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でぃあ魔法少女【完結】  作者: 煮木 倫太郎
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魔法少女からの手紙・1


 大好きなつぐみんへ


 つぐみんがこの手紙を読んでる頃には

 わたしはきっと死んでるなのよ


 笑えない、とか言わないなのよ

 つぐみんはこまかいなのよ

 これは誰もが生きてるうちに一度は言いたい言葉ランキング、きっと上位の言葉なのよ

 だからわたしも使えて嬉しいなのよ

 …もう死んでるけど、なのよ

 

 …うーん、書き出しって難しいなのよ

 手紙なんて書くの初めてなのよ

 普通はどうするなのよ、春の日差しが暖かいなのよ、とか書くなのよ?

 そんなの、手紙が届いた日には嵐かもしれないなのよ!春の嵐!

 そしたら嘘を書いたことになるなのよ

 ダメなのよ、嘘はよくないなのよ!

 わたしは物を動かせる魔法少女だけど、未来が見える魔法少女じゃないなのよ

 だから本当のことを書くなのよ

 つまり、わたしはもう死んでるなのよ、きっと


 で、なのよ、つぐみん

 入学おめでとうなのよ

 つぐみんの成績だったらきっと、よゆーで泉西(いずみにし)高校に入れてると思うなのよ

 わたしも一緒に泉西に行きたかったけど

 つぐみんが一生懸命、勉強教えてくれるって言ってたけど…

 ごめんなのよ、つぐみん、約束守れなかったなのよ

 …あ!

 でも、つぐみんのことだから

 わたしが死んじゃった後、富士の樹海に駆け込まん程に落ち込んで

 勉強しかすることなくて、けっか、水良江(みらえ)高校にまで入ってるかもなのよ

 いや、きっとそうなのよ

 つぐみんのパパが亡くなってからわたしと出会うまでの、つぐみんの話を聞く限り、きっとそうなのよ

 …つまり、おあいこなのよ、つぐみんも約束破ったなのよ

 いや、むしろ高校に行けるのに、泉西高校入らなかったつぐみんの方が罪が重いまであるなのよ

 そうなのよ


 というわけで罰ゲームなのよ、つぐみん

 で、その内容は…

 『高校では、友達を作ること』なのよ

 100人とまでは言わないなのよ、数人でいいなのよ、だから簡単なのよ

 あの日、わたしちゃんと流れ星に願ったなのよ、つぐみんに友達ができますようにって

 だから簡単にできるなのよ、つぐみん

 あーー!

 わかってる、わかってるなのよ、言わなくても分かってるなのよ、つぐみん!

 『こんな根暗なわたしにニカ以外の友達なんてできるわけないじゃない、そもそもニカ以外の友達なんていらないもん!』でしょ?

 うむ、たしかにつぐみんは盲愛偏執魔法少女なのよ

 この一年とちょっと、つぐみんはわたし以外見えてなかったなのよ

 クラスのみんなから、クレイジーサイコレズつぐつぐって、言われてたり言われてなかったりしたなのよ

 でもわたしは知ってるなのよ

 それは小さい時に、大好きなパパを亡くしちゃったからだって

 つぐみんのプレパラートな心に、そんな大っきな濃縮ウランの塊が乗っかちゃったから、だったんだって

 わたしは知ってるなのよ

 だから、わたしと会うまで友達作らなかったし

 わたしと友達になってからも、わたしに固執したし

 大好きで、大好きすぎるわたしを、大事に大事にする事に妄執したなのよ

 わたしはわたしで、ほら、こんななのよ

 お母さんたちは上手く隠してたつもりかもだけど、結構前から、あまり長く生きられないの、なんとなく察してたなのよ

 それこそ、つぐみんに出会う前から

 だから、つぐみんのその愛情が、すごく、ものすごく嬉しかったなのよ

 でも

 そんなわたしが、いなくなったなのよ

 つぐみんのことだから、きっとまた、ううん、パパの時よりもっと酷く落ち込んでるなのよ

 だから!

 …だから、『罰ゲーム』なのよ

 友達なんて、もう作りたくないかもだけど

 大切な人を、もう失くしたくないかもだけど

 それでも!

 大好きな親友との最後の約束として、友達を作って欲しいなのよ

 …大丈夫なのよ、つぐみん

 十数年っていうこんなに短い人生で、二回も大事な人を失くしたつぐみんだけど

 わたしにその辛さは、みじんも想像できないけど

 それでも、まだ生きてるつぐみんだから

 つぐみんのお母さんとお義父さんのために、死を選ばなかった優しいつぐみんだから

 友達なんて、すぐできちゃうなのよ

 それに、容姿も性格もわたしが保証するなのよ

 ふつーにしてれば、友達は向こうから寄ってきてくれるなのよ

 あとは、つぐみん次第なのよ!

 ぜったい、ぜったいに約束なのよ!

 友達作るなのよ!




