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でぃあ魔法少女【完結】  作者: 煮木 倫太郎
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第四十話(後編) 魔法少女結論付けます


「あー…。これは…マキ様が()()()()()()()のも仕方ないっすね。」

 そお?

「ニカさんのこと全くしらないあたしでも、()るものがあるっすからね。」

 ほんと…に?

 ほんとにそう思ってる?

 そんなローソファの上で足バタバタさせながら言われても、あんまり説得力ないんだけど…。

 そうやってナユが寝そべってるせいで、座るとこない私は地べたに()()()()座りなのよ?

 …まあ、別にいいんだけど。

 でも、うつ伏せのままこっちに顔を向けない辺り、実はほんとに泣きそうになってるのかもしれないわね。

 ナユが今どんな顔してるのか確認してやりたいけど――、今日は勘弁してあげましょうか。

「マキ様って、ニカさんと面識あるんすよね?」

 うん、もちろん。

 マキちゃん、私たちのクラスの委員長してたし、ニカは七瀬ちゃんって呼んでたし――。

 というか、中学の頃のマキちゃんと話した回数で言ったら、私よりもニカの方が断然多いと思う――うん?

 ――あ、あれ?。

 今思うとだけど…、ニカって当時、なんかマキちゃんと友達みたいなニュアンスを醸し出してたなかった?

 直接、そうとは言ってなかったけど…。

 私が勝手に、連絡事項のやり取りくらいの会話を交わす仲だと思ってたけど…。

 あれれ?

「あのー、つぐみん先輩?おーい。」

 あー、でもなんか『学校でお話しするくらいの友達なら、ふつーにいるなのよ。』って言ってた覚えあるわね。

 それってやっぱり、マキちゃんも含まれてるのよね、ふつーに考えて…。

 …うーん、全然気づかなかった。

 私が思ってる以上に、やっぱり当時の私は全然周りが見えてなかったみたい。

 …ちょっとショック。

「つぐみんせんぱーい!」

 あ、はいっ、なに!?

 ナユ、いつの間にこっち来たのよ、びっくりするじゃない。

「さっきの()にっすよ。つぐみん先輩、いきなり黙り込んじゃったから、こっちこそビックリするっすよ。」

 へ?

 あ、ああ、ごめん。 

 もしかしたら、ニカとマキちゃん、友達だったのかもって思い至っちゃって、考えこんじゃってた。

「んん?なんかよくわかんないっすね。友達だったらよくないんすか?」

 ダメじゃないけど…。

 別にダメじゃない…んだけど…。

 なんというか――えーっと、ああもう!説明しにくいわね!

 まあ、いろいろと複雑な感情があるのよ、私には。

「はぁ…そんなもんっすか。親友が亡くなったっすもんね、そりゃ色々あるっすよね。」

「はいっなの!のの、聞いたことあるの!」

 ――へ?なにを?

 そんな元気に声を張り上げなくても…ってか、もしかしてタイミング(うかが)ってた?

 どちらにしても、隣の部屋から覗き込んでないで、こっち来たらいいのに、ノノ。

「ちょっと、動画についたコメントに返信するので忙しいの。『ナユナユはたまに超人じみた反応をする、未来が見えてるんじゃない?』とか、書かれてるの!なんて返せばいいの!?これ!魔法使うのも、ほどほどにするの!」

「ごめんっす、ノンノン。格ゲーとかFPSで熱くなるとつい…やっちゃうっす。てきとーに返信しといて欲しいっす。」

 あれ?卒論は終わったの?

「きゅーけーちゅー!動画の編集はおわったの!ナユはあとで、コンビニスイーツを私に買ってくるの。」

「わ、わかったっす。あとで行ってくるっす…。」

「300円以上のやつなの。」

「…わかってるっす。」

 うん、いつも通りのやり取り――じゃなくて!

 ノノ、聞いたことあるって、何!?

「紺野ニカとかいちょーが友達だったって話なの。かいちょーから聞いたの。」

 え?

 私、マキちゃんからそんなこと聞いたことないんだけど?

 …なんでノノちゃんに?

「そんなの、つぐみは紺野さんから聞かされてると思ってたから、わざわざ言う必要ないと思ってたからに決まってるじゃない。」

 ――あ、マキちゃん。

「長いうんこでしたね、マキ様。」

「うんこじゃないわよ!泣いてただけ。」

「あはは。知ってます、マキ様。」

「はぁ、まったく…。」

 どお?

 落ち着いた?マキちゃん。 

「一応ね。はぁ、まさか紺野さんがこんな憎い演出してたなんて――、まさか手紙があっただなんて――。こうなるんだったら、聞かなきゃよかったわ。泣くのって体力使うのよ。それに、しばらく引きずるし。」

「かいちょーが号泣するのは、もう職人芸なの。」

 そうね、私たちにとっては日常ね。

「そう言われるとなんか釈然としないけど、気を遣われないのは楽でいいわ。ってか、つぐみは私側の人間だからね、他人事(ひとごと)みたいに言ってるけど。」

 マキちゃんほどじゃないもん。

「何子供みたいに頬膨らませてんのよ、まったく。」

「あー、マキちゃんの前でだけ見れる、甘えんぼつぐみんなの!」

「これが噂の…。」

 噂のなに!?

