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でぃあ魔法少女【完結】  作者: 煮木 倫太郎
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第三十六話 魔法少女します!


 私はつぐみ。星河つぐみ。

 魔法…、ま、魔法少…、ね、ねえ、ノノ!これやっぱり無理だって!

 20を超えたおばさんが、この衣装は絶対ムリ!!


「おばさんって…、ノノ達まだ21なの。全国の奥様方におこられるの。」

 いや、だって!

 魔法少女界隈だと、もう年齢制限に引っかかってるでしょ!?

「そんなことないの、つぐみんの勝手な決めつけなの。ほら、スカート抑えてる手を退けるの!」

 無理無理無理無理!!!!!!

 このスカートの丈はもう、ワカメちゃんの領域っ!

「それはワカメちゃんに失礼なの、ワカメちゃんは常に丸見えなの。ほら、ポーズとるの。ラブリーでチャーミングだけど私は死を呼ぶものって言うの!」

 何それ!?意味わかんないから!!

 そもそも、人は殺せないって、前に言わなかった!?

「絶対じゃないの、ノノはまだ疑ってるの。ちなみにそれは、その衣装作った時に参考にした魔法少女の呪文なの、つぐみんにぴったりなの。」

 ないないないない!

 ラブリーでもチャーミングでも何でもないから!

 ピンクのフリフリはやっぱり無理!

 お願いだから、6100万画素のそれで残さないでっ!ノノの頭の中だけにしてっ!!!

「ダメなの。6100万画素どころか、あとで4Kでも残すつもりなの。ニカちゃんの歌詞を、ナユのメロディーで歌いながら、かいちょーが考えた振付で一生懸命踊るつぐみんを144FPSでヌルヌルに記録するの!」

 聞いてないんだけどっ!!!!!!!!!!!!!!

 そもそも(うち)のモニター、60FPSまでしか対応してない!!

 って、ちがうちがう、そうじゃなくて、えーと、ニカの歌詞――は…まあ仕方ないとして、後ろ二つ!!

 え?なに?

 あの二人も一枚噛んでるなんて、まったく聞いてないっ!!

「一枚噛んでるというか、共犯なの。つぐみんの衣装作ってたら、私も混ぜてって、あれよあれよと…なの。」

 なの。

 ――じゃ、ないのっ!!!

 なんなのソレ!どういう事!?

 もともとはノノとの約束なんだから、二人に関係な――。

「つべこべ言わず、はい、コレ歌詞なの。メロディーと振付は動画見るの。いま、ラップトップもってくるの。」

 いや、ちょっとまってよ!

 まだ私やるなんて言ってない!

「何言ってるの、空太くんにスイッチ買ってあげたいからって、だからバイト多くするからって、だからしばらくノノに家の事お願いって、なんでもするからって、そう言ったのつぐみんなの。」

 うっ…、そ、そうなんだけど!

 ――でっ、でもだからって、これは。

「デモも、ストライキも、クラシーも、ないの。かいちょーとナユの協力の元完成した、魔法少女つぐみんのEDテーマを4Kで残すことが、ノノの要求する見返りなの。その魔法少女の服を着て、恥ずかしそそうに、時折嫌な顔をしつつも親友との約束を守るために頑張って歌ってほしいの。みんなで一生懸命考えたの。」

 うう…、なんか昔似たような事を、誰かさんにも言われた気がする…。

 でも、ニカはさておき他の二人は、なんか悪意が見え隠れするんだけど、気のせい?

「つぐみん被害者の会って言ってたの。」

 被害者っ!?なんのよ!?

 なんで淡々とノーパソのコード差してるの!?ねえっ!!

「セクハラなの、セクハラに決まってるの。ここで意趣返ししとくのも悪くないって、言ってたの。身から出た錆なの。」

 セクハラって、そんな――。

 …。

 …いや、まあないこともないかもだけどっ!もうっ!

「ノノ以外にもそんな変態さんしてるから、ツケが回ってきたの。だから諦めるの。はい、じゃあとりあえず座って、動画見るの。」

 むぅ…。

 まさか普段の自分の行いのせいで、うちのリビングがコスプレ会場になるなんて…。

「幕張に連れてかないだけ、マシだと思ってほしいの。」

 …。

 ……。

 ………。

 はぁ、これはもう降参するしかないのね。

 お願いだから、配信に乗せないでよ?"のんのん"。

「そのつもりは全くないけど、…今後のつぐみんしだいと言っておくの。"なんなん"と相談して決めるの。」

 むぅ…。

「あ、この後、その"なんなん"が来るから、早く動画見て覚えるの。早くしないと"なんなん"にその恰好みられるの。」

 ナユ、来るんだ…。

 はぁ…、もうしかたない。

 ナユにコスプレ見られるのも(しゃく)だし、下手に抵抗して、二人の配信に動画流されても何だし、諦めるしかないか。

 …はぁ。

 でもなんでマキちゃんまで、こんなノリノリで踊ってんのよ…。

 ってか、私の動画残す意味ある?