 …さいごに

 

 ごめんねなのよ、つぐみん

 いきなりいなくなっちゃって

 ホントは何度も言おうとしたなのよ

 わたしはもう長くないって

 高校には一緒に入れそうにないって

 …でも

 怖かったなのよ

 やっぱり怖かったなのよ

 つぐみんはわたしと出会って救われたって、そう言ってくれたけど

 わたしだってつぐみんに救われたなのよ

 小さい頃から病気を患ってたわたしは

 つぐみん程じゃないけど、世界を、自分の人生を儚んでたなのよ

 自分の命が長く持たないと知った時は、特に

 でも、わたしのこころはプレパラートよりは頑丈だったっぽいなのよ

 きっとアルミ缶ぐらいは頑丈だったなのよ

 …ただ単に、自分を諦めてただけかもだけど

 まあとにかく、アルミのように、その衝撃でそれなりに凹んで、それなりに他人と壁をつくってたなのよ

 でも…

 うん、あとはつぐみんと一緒なのよ

 つぐみんと出会う一年ほど前に、魔法が使えるようになって

 つぐみんと同じように、人生ってなかなか面白いじゃんって思えるようになって

 そしてつぐみんと出会って、わたしのアルミで出来た人生にパステルカラーの塗装が施されたなのよ


 …だから


 だからこそ、その人生を終わらせるのが凄く怖くなったなのよ

 ドラマとか小説だと、ただただ見る人を盛り上げるためだけに、わたしのようなヒロインがドラマティックに命を散らしていくけど

 そんなのわたしには無縁だと思ってたなのよ

 ただの演出だ、って思ってたなのよ

 現実だと、死に瀕した人なんて、自分の人生を儚んで、ふてくされつつ死んでくもんだと思ってたなのよ

 だって、わたしも実際そうだったなのよ

 そう遠くない『死』に、もちろん恐怖はあったけれど、受け入れる以外の選択がなかったし

 そもそも、抗って癇癪(かんしゃく)をおこすほど、人生に魅力を感じてなかったなのよ

 もちろん、お父さんとお母さんのことは大好きだったけれど

 そんな二人が、辛そうにわたしに笑いかけるのを見る方が、わたしには死よりもよっぽど辛くて…

 だから…

 …もういいかなって、そう思ってたなのよ

 でも

 そうやって『死』と『自分』とに折り合いをつけた頃、ふと魔法が使えるようになって

 追い打ちをかけるように、つぐみんも魔法が使えるって知って

 つぐみんとおともだちになって

 つぐみんがわたしを大好きになってくれて

 わたしもつぐみんが大好きになって


 …

 ……


 つぐみんと学校で話すのが楽しかった

 つぐみんと一緒に下校するが楽しかった

 つぐみんと自転車の練習したのが楽しかった

 つぐみんと街をパトロールするのが楽しかった

 つぐみんと魔法の検証するのが楽しかった

 つぐみんを家に歓迎するのが楽しかった

 つぐみんと家でゴロゴロするのが楽しかった

 つぐみんと家で勉強するのが楽しかった

 つぐみんとゲームするのが楽しかった

 つぐみんに女子力を叩きこむのが楽しかった

 つぐみんにいたずらするのが楽しかった

 つぐみんをからかうのが楽しかった

 つぐみんに怒られるのが楽しかった

 つぐみんにデコピンされるのが楽しかった

 つぐみんのためにぬいぐるみを作るのが楽しかった

 つぐみんのためにテーマソングを作るのが楽しかった

 つぐみんをわたしの胸でなぐさめるのが楽しかった

 つぐみんと星空を見上げたのが楽しかった


 つぐみんと親友でいられたことが…なによりも楽しかった………なのよ


 

 そんなの、死にたくないに決まってんじゃん!


 







 ち、ちがうなのよ

 こんなこと書くんじゃないなのよ

 えーっとつまりなのよ


 つぐみん、たくさんわたしと喋ってくれてありがとう

 つぐみん、いつも一緒に下校してくれてありがとう

 つぐみん、自転車の練習してくれてありがとう

 つぐみん、街のパトロールというデートをしてくれてありがとう

 つぐみん、一緒に魔法の検証してくれてありがとう

 つぐみん、家に来てくれてありがとう

 つぐみん、隣でゴロゴロしてくれてありがとう

 つぐみん、勉強教えてくれてありがとう

 つぐみん、ゲームで遊んでくれてありがとう

 つぐみん、女子力を学んでくれてありがとう

 つぐみん、いたずらに引っかかってくれてありがとう

 つぐみん、何度もからかわれてくれてありがとう

 つぐみん、怒ってくれてありがとう

 つぐみん、デコピンしてくれてありがとう

 つぐみん、ぬいぐるみを喜んでくれてありがとう

 つぐみん、テーマソングを笑って流してくれてありがとう

 つぐみん、わたしを胸に抱いてくれてありがとう

 つぐみん、並んで星空を見上げてくれてありがとう


 つぐみん、こんなわたしと親友でいてくれて…ありがとうなのよ!



 こんなにたくさんのありがとうを言っても

 ぜんぜんぜんぜん、ありがとうが言い足りないなのよ

 でも、最後の最後に一つだけ

 わたしの最後のありがとうを、フライングで言っておくなのよ


 つぐみん

 わたしとの約束を守って、高校で友達を作ってくれて、ありがとうなのよ!


 わたしがいなくなったからって

 ずっとふさぎ込んでちゃダメなのよ!

 わたしとの別れを悲しむ時間は、ここ半年で十分だったなのよ

 ここ半年、わたしのために泣いてくれてありがとうなのよ!

 それだけで十分わたしは嬉しいなのよ!

 つぐみんはもっと皆に好かれるなのよ!

 つぐみんにはもっと人生を楽しく生きて欲しいなのよ!


 大丈夫なのよ

 まだまだ手紙書いたから

 一年ごとに、手紙送ってあるなのよ

 まだまだわたしと会話できるなのよ

 だから!

 つぎのお手紙までに、ちゃんと友達を作っておくようにっ!なのよ!


 じゃあまた来年!

 またね、つぐみん!



お疲れ様でした。

今回は特に語ることはありません。

最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。

次回もお待ちしています。


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めんどくさいかもしれませんが、助けると思って、ひとつお願いします

すると次回は少し早く上がるかもしれません。

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