 私はふつーにしてるだけなんだけど!?

「ノノにだって、甘えてるじゃない、つぐみは。別にこんなのふつーでしょ?」

「ううん、違うの。ノノへの甘え方とマキちゃんへの甘え方は全然違うの。ノノへの甘え方は、なんていうか、親が子供に甘えるような甘え方なの。でもマキちゃんの時は逆なの。子供が親に甘えるような甘え方するの。」

 ちょっと?

「あー…言わんとすることはわからなくも…ないわ。」

「なの。ノノにはそんな顔見せてくれないの。」

 ちょちょちょちょちょ、ちょっと、ねえちょっと!

「ふふ、じゃあ私だけの特権なのね。いい事聞いたわ、ありがとノノ。」

「かいちょー、かなり嬉しそうなの。」

「確かにそっすね。こんな見るからにご機嫌なマキ様、初めて見るっす。」

 おーいっ!

「そお?そんなことないとは思うけど…そうね。でも、好きな友達が他の友達には見せない、私にだけ見せる特別な顔があるって聞いたら、誰でも嬉しくなるでしょ?」 

「むぅ、まあ確かになの。私にだけ見せるの顔は下卑た笑みくらいだから、分からなかったの。」

「ああ、高校の卒業旅行で温泉入ってた時してた、あの顔ね!」

 そんな顔してないから!

 聞いてる?

 ねえ、二人とも!?

 ナユ、ちょっと二人を止めてよ!

「うーん、一応あたしの前ではカッコいい先輩なんすけどね、つぐみん先輩は。」

「それはナユが後輩だからでしょ。」

「後輩だからなの。」

「あ、でも。つぐみん先輩のレア顔といったら、号泣しながら笑って私と話し続けたという伝説が…。」

「なにそれ!?」

「なのっ!!」

 ナユまでっ!!!!

 ねえちょっと、やめてよ!

 みんな、私をおいて私の話するのやめて!

 本人いるから、目の前で赤面してるからっ!!!!

「あの日のことは印象的だったんで、今でもよく覚えてるっすね。高2の時の初詣につぐみん先輩を誘った時っす。つぐみん先輩はその昔、『ニカとずっと一緒にいられますように。』って願いが叶わなかったときに――。」

 あーもう!


 ナユの声止まれ――っ!


 ふふ、なゆの口、パクパクしてお魚みたい。

「何するんすか!つぐみん先輩っ!!ってかこんな事できたんすか!!知らなかったっす!」

 私も知らなかった。

 できるのね、こんな事。

 いいこと知ったわ。

「あれ?なの。じゃあ、ナユはその時に、紺野ニカが亡くなってるってしってたんじゃないの?」

「あ、あー…。ふつーに引っ越しとかで、別々の道を歩むことになったのかなとか思ってたっす。」

「まあ、人の死に触れることって、()()人には全然()()からね。発想がそこにいきつかなかったのも、しかたないわよ。」

「フォローありがとうございます、マキ様。」

 それで、みんな、落ち着いた?

「ああ、落ち着くといえば、ナユ。ちょっとずれてよ、そろそろ座りたいわ。」

「あ、すみませんマキ様、気が付かず…。よいしょ、どうぞお座りください。」

「つぐみんのレア顔の話をナユから聞かないと、落ち着けないの。」

 それは私のいないとこで、聞いて。

「むむぅ。」

「あ、言ってもいいんすね。」

 今更、みんなに隠すことなんて何もないわよ。

「変態だもんね。」

 マキちゃん!!!!!

「ごめんごめん、言い過ぎたわ。ルームシェアの話、前向きに考えとくから、それでゆるして。」

 じゃあ、許す。

「何それなの!?聞いてないの!」

「ああ、さっき魔法少女会議してた時、そんな話してたっすね。」

 ごめんね、ノノ。

 私にはもう、新しい人が出来たの。

「なあああ!なの!!!!!」


 ――とまあ。

 4人集まると、だいたいいつもこんな感じで、混沌を煮染(にし)めたコントのような会話を繰り広げてたわ。

 そんな大学生活は、もうすぐ終わっちゃうけど――。

 目標としてた魔法の解析については、ほとんどわからなかったと言っても過言じゃないけど――。

 でも――。

 たのしかった。

 中学の時の私からすれば、まさか私がこんな大人になるなんて、ちっとも想像できないでしょうね。

 …まあ、まだ一応学生だし、全然大人とは思えないけど。

 それはそれとして、よ。

 ニカが世界の全てだったあの頃に比べると、私の世界はこんなにも広がっていて――。

 あの約束の夜に見た星空のように、私の周りはビビットカラーに色づいていて――。

 そりゃあ二十歳の時に、ニカの最後の手紙が届いたのはすごく寂しかったけど、それでも――。

 それでも、みんなが私のまわりで輝いてくれるから、こんなモノクロな私でもなんとか世界を歩いていけるのよ。

 あー…いや、すこしは私自身にも色がついていればいいな。

 ねぇ、ニカ。

 ニカには、今のわたしはどう見える?

 …その答えを聞けるのは、あと軽く50年以上はかかりそうだけど、ちゃんと聞きに行くから待っててね、ニカ。

                                       ―続―

 

 

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