 このマキちゃんの振付動画だけで、世界遺産並みの重要文化財じゃない。

 そんなマキちゃんが、こんなコスプレした私に置き換わった動画とか――どこに需要有るの?

 世界に残すべき動画じゃなくて、世界に残るものがなくなる程の核弾頭的な動画になっちゃうわよ、…はぁ。

「ぶつぶつ言ってる暇あるなら、早く覚えるの。」

 …。

 …はぁ、はいはい、わかったわよ。

 ぶつぶつぶつぶつ。

「ぶつぶつ、うるさいの!ほんとにぶつぶつ言う事ないの!もおっ!」

 諦めはしたけど、まだ不満はあるんだって。

 やる…、やる…けども、歌って踊らさせてもらうけども、でもぶつぶつぐらい許してほしい。

 何でもするって言ったのは私だし、ましてや空太が楽しそうにゲームするとこ見れたし。

 その代償と思えば、そりゃやりますよ。

 はぁ…でも、まさかこんなことになるなんて。

 何でもするって言った相手に、ほんとに何でも頼んじゃう人がいるなんて。

 こんどノノに物頼むときは、何でもするって言わないようにしないと、…はぁ。

「それにしても、つぐみんは空太くんに甘すぎるんじゃないの?親御さんより、溺愛してるの。」

 ん?そう?

 んー…まあ否定はしないけども、可愛いんだから仕方ないじゃない。

 ――それでえーっと、まずは歌から覚えないとね。

 嫌なことはさっさと済ませてしまいたいし、ナユに見られたくないし、ちょっと真面目にやろう。

 幸い、歌詞もメロディーも振付も簡単なソレだし、数時間あればなんとかなりそう。

 …てか、覚えてからでよかったんじゃない?このコスプレするの。

 数時間このまんまってこと?

 ありえなくなくない?

「可愛いのは認めるの。認めるけど…、あーでもノノもつぐみんに溺愛されてるし、かいちょーにもナユにも似たようなもんだし、もとから変態さんの素養があったってことなの。」

 勝手に納得されちゃった。

 なんか最近、変態と呼ばれるのにも慣れて来たわね。

 私としては、そんなことないとは、今でも思ってるんだけども。

 ――えーっと。

 『都会のあの子も 田舎のあの子も みんな普通の子』

 『あの子もその子も 私もあなたも みんな普通の子』

 …なに、この歌詞、いつ見ても酷いわね。

 こんなもの残しちゃって、ニカ、恨むわよ。

 そして、メロディーが地味に歌いにくい!!!

 素人が作ったんだから仕方ないけどっ!!

 ナユのバカーーっ!

「まあそもそも、そんなに歳離れてたら可愛くて仕方ないのも、分からないでもないの。」

 そう、そうなのよ、しかたないのよ。

「でも、なんでそんな離れてるの?あ、親が再婚してるんだっけなの。」

 あーうん、そうね、もちろんそれもあるけど――。

 この件に関しては、おかーさんとお父さん、二人への感謝しかないわね。

「うん?なの。」

 それと、まあモル先生と。

「モル先生?ああ、ものれいと先生!!なつかしいの!」

 …私は、最近高校で会ったから懐かしくはないけど。

 その、モル先生よ。

 ――で、えーっと。

 …なんか、振付だけ妙にソレっぽいわね。

 マキちゃん、ほんとスペック高いんだから、何させてもそれなりに仕上げてくるし。

 『さすがの私でも、つぐみのような変態的なふるまいは上手く出来ないわよ』

 ――!?

 う、うるさいわね、人の脳内にまでいちいちいぢわる言いに来ないでよ、マキちゃん!!もおっ!

「で、なんでモル先生が出てくるの?」

 へ?

 あー、うん、ごめん意識飛んでた。

 で、あのね、私のおかーさんが再婚したのって、中学に上がるときなのよ。

 で、空太が生まれたのが高1の冬。

「え?まだ、えーっと…、五歳くらいなの?五歳にスイッチって早いくないなの?」

 早くないなの。

 それに、うちの空太はおりこうさんだし、そこらの玩具じゃその潤沢な知的好奇心をもう満たせないの。

 どうぶつさんをあつめたいのよ。

「いや、あのソフトはそんな趣旨のゲームじゃな――いや、まあいいの。空太くんがおりこうさんでいいの、だから話の続きするの。」

 ん?話の続き?

 あ、最近空太が宇宙の秘密に興味を惹かれたらしくて――。

「そおおおっっっっ――ちの続きじゃないの!!!!」

 えー、すんごくおりこうさんなのに。

「おりこうさんなのは、もう分かったの。いい加減にしないと、"のんのん"と"なんなん"のゲーム配信に、"つぐつぐ"を登場させることになるの。」

 わ、わかったわよ、話す、続き話すから!

