようだ。
絶望をしているような。中々俺の顔を見ようとしない。
そりゃ顔を見たくもないよな。
「大変申し訳ありません。うちの妹が大変、本当に大変ご迷惑をお掛けしました。ストラップを盗むというしてはいけない犯罪を犯してしまいました。妹自身の口から確認し、虐めをしてしまったことも確認しております!兄としてしっかりしていないばかりに、雲野さんをとても傷付けてしまいました。どんな罰も受ける覚悟です。改めて大変申し訳ありませんでした。」
「、、、先輩?」
「雪、声が、、、」
「その声、ごめん髪で顔が見えないです。もしよろしければ髪をどかして、顔を見せて貰ってもよろしいでしょうか。」
「先輩ですよね、、、覚えてます。ずっと前にあった。」
「あー覚えてるよ、一日だけのことだったけど、俺にとってはこのストラップのことを語れた大切な思い出だった。」
まさかあの時の少年だったとは、そして再会、出来るとは。
「面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!」