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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

蹴落とされた令嬢は村人Aと結婚しました。

作者: 関谷 れい

「今日は茄子が収穫時だよ~」

畑からこちらに向かって手を振る男性に、私は微笑んだ。

「はい、今参ります。素手でよろしいのかしら?」

「いや、傍で見ててくれるだけで良いから。また鋏で手を切られても慌てるし、熱中症で倒れられても困るし、アブラムシで昏倒されたら……」

「……わかりました、大人しくしておりますわ」


(わたくし)は、ひょろりとした村人A……いや、今は私の旦那様である平々凡々な村人のクリフに対し、むっつりと答える。


……(わたくし)だって、役に立ちたいのですけれど。


働いた事のない私は、毎回何かしら手伝おうと積極的に動き、その度逆にクリフの手を煩わせるという事を繰り返している。

毎回今度こそ!と思うのに、今のところそれが上手くいった試しがない。


「イヴェットは、ベンチにいてね」

「……はい」


にっこり笑う旦那様。元々細い目が更に細くなり、目尻も下がる。

私がどんなに足手まといな行動をしても、一度も怒った事のない穏和な性格。今日も、私がどんなに役立たずっぷりを発揮しても全く怒る気配がない。私が結婚指輪を外したり彼の傍を離れたりする事以外は全て容認してくれる懐の広さ。私には到底真似出来ない。


長閑な田舎村。小さなお家と、大きな畑。クリフの住まいに私が転がりこんでから、もう一年以上経つ。

畑の傍にはクリフが造ってくれた簡易ベンチが設置されており、人一人が寝転んでも大丈夫な大きさだ。そこでランチを二人で頂くのが最近の日課となっている。

ベンチには、私が熱中症で倒れてからはパラソルの設置までしてくれていた。お陰で日傘をさし続ける手間がなくなった。

ベンチの上には、クリフが敷いてくれたと思われる敷布が掛けられており、私はその上にそっと座る。レースがあしらわれたそれは、明らかに私の為の物だと語ってくれている様で、胸が温かくなる。


私の元々の名前は、イヴェット・バシェレリー。

けれども、とっくに実家である侯爵家は潰され、平民に堕ちたから単なるイヴェットだ。


私に平民の暮らしなんて無理だと思っていた。小さな頃から聖なる力を発現し、その噂が陛下のお耳に入った結果直ぐに王都に召し上げれ、蝶よ花よと育てられた私はいかんせん生活能力皆無で3日で飢え死に間違いないからだ。けれども、クリフさえいてくれれば何とかなる。というか、何とかなっている。

最初は日傘のさし方さえわからなかったのだ。今では着替えも、平民の服なら何とか一人で着られる様になってきた。


お母様やお父様はこの平民の暮らしに耐えられているのだろうか?と、家族を思って最初の頃は泣いていた。

家族がバラバラに離散してしまった今となっては、知るよしもない……のが普通だけれど、どうやって情報を手に入れたのやら、1ヶ月に一度クリフの家に二人からの手紙が届くので、無事に両親の状況を知る事が出来た。お父様の癖のある字が愛しくて懐かしくて、その時もハラハラと涙した。私からの手紙は、クリフに任せるだけで両親に届く。


二人は私の無事がわかると、「自由だ~!」と言って通訳の仕事をしながら世界各国を旅しているらしい。その近況が書き綴られた手紙を見た時には、あまりにらしくて笑ってしまった。


元々勢力争いとは無縁だった両親なのに、私が能力を開花させたせいで否応なしに巻き込んでしまった。そして、慣れない争いの中で私が足を引っ張り、庇おうとした両親もろとも見事に失墜した。

昨日まで友人だと思っていた人達が、翌日には皆冷ややかな視線を送ってくるのだ。貴族社会は怖い。二度と戻りたくはない、と思う。


……今が幸せだから。



「イヴェット、暇じゃない?」

「問題ないですわ」


お茄子を収穫しつつも、私に言葉を掛けてくれるクリフに微笑みが漏れる。


「イヴェットさえよければ、何か歌ってくれる?」

「……ええ、勿論、喜んで」


私は、口を開いて風に声をのせた。私が歌う事を躊躇わないでいられるのは、彼の前でだけ。私は元々歌うのが好きだしクリフも私が歌うのを好むけれど、私が王都を追われる原因となったのも歌だから。


瞳を閉じれば、またあの日の事が瞼の裏に甦った。




***




「お前が犯した罪は重いっ!!」

その日私は、陛下の御前で兵士に取り押さえられていた。

「お前の歌は、瀕死の魔物にさえ活力を与え、甦らせてしまう……悪の力だ。よって、二度と声を発する事のない様に喉を潰し、舌を切ろう」


冷たい表情で陛下は私に告げた。


私の婚約者であった第一王子曰く、国が時間と金を注ぎ込んでやっとの事で捕らえた古竜が、私の歌で息を吹き返したように元気になり、逃げ去ってしまったのだという。


その日まで私は、歌で人間(ひと)を癒やす神子扱いだったのに、いきなり180度違う態度で蔑まれどうして良いのかわからなかった。

その素晴らしい能力を遺憾なく発揮してくれ、と言われて、いつでも命令を受ければ何処にでも赴いて忠実に実行したのに。


よくよく聞けば、元気になるのが人間なら良いが、古竜含む魔物を元気にされるのは都合が悪いらしい。


私の能力は人間にしか対応していないと勝手に判断して、魔物を含む万物に活力を与えるとわかった瞬間に魔女呼ばわりだなんて、こちらとしても良い迷惑だ。


私の力が聖なる力ではなく悪の力だと言い始めたのは、恐らく第一王子の勢力と真っ向から対立する第二王子の勢力だった。私を庇ったのは両親だけで、元々貧弱だった我が家系を守ろうとしてくれる貴族はおらず、第一王子はさっさと悪の令嬢と成り下がった私を捨て婚約破棄し、何事もなかったように直ぐ様公爵令嬢と新たに婚約を交わした。

私は死刑を免れたものの、舌を切られ、喉を潰される刑に処されて痩せた大地に放逐された。



道端で倒れて死にそうな時に助けてくれ、私を甲斐甲斐しく看病してくれたのが、私の旦那様の村人A……クリフである。


クリフは、一目見て犯罪者であるとわかる処分を受けた私にも優しくしてくれた。そしてクリフはとても物知りだった。木の実と何かの根っこと他の何かを混ぜて擦り潰し、それを1日3回、私に飲ませた。薬だと言われても信じられない程に不味く、本当は私を毒殺しようとしているのではないかと勘繰った位だ。結局私は、クリフを信じる気持ち半分、どうにでもなれという気持ち半分で1日3回の拷問に耐え、その後3ヶ月程で無事に回復した。舌と喉が再生して普通に話せる様になった時には、本当に驚いた。


そして私が起き上がって話せる様になると、クリフは「君に僕のお嫁さんになって欲しいのだけど」と、両手いっぱいに摘んだ野バラを私に差し出しながらプロポーズをしてくれた。

その頃の私は命の恩人である以上に既にクリフの優しさに酷く心を奪われていたし、前向きな返事をしたかった。もう平民だから、両親の許可はなくとも結婚は出来る筈。けれども、自分が犯罪者である事がどうにも気になってしまい、両親と連絡が取れるまで保留にして貰った。


次の日タイミング良く届けられた手紙をクリフから受け取った私は、結局両親の快諾と後押しを貰えた。そして無事に村の外れにある小さな教会で二人きりのささやかな結婚式をあげたのだ。



細々とではあるが、ウエディングドレスを見た時には卒倒しそうになった事はよく覚えている。私の目に狂いがなければ、夜露の煌めきと呼ばれる最高級の絹の生地に、偽物には見えない宝石が流れ星の様に編み込まれたデザインのもので、王妃様であってもこれ程のドレスを身に纏っていらっしゃらないのではないかと思ったからだ。


でも、クリフは「そんなに良い物は流石に買えないよ」と笑って言ってたから私の目が狂っていたらしい。お陰で気軽に着られて良かった。こんな片田舎にあんな豪華な物があったら、村を焼き払ってでも手に入れようとする強盗が出たかもしれないので心から安堵した。


ただ、その日以来クリフから必ず身に着けるように言われた指輪は一見すると何の変哲もない宝石の付いていないガラスの指輪だが、見る人が見ればかなり高価な石を削って作った結婚指輪である。本当は持ち歩きたくないのだけど、クリフがお願いするのでずっと指に嵌めている。この長閑な田舎ではガラスですと言えば皆納得してくれるのが、とても有り難かった。




***




「本当に、うちの野菜はよく育つな~!イヴェットのお陰だね」

「まさか。クリフが丹精込めて育てているからですわ」


クリフがそう言うのに、私は曖昧に誤魔化す。私の能力は人間も魔物も、そして植物も元気にしてしまうのだが、自分の力を話す気にはなれなかった。もし話して、クリフが変わってしまうのが嫌だからだ。


私の能力に気付いた両親は、私の能力を隠そうとした。それを、そこまで懇意ではない侍女の怪我を愚かな私が後先考えずに治してしまったせいで、私の能力が広まり、最終的に陛下に目を付けられてしまったのだ。

あの冷たい眼差しを思い出すだけで、今でも寒気がする。人を道具としか見ておらず、常に利用価値を計ろうとするあの目。



私が歌うのをやめると、近寄ってきていた野生生物が一斉にパッと離れていく。少し寂しい気分になるけど、一時の休息を与えられたのなら、それで良い。野生は野生でいるべきだ。でないと、命あるものを食せなくなってしまう。


「イヴェットちゃ~ん、クリフさ~ん」

「ご機嫌よう、マテさん」


お隣……と言っても、100メートル以上離れたところに住む面倒見の良いマテさんがこちらに手を振りながら歩いてきた。


「これ、お裾分けだよ。昨日旦那が獲ってきた猪!」

「わぁ、凄いですわ。貴重なものなのに、ありがとうございます」

「マテさん、これはうちからお返しです」

私が御礼を言うと、クリフは取れ立ての野菜をマテさんの空いた籠に詰めていく。


「いえいえ、いつもこっちこそ悪いわねぇ。茄子も虫食いしやすい野菜なのに……貴方達が越してきてから、村の収穫がぐんと良くなったから、本当に助かってるのよぉ」

「それは偶々ですけど、土地が肥えてきた事は良かったですわ」

人間は、役に立たないとみなすと手のひらを返すように態度を変える生き物だ。それをよく知っている私は、自分達には関係ないとアピールする。


万が一自分と関連付けた村人が、収穫出来なくなった時に槍玉にあげるのも、勿論私達だろうから。


ただ、村人達とは仲良くやっていきたいと願う気持ちは本当だ。クリフの為にも。


「そうだねぇ、何でも逆に王都は土地が痩せてきたみたいだから、これからは私達みたいな田舎が頑張らないとなんないしねぇ」


マテさんは何気なく言ったのだろうが、私は一瞬固まる。

「……そうなんですのね」

扇で顔を隠そうとして、手に扇がないのに気付いた。


「イヴェットちゃんは、王都から来たんだろう?」


マテさんは、悪気なくグイグイと聞いてくる。田舎の人に受け入れて貰うには、プライベートを話すのが一番だ。わかっていても、真実をありのままに話す訳にはいかなかった。

私が再び歌える様になったと陛下達が知れば、何をされるかわかったものではない。


「はい、一応王都から来ました」

「なんでもさ、王都から逃げ出したらしい元神子様を、王様が探しているらしいんだよ。王都の土地が痩せたのは、その元神子様の仕業じゃないかって話らしくてね」

「……そうなんですの?」

「イヴェットちゃんも、元々お貴族様みたいだし、知り合いなのかなーって思って。……もし、匿う事になったとしたら、面倒に巻き込まれない様に気をつけなね」

「はい、ありがとうございます」


私とマテさんの会話に、クリフが入ってきた。


「その元神子様って、人相書きとかも出回ってるんですか?」

「いいや、どうやら喉が潰されて舌を切られているとかでねぇ……そんな女性は殆んどいないだろうから、診療所とか教会とかを中心に探されてるみたいだよ」


マテさんの回答に、クリフは表情を無くす。


「酷い話ですね。罪人として処刑しておきながら、更に探して捕らえるなんて……何をするつもりなんですかね」

「さぁてねぇ。お偉いさんの考えている事は、わからないわぁ。古竜の事だって酷い話だもの」

「古竜ですか?」


私は、話を逸らしたくてわざと古竜の話に乗った。


「ほら、王様がいきなり捕まえようとしたでしょう?古竜なんて、住処を中心とした区域を魔物から人間をずっと守ってくれてたって言うのにさぁ……なんか悪さしたって話だけど、ずっと守護下にあった区域の人間なんて、あり得ないって怒りに震えてるよ。無事に逃げ出したみたいだけど、古竜は戻ってくる様子もないし皆の嘆きはそりゃ深いもんさ」

「……私が王都にいた時、古竜は畑になった食べ物や家畜を食い荒らす、と伺いましたわ。その血肉は漢方薬になるらしいので、駆除をしつつ妙薬を手に入れるのが好ましいと……」


私は自分の愚かさに震えた。何故、陛下や王子の話を鵜呑みにしたのか。自分の事で、彼らが簡単に偽りを真実へとねじ曲げてしまう事を、知っていたのに。


「大方、昔の文献に古竜の血は不老不死の効能があるとか何とか書かれていて、それを信じたんじゃないかな」

クリフはそう言いながら、「そろそろお昼にしようか」と微笑みかけてくる。それを聞いたマテさんは、「あらあら長い時間お邪魔しちゃったわね!お野菜ありがとうね!!」と大量の野菜を詰め込んだ籠を大事そうに抱えて去って行った。



再び二人きりになり、クリフから声が掛かった。

「イヴェット、日傘持つよ。貸して?」

「私、自分で持てますわ。猪肉と、お野菜はどうしますの?」

「こうするよ」

クリフは笑って、猪肉を肩に担いで野菜の入った籠を持ち、もう片手で日傘を持った。ひょろりとしているのに、どこにこんな力があるのか本当に謎だ。



二人で狭い我が家に戻り、お昼の準備に取りかかる。

「私は何を致しましょう?」

「じゃあ、茄子を洗ってくれるかな?」

「承知致しましたわ!」


お仕事を任され、私は意気揚々とお茄子を洗う。「痛っ……」秒で指先に棘が刺さり、「イヴェット!?大丈夫?」と慌てて駆け寄ったクリフに処置をさせてしまった。


「……私ったら、何をしても駄目で……」

結局足手まといになり、肩を落とす。涙目になりそうなのを、俯いて隠した。

「何かして欲しいからイヴェットと結婚したんじゃないよ?笑ってくれるだけで、僕は嬉しいんだ」


クリフから椅子に座っているようお願いされて、私は大人しく椅子に座る。猪肉の下処理を手際よく済ませるクリフの後ろ姿に、意を決して声を掛けた。


「……あの、先程のマテさんのお話ですけれども」


クリフは、気付いた筈だ。私が、陛下の探している元神子だという事に。確かに処罰は受けたけれども、まさか一度放逐した犯罪者を再び探すなんて事をするとは思わず、クリフには罪状などの詳しい事情を話さず単なる没落貴族という説明しかしなかった事が、今になって悔やまれる。


全ては言い訳で、私はクリフに嫌われたくなかったのだ。


「イヴェットは、しばらく外に出ない方が良いかもね?」

「クリフ……わ、私……迷惑をお掛けして、本当に……ごめんなさい」

「迷惑?何言ってるの、あいつが迷惑なだけでしょう。今すぐ殺してやりたい」

クリフの細い瞳が開かれ、その眼光が鋭く光る。クリフは普段とても温厚で、怒る事は殆んどないので私は驚いた。

「あ、あいつ?」

「この国の王」

「そんな事おっしゃらないで下さい。クリフが捕まってしまったら、私は……」


陛下の残虐な性格を知る私は、スカートをぎゅっと握り締めた。自分の喉が潰されるよりも、クリフを失う事の方が今はずっと怖い。


「うん、わかった。ごめんね?」


クリフの縦型の瞳孔が少し丸みを帯びて、ホッとする。クリフの瞳は少し変わっているが、彼がしっかりと目を開かないと気付く事はない。


「けど、イヴェットに何かしたら……僕、間違いなく殺しちゃうかも」

「クリフが危険です。私が……もし私が捕まってしまったとしても、クリフが元気に過ごしてくれる方が、私は幸せですわ」

「イヴェット……」

「だから、危険な事はしないと約束して下さいませ」

「うん、わかった。約束するね」

クリフは目尻を下げて、微笑んだ。




***




「……クリフ……」

「イヴェット、愛してるよ」

私達は、夫婦になってから夜の営みを毎日設けている。私は知らなかったけれども、世の中の男性は陰茎が二本の人もいるとの事で、クリフはそうした部類の人だった。


男性との交わりがこんなに気持ちの良いものだなんて、誰も教えてくれなかった。クリフが言うには日に日に私の感度も上がっているという事で、それはとても喜ばしい事の様だ。

クリフも女性を抱くのは私が初めてだという事で、私達は唯一の存在である事をお互いに嬉しく感じている。


この国では、王族や貴族は側室を迎える場合もあるが、平民は一夫一妻だ。クリフを独り占め出来る事が嬉しくて仕方ない。


クリフは本当に全てが平々凡々で、仮に私が貴族のままこの田舎を訪れていたとしたら、間違いなく村人Aで終わる存在だ。


だからこそ、その妻である私も埋もれて生きて行ける。私は神子でもなく魔女でもなく、ただありのままのイヴェットを受け入れてくれる人と出会えた幸運に、感謝していた。



夫婦は朝まで睦みあうのが普通だと初夜にクリフから聞いて、以来欠かさず毎日朝まで私達は行為に及ぶ。


でも大抵私は途中で気絶してしまうので、本当にいつも申し訳なく思うのだけれど。

世の中の夫婦の体力は凄いと思う。私はいつも午後にクリフからお昼寝の時間を設けられているのだけど、働いている女性はいつ睡眠をとっているのだろうか?



「僕のイヴェット……愛してるよ」

クリフはいつもそう言いながら、今日も空が白むまで私を貪り続けた。




***




それは、クリフがいない時だった。

私が書いた手紙を街の手紙屋さんに出しに行く時だけ、彼は私が午後にお休みを頂いている間、自宅を離れて半日だけ家を留守にするのだ。


軋む身体と喘ぎ声を出しすぎて枯れた喉を休めていると、コンコンコン、と扉がノックされた。

「イヴェットちゃん、いるかい?」

マテさんの声だ。

大抵マテさんが我が家に訪れるのは畑仕事をしている午前中が多く、この時間に来訪される事は滅多にないので、私はクリフに何かあったのだろうかと直ぐ様扉を開けてしまった。


「いたぞ!!」

「ちょっと!何するんだい、この子は普通に喋れるよ!」

「神子だ、連れて行け!」

私は三人の兵士に囲まれ、寝間着のままズルズルと引き摺られて馬車に乗せられてしまう。


「話聞くだけって言ってただろう!?せめて旦那が戻ってくるまで待って─」

マテさんが慌てて私を助けようとしてくれたのだが、

「邪魔をするな!公務執行妨害で連行されたいのか!!」

「きゃあ!!」

バシンッという大きな音を立て、彼女は倒れ込んだ。


「マテさん!!」

彼女は叩かれた頬を抑えながらも、なお手を伸ばして兵士にすがろうとする。

「やめて!やめて!!付いて行きますから、やめて下さい……!!」

私は必死で剣の柄に手を掛けた兵士の腕にしがみつく。そして、マテさんに伝言を頼んだ。


「マテさん、巻き込んですみません。……クリフには、直ぐに戻りますと……伝えて下さい」

「イヴェットちゃん、ごめん、ごめんね……!」

涙を流すマテさんに首を振り、私は心配いりませんよと言って笑顔を作る。


そして着の身着のまま馬車で連行された。偽名も使わず、危機感を持たずに生活してきたしわ寄せがきたのだ。陛下の命令を、そして捜索隊の能力を甘くみてはいけなかった。


結局、マテさんに迷惑を掛け、クリフには心配を掛けるだろう。

「……クリフ……ごめんなさい……」

私は馬車に揺られながら、ポツリと呟いた。




「一年ぶりだな、神子よ。元気そうで何よりだ」

「……」

久しぶりにお目にかかった陛下は、私を魔女と言わずに神子と呼ぶ。

その再びの態度の変わりように、心底嫌悪感が胸を占めた。


また、私に神子としての命を下すつもりなのだろう。もしここで陛下の命に従えば、直ぐにクリフの元に戻して貰えるのだろうか?


──いいえ、と私の直感が告げる。

恐らく、命に従おうが従うまいが……クリフの元に戻して貰える日は来ない。逆らえば殺され、従えば傍に侍らせられるだろう。


であれば、素直に従ってチャンスが来た時に逃げるしかない。

私はすがるように指先で結婚指輪をなぞろうとして、そこに慣れ親しんだ感触がない事を思い出す。

田舎の人達と違って、馬車に揺られている最中その価値に気付いた兵士達に盗られてしまったのだ。


「話せる様になったらしいではないか。どんな魔法を使ったんだ?」

「……」

「お前が住んでいた村を焼かれたくなければ、私が優しくしてやっている間に口を開くのが賢い選択というものだ」

「……お久しぶりです、陛下」


私が仕えるべき国王は、こんなに卑怯な人間だったのか。村を人質に取られ、私は歯を食い縛る。私が逃げたならば、直ぐ様村が焼かれるのだろう。私に逃げ道はなかった。


優しいクリフの笑顔だけが脳裏を過る。どうか、このまま……クリフが危険な目に合わずに済みます様に。私を助けようとしてそのまま門兵に捕まるクリフを想像し、ゾッと鳥肌がたつ。


「何故お前が見つかったのか、不思議か?簡単な事だ、この一年で収穫が飛躍的に伸びた……つまり、肥えた土地を探したらお前がいたのだよ」

「……何故私をお探しなのでしょうか?私の家は没落し、入城させて頂ける様な身分ではございません」

陛下がすいと手を挙げると、陛下の椅子の横に、元婚約者だった第一王子が現れた。


「なぁに、息子がやはりお前を側室として迎えたいと言っておってな。私は慈悲深いから、再び神子として起用するなら許す事にしただけだ」

見上げた私と、第一王子の視線が交差する。それは愛情の欠片もなく、まるで汚物を見るかのごとき冷たい視線だった。


第一王子の横には正室の公爵令嬢がいて、彼はその腰を抱き寄せる。

つまり、私の側室行きは第一王子の希望ではなく陛下の命令と言うわけだ。


「……」

私は既に結婚をしています、と口を開きかけたが、陛下のほの暗い瞳を見てやめた。陛下は既に知っている筈だ。


その上での提案なのだから、私に求められているのは側室の役割ではなく、神子として歌う事。万が一クリフの名前を出そうものなら、翌日にはクリフの首を目の前に突き出しそうな危うさを、この王は持っている。


クリフの安全の為にも、余計な事は言えなかった。それが、彼を裏切る行為だとしても──彼の未来を奪うよりマシだ。


「……わかり、ました……」

言いながら、涙が溢れる。

私が泣くと、「どうしたの?イヴェット」とオロオロしながら涙を優しく指先で掬ってくれるクリフはここにはいない。

せめて、一言だけでもお別れが言いたかった……



「何がわかったの?イヴェット」

空から、声が振ってくる。私の願望が、クリフの声を──


「誰だ貴様っ!!」

「えっ?……クリフ」

私の視線の先、国王を含む全てが見上げる先の窓に、人が居た。到底梯子でもないと、届かない場所。


外から入るのは可能だが、外にいる見張りが壁をよじ登る人間に全員気付かなかったなんて事があるのだろうか?


けれども私にとってはそんな事どうでも良く、クリフがそんな高所から落ちた時の事を考えて恐怖する。


「遅くなってごめんね、変な奴らが指輪持ってたから時間掛かっちゃった」

クリフは私に向かって笑顔で言うと、次いで陛下を見下ろして言う。


「あんたさぁ、いい加減にしなよ。神子の人気が出過ぎて焦ってイヴェットを追放した癖に、やっぱりその能力が惜しくなったからまた探すとか迷惑過ぎるんだよね。あんな酷い仕打ちしといてさ」


「怪しい奴め!撃ち落とせ!」

「やめて!おやめ下さいませ!」

陛下が部下に指示をし、私は真っ青になって一番近くの弓を構えた兵士におい縋る。


「イヴェット、僕以外の男に触っちゃ駄目」

クリフはそう言ったかと思えば、その場からジャンプした。

「きゃあああ!!」

クリフが床に叩き付けられるところを想像して、私は顔を覆う……と同時に、ふわりと優しく抱き締められた。匂いでわかる……クリフの腕だ。そして私はそのままお姫様抱っこされていた。


「何者だ、貴様……!」

「人間って、本当に欲張りだよね。イヴェットはもう、僕のお嫁さんなんだよ。欲しいなら、僕と戦って勝ってからでないと」

村人Aが、堂々とこの国の王と話すところは、違和感しかない。何より不思議なのは、その村人Aがこの部屋の空気を支配していた事だが。

この場にいる全員の視線が集中する中、クリフは取られた私の結婚指輪を懐から取り出し、そっと私の指に嵌めた。


「イヴェットが、誰も恨まず静かに暮らしていたいって言うからその首が繋がったままだったのに。自ら死ぬ道を選ぶだなんて、本当に愚かだ」

クリフの細い瞳が開かれて、その瞳孔が縦に伸びる。


私は今この瞬間にもクリフが矢に射抜かれてしまうのではないかと思いながら、彼にぎゅうと抱き付いた。

「……お前、まさか……!おい!奴らを捕らえろ!!」

陛下の声に、圧倒されていた周りの兵士が我に返り、一斉に私達に向かって来る。

「イヴェット、ちょっと怖いかもしれないから、目を瞑っててね」


クリフはどんな魔法なのか、ふわりとその場から浮き上がって先程クリフが現れた天井近くの窓に飛んだ。そのまま逃げるつもりだ、と思った私は、クリフを止めるように口を開く。

「……クリフ!クリフ、いけません!私が残らないと、村が……!!」


私が逃げ出せば、陛下は確実に村に危害を加える。クリフは私を安心させる様に微笑み、眼下にいる人達を一瞥した。正しくは、第一王子と、騒ぎを聞き付けて駆けつけた第二王子を交互に見た。


「……僕達の味方になる方は、次の王冠を約束するよ。出来なければ、君達は国を崩壊させた愚王として語り継がれる事になる。……さぁ、どっちを選ぶ?」

「……クリフ?」

「何を言うか、古竜め……!惑わされるな、包囲陣を展開せよ!!」


陛下が叫び、第一王子が「今は手持ちの弓も爆薬も足りません!あれは事前に入念な下準備期間があったから可能だったのです……直ぐには無理です!」と答えている。


傍目から見て焦った様子の二人とは対照的に、第二王子はスラリと剣を抜いた。真っ直ぐにクリフを見て、淡々と告げる。

「……私が、貴方につきましょう。貴方達に手出しはしないと約束する」

「イヴェットを貶めたのに、今更か。……まぁ、いい。くれぐれも、遷都はするなよ?イヴェットは静かに暮らしたいんだからな」

「畏まりました」


クリフは第二王子と会話を終わらせたと判断した様で、私をもう一度しっかり抱き上げ空に舞った。

背後で「おい、お前!何を勝手に……」と第一王子が叫んだところで、悲鳴や怒号が聞こえ、何事かと思ったが振り返る事をクリフはよしとしなかった。


「イヴェット、汚いから見ちゃ駄目。どこも怪我してない?大丈夫?」

「は、はい。私は大丈夫、ですが……」

バサリバサリとクリフの背から伸びる大きな羽を見ながら、そうだったのか、と私は漸く理解した。


「寒いよね、ごめんね。直ぐに家に着くから、もうちょっとの辛抱だよ」

「クリフ……助けてくれて、ありがとうございます」

「……違うよ。イヴェットが先に、僕を助けてくれたんだ」

そう言って、クリフは空を飛びながら自分の事を話してくれた。




***




クリフは悠久の時を生きていた。それは長過ぎて退屈な日々だったが、たまに暇つぶしで人間と交流しては、クリフの怒りに触れない限り加護を与えていたのだという。

クリフが最近楽しみにしていたのは、とある貧乏な侯爵領から聞こえてくる癒しの歌。それがある時を境に聞けなくなり、同じ歌声を探していたら、王都から聞こえてくる様になった。

以降、クリフは歌声の持ち主……つまり私を、傍で見守っていたという。


私が戦場へ行けば、クリフも戦場へ。狩猟大会、闘技場、病院、何処にでも付いて来ていたらしい。「それまで人型には興味なかったんだけど、流石にマスターしたよ」とクリフは笑って言った。


私が第一王子の婚約者となり、神子となり。ならばこの国に加護を授けるか、なんて思っていた頃、クリフが現れる事に気付いた陛下が捕縛する為の罠を仕掛けていたという。


「馬鹿だよね。僕に何もしなければ結果的には守護して貰えたのにさ」

幾重にも張られた包囲陣によって流石に力を消耗したクリフを救ったのは、人々の安寧を願うのが習慣だった、私の歌声だった。

そして一時自分の住処に戻り、何とか体力を回復して戻ったクリフを待っていたのは、既に処刑されたという私の情報だった──



「黙ってて……騙してごめん、イヴェット。僕のせいで君は酷い目にあったのに。君に触れて、僕に初めて所有欲が湧いてしまったんだ。……ずっと傍に、いたいと思ったんだ」

ふわりと自宅の前に降り立ち、横抱きにしていた私をゆっくり地面に下ろしながらクリフは辛そうな顔をしながら言った。


「……ありがとうございます」

私がそう言うと、クリフは弾かれた様に私を見る。彼の縦長の瞳孔は丸くなり、驚いた様な顔は猫みたいで愛しい。

「私を見つけて下さり、助けて下さり、お嫁さんにして下さり……私は幸せですわ」

私が彼に自分から軽く口付けると、クリフの顔は夕日よりも赤くなった。何度も身体を繋げているのに、こんな事で赤くなるクリフが大好きだ。


「……家に入ろう。お帰り、イヴェット」

「はい……ただいま戻りました、旦那様」

私達は仲良く寄り添い、家の中に入った。



「そうだ、イヴェットのご両親なんだけどね」

「は、い」

夕食後、クリフは私に話し掛ける。

「今日も元気そうだったよ。南の国が気に入ったみたいで、永住するつもりみたい」

「……もしかして、二人に会っているのですか?」

「うん。ほら、お二人は定住地がないからさ。普通こちらからの手紙は届けられないんだよね」

「……そ、そうでしたか……」

王都にいた時、手紙は侍女に宛名を告げるだけで届けてくれたから、クリフに渡すだけで届くものだと思い込んでしまっていた。


クリフが私を探してくれた時は、自宅が差し押さえられた両親が私の元に向かうタイミングだったらしい。両親に私が放逐された筈の場所を聞き、先回りして保護してくれたのだと言う。


両親には私の指輪と同じ材質の石を持たせているらしく、その石があれば何となくクリフには二人の居場所がわかるらしいのだが……それはつまり、私が手紙を書くたびにクリフは半日かけて二人に手紙を届けに行っていたという事だ。申し訳なくて、恐縮する。


「そんな事は、良いんだよ。イヴェットを一人にしてしまうのは嫌だったけど、イヴェットが喜ぶ事なら僕は何でもしたいんだ」

クリフはにこりと微笑んで私に言った。

彼は私の心をいつも温かくしてくれる。


「イヴェット、愛してるよ」

「わ、私も愛してます……っ」


その何分の一かでも、私は返せているのだろうか?




***




大抵朝方気を失う様に眠ってしまう私は、太陽の光がカーテン越しに主張を強める事で目が覚める。

クリフは畑仕事に出ている事が多いが、今日は私の真横で、私の髪を撫でながら私の寝顔を眺めていた様だ。


「……おはようございます……」

「おはよう、イヴェット」

ひょろりとした体型であるのに、クリフの体力は人間のものとは思えない……と常々思っていたが、まさか本当に人間じゃなかったなんて。

ちょっとズルい、と思ってしまう。


そう言えば、人間でなかったと言っても愛する気持ちは微塵も変わってないものの、ひとつだけ気になっていた事を聞く。

「……クリフとの赤ちゃんって、出来るのでしょうか?」

クリフとは一年以上、毎日身体を繋げている。にも関わらず、妊娠しない事を少し不思議に思っていたのだ。


「イヴェットは、僕が古竜だとしても子供欲しいの?」

クリフに聞かれ、私は正直に答える。

「クリフとの赤ちゃんなら……」

「前例はあるみたいだけど、その為にはもっと沢山沢山交尾して、僕の子種をイヴェットに馴染ませていかないといけないんだ」

「そ、そうなんですの?」

「うん。今のペースだと、ちょっと足りない……かな?」

「わ、わかりました!私、頑張りますわ」

「うん。僕ももっと頑張るね。じゃあ早速……」

クリフが何か言い掛けたところで、我が家のドアがノックされた。


「イヴェットちゃん!!クリフさん!!いるかい、二人とも!!」

マテさんの声だ。


私達は顔を見合せ、「おりますわ、少々お待ち下さい」と返事をしてから慌てて服をささっと……いや、正確には慣れない着替えでもたもたしつつも扉を開けると、そこにはホッとしたようなマテさんの顔。


「ああ!!イヴェットちゃん、無事だったんだね、良かった……!!」

マテさんにぎゅう、と抱き締められて、胸が温かくなる。


「ご心配お掛けして申し訳ありませんでした、マテさん。……無事に、昨日帰宅致しました」

「本当に、本当に良かった……!!何でも今朝から、国が大変な騒ぎだったしね、もしかしたらイヴェットちゃんが解放されたかもしれないと思って来てみたんだよ」

「国が大変な事……?」

私が首を傾げると、マテさんは「ああ、まだ聞いてないんだね」と言って説明してくれた。


国王と第一王子が崩御されたと国中に報せが届いたらしい。そして第二王子が王位に就いたとも。


「何があったんだかさっぱりだけどさ、税金さえ上がらなきゃ私らの村には関係ない話さ」

「そう、ですね……」

私は、クリフをちらりと見る。


第二王子はクリフの味方をして、実の親と兄を殺した。第二王子は本気で王位を狙っていたのだろう……この国の為に。


私が神子として陛下の言いなりになっていた時、第二王子から一度だけ、自分と組んでこの国を良くしていかないか?と提案されたことがある。


自分の頭で考えることが出来なかった当時の私は、その話を聞かなかったことにした。陛下と第一王子の呪縛から、逃れることが出来なかった。


だから結局、第一王子の婚約者だった私を貶めざるを得なかった事も、今回の事も理解出来る。

彼は心から、この国の未来を案じていた。


とは言え、個人的には好きになれないけれど、第一王子みたいに色恋沙汰を政治に持ち込む人ではないだろうし、クリフがいるうちは村も国も安全な気がする。



「どうしたの?イヴェット」

クリフが穏やかな笑みを浮かべながら首を傾げる。その細い瞳には、昨夜の様な怒りと冷たさは全く見当たらない。


「……いいえ。今日の畑仕事はお手伝いさせて頂けるのかしらと思っただけです」

私がそう言うと、クリフの瞳に戸惑いと憐憫が浮かぶ。


……え、そんなにですか?


「イヴェットちゃんは、休んでた方がいいんじゃないかい?」

マテさんの心配げな発言に、直ぐ様「そうだね、そうしよう」と相槌をうつクリフ。


「でも、僕はイヴェットの歌が好きだから……傍にいて、歌ってくれたら嬉しいな?」

私の唇が尖る前に、クリフは片手を差し出しながら笑顔で言った。

「……喜んで」

私も笑顔で、クリフの手に自分のそれをのせて答える。

マテさんとクリフの後ろに広がる空は、何処までも高く青い。


神子から魔女へと蹴落とされた私は、村人Aだと思っていた古竜のクリフと結婚しました。

そして、これからも幸せな日々を送るのです──








数ある作品の中から発掘&お読み頂き、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] クリフは何故自分たちの味方になるものは生かすといったのでしょう?皆殺しにすればいいじゃないですか。
2023/01/03 08:40 退会済み
管理
[一言] 新年明けましておめでとう御座います 本年も宜しくお願いします┏○ 欲をかいた人間の末路を確りと、そして強く表現出来てた作品で、私も考えさせられました。 人間程々が良いってね? こ…
[一言] 最初、村人Aは他国の高位の存在なのかな?とチラリと思ったのですが、切られた舌を治す その前の竜の話 モブ顔である の点から、もしやそっち?と思っていたら 「普通」の男性には一つしかない筈の大…
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