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でぃあ魔法少女【完結】  作者: 煮木 倫太郎
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第二十八話 魔法少女たらします


 私はつぐみ。星河つぐみ。

 人前に出るのが苦手な、至って普通の魔法少女よ。


 人前…、というか知らない人に会うだけでも()()()()しちゃうわ。

 つまりは人見知り、よ。

 まあ――とは言っても、まだまだ私は高校生だからね。

 300歳を超えて尚、()()()()してしまう魔法少女よりは活発なのかもしれないわね。

 ん?って、あれ?

 300歳を超えても…やっぱり魔法少女なのかしら?

 …。

 えーっと…深く考えないでおきましょう、うん。

 そもそも私だって少女と呼べなくなってきてるからね。

 そう、だからそんなことよりも!よ。

 今日は久々に4人そろってるわ。

 なんてったって、クリスマスだからね。

 受験勉強が本格化してきて、なかなか皆で時間取れなくなってるから、こういう時間は大事にしておかないと。

 サンタさん、素敵な贈り物をありがとう。


「人たらし!」

「人たらしね。」

「人たらしと、ののは思うの。」

 ――ごほっ。

 な、何、その反応。

 人たらしって…、それ褒めてるの?

 むせてケーキ吐いたら、どうするの?

 それこそ素敵な時間が台無しよ。

 皆して変な反応しないでほしいわ。

「褒めてる!」

「褒めてるわ。」

「一応褒めてると、ののは言っておくの。」

 褒めてるって言ってる割には、なんか引っかかるんだけど…。

 というか、ノノちゃんはあからさまに褒めてなくない?

 ほら、持ってるフォークもなんか、気持ち荒々しくケーキにブッ刺してるし。

 ケーキがちょっと気の毒に思えてくる…ってあれ?

 あのケーキ、もう2カット目よね?

 …相変わらずなお腹ね、ノノちゃん。

 …。

 なに?状況説明を早くって?

 あー、はいはい、今から説明するわ。

 えーと…ね、ののちゃんの部屋で、こたつにホールケーキって言えば伝わるかしら。

 そんな長閑(のどか)なクリスマスパーティ中に、思い出したかのようにノノちゃんが言ったのよ。

 『帰り際に教室に来たあの子は誰なのか、とののは説明を求めるの』って。

 だから私は――。

 ナユよ?知ってるでしょ?って、軽く答えたんだけど…。

 『柴犬娘の話はしてないの!もう一人のまじもじしてた方は、とののは聞きたいの。』だって。

 ノノちゃんの荒げた声とか珍しかったわ――半分は私のせいだけど。

 何しろ、分かっててナユの方を答えたんだから。

 ――おほん。 

 まあそれはともかく、今はその質問に()()()()答えた後ってところよ。

 モル先生に呼ばれたときに、理科準備室の前でまじもじしてた子がいたから声をかけただけよ、って。

 入りにくそうだったから背中押しただけ、って。

 そう簡潔に答えたの。

 そしたら――。

 「人たらし」のトリプルスピーカー。

 まだ何も詳しいこと話してないのに、腑に落ちないにもほどがあるわ…はぁ。

 それにしても――柴犬娘って。

 どうやら、ナユとノノちゃんはウマが合わないみたいなのよ。 

 確かにナユは犬っぽい気はしないでもないし、なぜか私にだけ忠誠を誓ってるし、元気だし…。

 ノノちゃんがそう言うのも、分からないでもないでもないけども、あまりにもアレよね。

 ちなみにその呼び方に、ミナエちゃんは爆笑、ユイちゃんも失笑、私は苦笑。

 個人的には親友の二人には仲良くしてほしいんだけど――、でもまあ。

 友達全員が仲いいとか、逆に気持ち悪いか。

 この4人が皆仲いいだけでも奇跡みたいなもだもんね。

 あ――いや、ナユとノノちゃんが仲が悪いってわけじゃないのよ?

 あくまで微妙なだけ、誤解しないようにね…たぶんだけど。

 ――ま、そのことは今は置いときましょう。

 閑話休題よ。

 それよりもみんなの誤解を解かないと、じゃない?    

 あ、あのね、みんな?

 ちゃんと言っとくけど、大したことはしてないわよ?

「「「はいはい。」」」

 もうっ!

 仲いいわね、あんたたち!

「つぐみちゃん、あのね。聞かなくてもまあ大体わかるんだけど、一応詳しい話を聞かせてくれる?」

 う…うん。

 他の二人ならまだしも、ユイちゃんにそう聞かれたら答えるしかないか。

 こめかみをトントンしたら、細かいとこまで思い出せるかしら…。

 ふぅ…、よし。

 じゃあ、少し語りますか。

 えーっと、数日前のことなんだけどね――。

 


-------------------------------



 …はぁ。

 あいかわらず、モル先生は人使い荒いわ。

 私を理系に誘導したのも、働き手が欲しかったからじゃないかって、勘繰りたくなるくらいよ。

 断らない私も私だけどさ。

 ――それで、なんだっけ、いつも通り理科準備室だっけ?

 ここも何回足を運んだことやら…数えたくもないわね。

 今日は一体何を頼まれるのかしら――ってあら? 

 準備室の前に人がいるわね。

 何…してるのかしら。

 えーっと…ねえ、入らないの?理科準備室。

「ひゃあっ!あ、は、はい、す、すみません。」

 へ?

 あ、うん、驚かせてごめんね。

 ――ほぇ~…おっきい子。

 180くらいあるんじゃない、たぶんだけど。

 そしておそらく、一年生よね、上履きから察するに。

 ん?一年生?――あ!

 ああ、一年生!一年生か、なるほど。

 今年は時期的にだいぶ早い気がするけど、もしかしなくてもアレか。

 去年もそうだったし、おととしは――そもそも私だったしね。

 そう、つまり理系への勧誘。

 私の時は3月だったけどね。

 …今思うと、ぎりぎりにもほどがあるわよね、3月って。

 その反省を生かして、早めに行うようにしてるのかしら、モル先生。

 ――って、感傷に浸ってる場合じゃないか。

 目の前の子に集中!

 えーっと…。

 モル先生に…呼ばれたのよね?

「え?は、はい。そうです、そう…です。す、すみません。」

 あ、あやまらなくてもいいから。

 大丈夫だから。

「は、はい。すみません…。」

 あらら、完全に委縮しちゃってる。

 準備室の扉と上級生の私とに、板挟みって所かしら。

 大きいから出してても、繊細なのね。

 うん、その気持ちはわかるわ、軽く親近感よ。

 だからその勇気がでないこの子の代わりに、私が扉を開けてあげるのは、簡単なんだけど――。

 ――でもそれじゃあ、ねえ?

 さて、どうしようかしら。

 んー…。

 ねえ、なにか怒られるような悪いことでもしたの?

「い、いえ。なな、なにも、してない、です。…たぶん。…たぶん。」

 じゃあ、堂々と入りなさいな。

 今少しだけ勇気を出せば、すぐに解決するわ。

 小さな勇気で結構何でも解決するものよ。

 それで手に入るものもいっぱいあるんだから、ほら!

 ――って、偉そうに高説垂れちゃったけど、最後は余計な言葉だったかな。

 そもそも、人に指図できる立場じゃないし、ガラでもないもの。

 だけど、出会ってしまったら放っておけない性分なのよ、私。

 中二の時から続けた日課の、その成果かしらね。

「は、はぃ…。そ、そぅですね…。」

 うーん、微妙な手ごたえ!

 まじもじの速度が少し遅くなったかな、ってところ?

 なかなかにじれったいわ。

 仕方ない――か。

 よしっ。


 この子の勇気、少し前に動け――っ!


 どう…かしら。

 ――お?

 扉の取っ手に手が伸びた!

 がんばれ一年生っ!あと少し!

 ――よしっ!!

 うん、やればできるじゃないっ! 


「はーっはっは!つぐみくん、君も成長したね!」

 はい?いきなり何ですか?

 ――あれから十数分後。

 さっきの彼女は、少し前に理科準備室を出てったわ。

 案の定、進路の話をモル先生から受けてね。

 彼女、えーっと…名前はたしか矢島さんだったかな。

「準備室前の話だよ。つぐみくんのあまりの成長具合に、先生涙出そうだったよ。」

 な――っ!!聞いてたんですか!?

 は、恥ずかしいじゃないの、すごく!

「二年前の君は借りてきた猫みたいだったのに、今じゃ後輩を導く立場か。いやはや、感慨深いねぇ、うん。でもまぁ、それにしてもあの子、酷い人見知りだったねぇ。」

 私だって、人見知りですよ。

 それに、私もモル先生がこんなだってあの時は思いませんでしたよ。

 女子生徒を「くん」付けで呼ぶような先生なんて、存在すると思わなかったわ。

 まあ、実際呼ばれてるのは私を含め数人だけらしいけど。

「こんなって…あー…まあいいか。2年の歳月を経て、お互い胸襟を開いたってことだな。で、それはさておき、君が人見知りだって?はっは、君の場合は人見知りというより――――いや、あのころに比べて、今の君はこれだけ成長したんだ。昔をとやかく言うのは野暮だな。」

 というより何?

 私はいったい何だったの!?

 いくら胸襟を開いても、生徒と先生の間には踏み込めない領域があるのよ。

 思わせぶりな発言は慎んでもらいたいわ。

 はぁ…まあ聞けないのは仕方ないし、やることさっさと終わらせましょうか。

 ――で、先生!

 今日は私、何の用で呼ばれたんですか?

「ああ、すまないね。順番待ちしてもらって。」

 それは別に構わないですけど。

 それに、あの子へ話す内容も気にはなってたしね。

 予想通りの内容で安心したわ。

「今日はクリスマスだからね、君が卒業してしまう前に2年間の礼をと思ってね。ああ、そのまま座って待っててくれ。」

 お礼?

 座ってるのは構わないけど、先生はどこへ?

 んーと…冷蔵、庫?

「――ほら、ケーキだ。ささやかな礼だが、食べてくれ。2年間手伝ってくれて、ありがとな。」

 …先生、ずるいですね。

「かっこいいだろ?」

 かっこいいかはわかりませんが、私も先生には感謝してますよ。

 理系を薦めてくれて、ありがとうございました。

 おかげで、楽しく高校生活が送れました。

「はっはっは。自分の気持ちを素直に言葉に出来るのは、君の美点だ。これは二年前から何も変わっていない、今後も大事にしてくれ。」

 それができるようになったのは、高校に入ってからですけどね。

 でもまあ。

 褒められて悪い気はしないから、素直に受け取っておこう。

 先生、2年間ありがとうございました。



-------------------------------



 それで、その時お礼を言い忘れたからって、ナユを頼って矢島さんがお礼を言いに来たってわけ。

 ね?大したことしてないでしょ?

「人たらし!」

「人たらしね。」

「人たらしと、ののは思うの。」

 え、いや、ちょっと。

 やっぱり褒めてないわよね?

「褒めてる!」

「褒めてるわ。」

「一応褒めてると、ののは言っておくの。」

 もおっ!!なんなの、みんなして!

 説明しただけ無駄だったわ!

 さっきとおんなじ、時計回りに順番に、仲いいことで!!

 あ、ちなみに、もちろん例の如くだけど、魔法使ったのは内緒にしてるわ。

「つぐみちゃん、つぐみちゃん。」

 ん?どうしたのノノちゃん。

 耳打ち?

 いいけど――なにかしら。

「魔法使ったの?」

 あ。

 バレてた、てへぺろ。

 ノノちゃんには隠す必要ないから、別にいいんだけどね。 

 だから私も小声で――。

 うん、まあそんなところ。

「ふうん、なの。」

 ねえ、ノノちