第三十話 魔法少女披露します
私はつぐみ。星河つぐみ。
全然本格的でないけど、魔法少女よ。
あ――でも、新しくはあるのかしら。
だって、こんなに何にも出来ない魔法少女って他にいないでしょ?
属性とか種類とか――。
そんな言葉で説明を重ねるまでもない、ほんと些細で小さな魔法しか使えない魔法少女だものね。
ひとりに一つだけの、些細すぎる魔法しか。
あ、もちろん、私が知ってるサンプルが自分含めて二つしかないから、今のところだけど。
私とニカので、ふたつ。
私のは物を一秒止める魔法。
ニカのは――あ。
…そうか。
うん、そうね、そうしましょう。
ニカの真似ってわけじゃないけど…、参考にはさせてもらうわ。
ありがと、ニカ。
――ん?
なんの話かって?
それは――。
明日のクリスマス会の出し物の話よ。
えーと…。
事の発端は先週の水曜日…だったかしら。
いつもの4人で、学校の帰りにちょっと小洒落た喫茶店に寄った時の話ね。
そこで私たちが今どきの女子高生らしく、可愛らしかったり、可愛くなかったりな、そんな話に花を咲かせて女子会をする――のが目的じゃなくて、ノノちゃんがその店のスペシャルパフェに挑戦するっていうので、そのお付き合いとして立ち寄ったときの話。
まあとどのつまり、私たち三人は保険ね。
あの『スペシャル』の名に恥じない、見るだけで頭痛と胃もたれが併発しそうな、ボリューム感たっぷりカロリー塊パフェが、『万が一、のののお腹に収まらなかったら、皆に食べてほしいとののはお願いするの』だって。
で、その目にしただけで贅肉がお腹に溜まりそうなパフェが、ノノちゃんのお腹に半分ほど吸収された頃――。
保険組の私たちが、ノノちゃんの見事な食べっぷりをお茶請けにコーヒーだけを啜り、時間を持て余し始めた頃――。
そんな頃に、タイミングを見計らってたのか、ミナエちゃんがここぞとばかりに『あのね!』と手を叩いて切り出したのよ。
「――つぐみちゃんって、まだ私たちと少し壁がある気がしない!?」
――んんっ!?はい?
タイミングを見計らうなら、せめてコーヒーをテーブルに置くまで待って欲しかった。
びっくりして、咽そうになったじゃない。
あーほら、ちょっと溢しちゃったし、もう。
「ののもさんほーしへほくの!」
「のの、わかったから。せめて飲み込んでから喋りなさいよ。…えーと、まあ、私は別に今のままでもいいと思うのだけど。…友達の形なんてそれぞれだと思うし、つぐみちゃんのペースってのもあると思うし。」
えーと…。
どうしよう、困った。
のんきにテーブル拭いてる場合じゃないわ。
だってまさか…、まさかいきなりこんなこと言われるなんて。
私のバイブルには、こんな時に返すべき言葉が載ってないのよ。
ラノベの主人公って私みたくボッチな子ばかりなのに、こういう状況になった時の事が全然書かれてないの。
というかそもそも、こういう状況にならないのよ、なぜか。
ぜんぜん参考にならないじゃないのよ。
そのくせあいつら、学園祭だったり林間学校だったりのリア充行事はきっちり楽しむのよ?
おかしくない?
ぼっちの風上にも置けないと思わない!?
所詮あいつらはビジネスぼっちってわけなのよ、全く!
……あー、ごめん、取り乱しちゃったわね。
と、とにかく落ち着きましょう。
えーと、さっきノノちゃんが、ミナエちゃんの意見に賛同した時にビシッて私を指した、あの長いスプーン。
あれの名前は、パフェスプーンよ。
…。
うん。
うん、大丈夫、落ち着いてきた。
そのパフェスプーンを特注サイズのパフェグラスに戻して、バニラアイスを救うのに夢中なノノちゃんを見てると――、ね。
もう大丈夫、うん、大丈夫、完全に落ち着いたわ。
ノノちゃん、癒し。
ノノちゃん、萌え。
「そうだけど!でも、もっとつぐみちゃんと仲良くしたいでしょ!もっと素をさらけ出してほしかったり、するでしょ!今の、のんみたいに!」
「…まあ。ののはそうね、かなりの人見知りだし。こうやって私たちに素を見せてくれるのは、うれしいわね。」
「でしょ!?」
んーと。
せっかく落ち着きを取り戻したのに、私が言葉を挟む前に、話が進んでっちゃうわね。
挟む言葉は…未だ浮かんでないけども。
まあ、でも自分でもそう思うのよ。
――つまり、まだ壁作っちゃってるって思うから、言われても仕方ないかなって。
それでも、みんなと出会ってからまだ二ヶ月ほどだし、焦ることはないって思ってたんだけど――。
もうちょっと、頑張ってみたほうがいいのかしら。
でも、そうは思っても、やっぱり――。
ニカの様にはできないし。
ニカの時の様にも…、できそうにない。
あと一歩踏み込むのを躊躇うほどには、私の傷は私が思っているよりも深いっぽい。
「と、いうわけで!」
――わっ!
ちょっと、意識飛んでた。
ミナエちゃん今日二度目の手打ちがなかったら、もうしばらくあっちの世界だったわ。
「来週、つぐみちゃんともっと仲良くなろうクリスマス会を開催します!!」
「「わーーー。」」
はい?
ちょっと!?
パチパチパチの拍手が自然過ぎない?
なにその、無駄に洗練された無駄のない無駄な流れの拍手。
え?ふたりとも、まさか知ってたの?
「いや、ちょっと待つの、とののは口をはさむの!もしかしたら、つぐみちゃん彼氏がいるかもしれないの!」
――へ?あ、いや、いない…けど。
「予定、もう入っちゃってるかしら?」
う、ううん、入ってない…わ。
「「「じゃあ!」」」
――う。
6つの血走った眼が、ちょっと怖い。
そんな凄まなくても、答えは決まってるから、ね?
つまり――。
…あ、うん。
ありがたく…参加させてもらいます。
「「「わーい!」」」
かわるがわるハイタッチ。
喜んでもらえて、何より。
私も実は嬉しくて、嬉しすぎてちょっと泣きそう。
「やったの。台本書いた甲斐があったと、ののは胸を張るの!」
だから、それがバレない様に私も混ざってハイタッチ。
い、いえ~い――って、ん?
だ、台本?
あれ?このハイタッチ、私混ざって良い系?
「じゃあ当日は一芸披露会があるから、つぐみちゃんも一つ何か出しもの考えておいてね!あ、あとパジャマも忘れずに持ってくるよーにっ!」
わ、わかったわ。
って、ん??い、いや、ちょっと待って、分かってなかった!
一芸って何っ!?
――とまあ、そんなことが先週あったのよ。
そんな嬉しいことが。
今思い出してもニヤけちゃうような、そんなことが。
一歩踏み出せない私に、みんなから手を差し伸べてくれるとか、ほんといい子たちと友達になれたと思う。
正直なところ、幸せ過ぎて怖いくらい…ね。
一芸は余計だけども。
――で、よ。
その一芸を何にするかで、この一週間ずっと悩んでたんだけど、それが昨日解決したってわけね。
そ。
ニカに魔法を見せてもらった、あの時を思い出したおかげで。
…。
ん?その時の事?
ええ、わかってるわよ、今話すから。
えーと、あれは確か…ニカを下の名前で呼び始めた頃、だったかしら――。
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『今週土曜日10時30分 地図に示された場所にくるなのよ』ねぇ…。
わざわざ…描いたのよね、この地図。
…たぶん、地図。
おそらくこれニカのお家への地図だと思うのよ…、三角と四角で家っぽいマーク書かれてるし、目的地っぽい所に矢印で「ここ」ってかいてあるし…。
――となると、うーん…まだちょっと家までは遠そう。
うちを出てからもう十五分、その間、自転車漕ぎっぱなしで疲れたわ。
これでも余裕もって家出たつもりなんだけど、それでも少し遅刻しそうね。
連絡、入れようかしら。
はぁ…。
でもまさか、…まさかねぇ。
よかったらだけど、ニカの魔法、私にちゃんと見せてくれない?って聞いただけで、こんな手の込んだ事するなんて。
『わかったなのよ。じゃあ、明日を待つなのよ。』って返事もらったから、てっきり次の日に見せてくれるものだとばかり思ってたけど――。
こんなものを仕込んでくるなんて。
別に普通に見せてくれてよくない?魔法。
おかげで三日もお預けくらってるんだから。
いや…それとも、普通な状況じゃ見せられない魔法なのかしら。
んーでも、あの風船の時に魔法使ってたんだから、それも考えにくいか。
…。
ま、考えたって仕方ないか、行けば分かるし――あ!
あの青色は、たぶん地図にあったコンビニね。
あそこでもう一度、じっくり地図見返しましょう。
――よし、コンビニ到着。
で、地図地図…あった。
なになに、ここを右に曲がって、いち、に、さん、し…、えーっと、12件目ね。
12件…目。
って、いやいや。
いやいやいや。
12件も家の絵、描く必要ある?
文字で良くない?
というか!
3件目と4件目の間に、思いっきり道見えてるんだけど!?ここからでも分かるんだけど!?
なんでそれは描かないのよ!
そっちの方が大事でしょ!?
…。
…すごく不安。
すごく不安です。
無事にたどり着けるかしら私…。
――きゅう、じゅう、じゅういち…。
じゅうに。
うん、12件目。
…数え間違いしてないなら、だけど。
表札が…『紺野』だから――うん、あってる。
あってる…たぶん。
ちょー不安だけど。
…。
…どうする?
電話鳴らす?
…。
いや、チキンと思われるのも、なんか癪ね。
もうっ、勢いでピンポン押しちゃえ!
はいっ、ぽちっとな。
…。
……。
ん―と…、あ。
なんか、どたどたって聞こえるような?
「待ってたなのよ!つぐみん!」
こんにちは、ニカ。
――よかった。
間違えてなかったみたい、いつものニカだ。
「じゃあ、あがるなのよ。お部屋に招待するなのよ。」
うん、おじゃまします。
…って、あれ?
おうちの人は?
「お昼の買い物行ってるなのよ。」
ふーん。
ほんとは、おうちの人とかどーでもよくて、あの意味不明だった地図に一言苦言を呈したかったんだけど――。
それができるほど、ニカとはまだ打ち解けてないのよ。
なんとか辿り着けはしたんだから、それで良しとするわ。
「つぐみん、お昼一緒に食べるなのよ。今日はごちそうなのよ。」
いいの?ご相伴にあずかって。
コンビニでパンでも買おうかと思ってたんだけど。
そのために、おかーさんに500円せびってきたんだけど。
「ごしょーばん、とか。つぐみん、堅苦しいなのよ。」
あはは。
「むぅ。まあ、とにかく一緒に食べるなのよ。お友達来るって言ったら、じゃあ張り切ってお昼作らなきゃってママが言ってたなのよ。」
なんと。
ごちそうって言うから、てっきりごちそうを買いに行ったのかと思ってたけど…。
どうやら違うみたい。
食材の方か、うちのおかーさんとは大違いだ。
あ。
いやいや、500円はありがたく頂いておきます。
おかーさん、大好きだよ?私。
「じゃあ、上にあがるなのよ。部屋は2階なのよ。」
うん――お邪魔します。
「ぱーんっ!!」
っにゃっ!!な、なに?
いきなりなに!?
クラッカー?
もしかしなくても、目の前に散らかってるゴミからして、クラッカーよね?
「ぱちぱちぱち。いらっしゃいなのよ!つぐみん!」
へ?――あ、うん。
ありがと、う?
――ていうか、壁になんか書いて…いや貼ってある?
えーっと…、い・ら・っ・し・ゃ・い・つ・ぐ・み・ん。
いらっしゃい、つぐみん…、一つの紙に一文字ずつ。
そして折り紙の輪っかのデコレーション。
ねえニカ。
わざわざこんなのまで用意してくれたの?私のために?
「つぐみんの為っていうより、わたしのためなのよ。来てくれてありがとうなのよ、つぐみん。」
うん、こちらこそ、ありがとう。
正直なところ、ニカの距離の詰め方は少し居心地悪かったのだけど。
ここまで喜んでもらえると、さすがに悪い気はしないわ。
…いや、嘘です。
自分にくらいは正直になりましょう。
すごくうれしい。
口に出すのは…ちょっと照れるから無理だけども。
「というわけで、さっそく私の魔法みせるなのよ。」
へ?いきなりじゃない?
「そうなのよ、いきなりなのよ。でも、もう準備してあるからしかたないなのよ、ほら。」
ほらって、ん?
テーブルの上、なんか置いてあるわね。
真っ白な紙…と定規?それと消しゴム。
あ、わかりにくいけど、消しゴムのお尻の位置に線が入ってるっぽい。
「朝起きて用意したなのよ。これ片付けないと他のこと出来ないなのよ。だからほら、すわってすわってなのよ。」
う、うん。
わかった、わかったから。
そんな急かさないで。
「――では、なのよ。やるなのよ。しっかり見てるなのよ。」
えーっと、消しゴム、見てればいいの?
「そうなのよ。消しゴムなのよ。イレイサーなのよ。じゃあ、いくなのよ。種も仕掛けもございませんなのよ。」
種も仕掛けもって。
ほんとにないんだから、手品師も商売あがったりね。
おっと、ちゃんと見ておかないと。
「――はっ!なのよ!」
お?
あ、わかりやすい!
「ふふーん、なのよ。苦労して考えた甲斐があるなのよ。」
ぱちぱちぱち、これは拍手ものね、私のためにここまで準備してくれたんだもの。
えーと何が起こったかというと、つまり――。
定規にあてがわれていた消しゴムが、ニカの魔法できっちり1㎝横に移動したのよ。
しかも消しゴムが動いたことで、その下に書かれてあったもう一本の線が見えるようになったの。
最初の消しゴムの位置に引かれた線と、消しゴムが動いたことで見えた新たな線。
これなら一目で1㎝動いたって分かる。
すごいっ!
ニカって実はすごい子なのかも!
「つまり、わたしの魔法はモノを1㎝だけ動かせるなのよ。」
おおー。
私の今の感情を言葉にするなら、感謝というより、感激ね。
ぱちぱちぱち、だからもう一回拍手しておこう。
すごい、それってなんでも?
制限とかあるの?
「ま、待つなのよ、つぐみん。いきなり聞かれても困るなのよ。時間はあるから、ゆっくり話すなのよ。とりあえずは、お披露目し終わったからこれ片付けるなのよ。で、お菓子たべるなのよ!」
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懐かしい。
まさかあんなサプライズを企ててたなんて、あの頃の私は思ってもいなかったわ。
そのおかげ…というか、そのせいで、しばらくの間はニカを『すごい子』だと思ってたわね。
いや、まあ、間違ってはなかったんだけど。
すごい子ではあったんだけど――。
うーん、そのすごさはうまく言葉には出来ないけど、たぶんこれでもう伝わってると思う。
伝わってる…わよね?
うん、そう信じる事にしましょう。
――というわけで。
そんなこと思い出してたら、どうやらいつの間にか私の番みたい。
じゃんけんに負けて、おおとり。
2番目か3番目が良かった――いや、実際は3番目なのよ。
3番目なのに、おおとり。
えーっと…どういう事かというと、ミナエちゃんとユイちゃんが二人で漫才したの。
でんがなまんがな、とか言ってた。
だから3番目がおおとり。
あーあ、じゃんけんで勝てる魔法とかあればいいのになあ…はぁ。
無いものねだりしても仕方ない、覚悟決めましょう。
それにしても漫才なんていつ練習してたのかしら二人とも、しっかり形になっててビックリよ。
おもしろかったわ。
そして、ののちゃんはコインとトランプを使ったマジック。
トランプの下のコインが、別のトランプの下にいつの間にか移動してて驚いたわ。
でも、マジックか…私と被っちゃったわね。
いや、まあ。
正確には私のはマジックじゃないってのは、言うまでもないけど。
とにかく――。
ちょうどいいから、それ使わせてもらおう。
ノノちゃん、そのコインちょっと貸してくれない?
「もちろん、とののは快諾するの。でも、なんに使うの?手品?」
そうなの。
ののちゃんと被っちゃったわね。
「手品は何回見ても楽しいわ。気にしないで。」
ありがと、ユイちゃん。
じゃあ、はじめるわ。
思いついてから、コイン弾く練習だけはしておいたんだけど――うまくできるかしら。
何しろ魔法一日一回しか使えないからね。
実質のところ、このマジックの練習も一回しかしてないってわけ…マジックじゃないけど。
――ってそれはもういいのよ、いい加減しつこいわよね。
で、それはさておき。
肝心のマジックの内容だけど――、ニカの魔法を使うのはちょっと、気が引けたの。
ほんとはそっちのが視覚的にもわかりやすくていいんだけど、ね。
でもほら、この会は『みんなが私のことをもっと知りたい』って企画してくれたクリスマス会だから。
だから、分かりにくくても私の魔法でやらせてもらおうと思うのよ。
魔法が使えるってことは、まだちょっと教えられないけど、それでも、少しでも私を知ってほしいから。
だからそのために、昨日からコインを弾く練習だけしてきたのよ。
――じゃあコイン上に弾くから、瞬きせずにしっかり見ててね。
「わかったの。」
「了解!」
「わかったわ!」
うん、じゃあ、行くわよ!
「種も仕掛けもございません――なのよっ!」
えい――っ。
――うん、キンッ!って、コインからいい音が鳴ったわ。
いい感じに…弾けたっ!
あとは――落ちてくるあたりに両手を配置しておいて。
そして、ちょうどその間をコインが通り過ぎる瞬間――、今っ!!
コイン、止まれ――っ!!
「――ちょ!もう一回!つぐみちゃん!もう一回!」
「そうよね、もう一回、もう一回見たいわ。」
えーっと…もう一回は、その、ちょっと…。
お見せしたいのはやまやまだけど、今日はそもそも無理なのよ。
ごめんね、ミナエちゃん、ユイちゃん。
「だって一瞬だったもん!一瞬だけど止まったよ!?」
「ミナエにもそう見えたのよね?じゃあ、私の見間違いじゃないのよね。不思議…。」
あはは。
うけた、良かった。
って、あれ?ノノちゃんは?
「うーん?」
あ。
コイン見てるのか。
さっき、ありがとって返したやつ。
「のののコインには、種も仕掛けもございませんなのよ…。」
そ、そのフレーズは忘れてノノちゃん…。
って、ん?
ノノちゃん近づいてきて、どうしたの?
「ちょっと手出してほしいの。」
手?いいけど…?
――あ。
なるほど。
今度は私の手を疑ってるのね。
ノノちゃんのぷにぷにの指が私の手のひらを何度も押して、くすぐったい。
って、ちょっと!
匂い嗅ぐのは反則じゃない!?
「うーん…。つぐみちゃんの匂いしかしないの。」
他になんの匂いがあるの!?
「鉄?石?とにかく、磁石かなんか――。いや、そもそもこのコイン、磁石につかないの…。」
あぁ、なるほど。
納得。
とにかく、ノノちゃんの前では大っぴらに魔法使わないほうがいいのかも。
「不思議なの…。」
いつかばれそうだわ。
ばれるにしても、もう少し後。
しっかり自分から言い出したいしね。
――とまあ、そんなこんなで。
昨日はそのままユイちゃんの部屋で、みんなでパジャマパーティーを楽しんだわ。
ちゃんとパジャマ忘れなかったわよ、私。
忘れたのはミナエちゃん。
自分でパジャマ忘れないようにって言ってたのにね。
それでユイちゃんからパジャマ借りて『ゆっちに包まれてしあわせ!』だって。
確信犯なんじゃないかしらミナエちゃん、いろんな意味で。
とにかく。
たのしかったわ、クリスマス会。
友達とお泊り会なんて初めてだったしね。
ちょっと緊張したけど、上手くやれてよかった。
来年も仲良く出来たらいいな。
みんな、こんな私だけどよろしくね。
…ちなみに。
台本どおりだと、ノノちゃんのパフェの残りをあの後みんなで食べる予定だったらしいわ。
でも結局、わたしたち三人は小さなパフェを新たに頼んだのよ。
…。
『ご馳走様なの。』『『ええーー!!』』のやり取りが、今思い出しても笑えるわね。
ふふっ。
―続―
お疲れ様でした。
…長い。書いてたらすごく長くなった。
2話分の長さじゃん。疲れた。
だからってわけじゃないけど、次回の投稿、おそくなったらごめんね。
では最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。
次回もお待ちしています。
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