 配信なんて恥ずかしい事、させられるわけにはいかないもんね。

 そもそも、()()のノノちゃんが、なんで配信なんて始めたのかいまだによく分かってないのに。

 人見知り設定はどこ行ったのよ、もう。

 で、なんだっけ。

 …あーそうそう、空太が生まれるまで、二人が再婚してから3年以上経っちゃってるのよ。

 それを私は、たまたま二人に子供が出来なかっただけだ、と思ってたんだけど――。

 『つぐみくん、それは君が落ち着くまで二人が気を遣ってたんじゃないかい?』

 って、モル先生に言われて…。

 えーと――あれは、確か高2の春過ぎだったかな。

 モル先生に理系の道に誘われて、魔法の為にと、その道を選んで…。

 それで、たまにモル先生のお手伝いをさせられるようになった頃――だったはず。

 まあ時期は曖昧だけど、細かいこともあいまいだけど、話の流れ上で私の家族の話題になった時に、モル先生にそう言われたことだけは今でもリフレインできる。

 それこそ、配信された動画のリプレイボタンを押すかの如く、鮮明に。

 ――つまりは、まさに()()()()だったのよ。

 親ふたりに確認取ったわけではないけど、そんなこと聞けるわけないけれど――でも、聞かなくても分かるくらいに、分かり切ったことだったから。

 そんな当たり前に気付かなかった私の頬を、パンと張ったモル先生のその言葉は、今でも私の宝物なのよ。

 …悔しい事に、だけど。

「へ~、なの。モル先生、案外やるの。なるほど、つぐみんがモル先生になついてる理由がやっとわかったの。」

 なついてる?

 …そんな言われ方すると、背筋がゾッとするんだけど――まあいいか。

 少なくとも、間違ってはないし。 

 恩を感じてたからこそ、高校の時はなるべく呼び出しには行くようにしてたのも…事実だしね。

 ついこの間だって『つぐみくんの大学に興味があるという学生がいるんだが、話を聞かせてやってくれないか』ってな呼び出しに、ほいほいと高校まで出向いたのも、それがあっての事と言うのは間違いないもの。

「あ!なの。つまりは、ノノが今つぐみんとルームシェア出来てるのは、つまりはモル先生のおかげってことなの?」

 ん?

 んー、言われてみればそうかも?

 モル先生に言われなかったら、理系選んでないし。

 そうなるとノノと同じ大学、同じ学科に行くこともなかったし…。

 …仲の良さは変わらなかったと、思いたいけど。

「じゃあ、今度ノノもモル先生に挨拶に行くの!モル先生のおかげで、つぐみんが無事変態さんになりましたって、言いに行くの!!」

 …。

 えーっと、ノノ?

 いい加減にしないと、私だって起こるわよ?

 人は殺せなくても、ノーパソを再起不能にするくらいなら、私の魔法でもできるのよ?

「あーあーあー、冗談なの!冗談!恐ろしい事言わないでなの、つぐみん。回避不能攻撃はズルいの。そもそもなの、ノノはモル先生と必要最低限の会話しかしたことないの。今更再会しても、うまくお話し出来ないの。」

 はいはい、ゲーム配信者さんがよく言うわ。

「あれはまた別なの、配信中目の前に人間はいないの。つまりノノは機械とお話してるの。それに、人間的に面倒なことは、だいたいナユがやってくれてるのもあるの。」

 あー、そういう…、なるほど。

 人見知りがどうして配信――って思ってたけど、まあ分からなくはないわね。

 ま、視聴者がもっと増えて大変になってきたら、裏方くらいは参加してあげてもいいかな。

「その時はお願いなの。少しずつ、編集とか覚えてもらうの――って、あ。」

 ん?

「ガチャって聞こえたの。」

 ――え?

 それってつまり…。

「つぐみん先輩~、のんパイセン~、やっぱり脳科学からのアプローチでも、魔法についてはさっぱりっす。マキ様も、民俗学的観点から見てもあまり成果がないって――へ?」

 ちょ…、え、あの…。

「…。…。あーーーーーっ!!!つぐみん先輩マジパないっす!ぐうかわっす、めっかわっす!あれ、今日撮る日だったんすね、早く来てよかったっす!しゃ、写真!写真撮るっす!!!マキ様にも教えるっす!!!」

 な、ななななな、ナユのバカーーー!!!

 なんでチャイム押さないのよ、いつもいつも!!!何回言っても!!

 バカじゃないの、バカじゃないの、バカなんじゃないの!もおおおおおお!

 

                                         ―続―

お疲れ様でした。

できたてほやほやのお話です。

つまりは、次話の前に急遽さし挟むことになったお話という事になります。

…さし挟む意味が有るのかは…謎ですが。

ほぼほぼ会話だけのお話ですが、それはきっとつぐみちゃんが成長して、友達と仲良くなったからなんでしょう。…きっと。

では最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。

次回もお待ちしています。


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すると次回は少し早く上がるかもしれません。

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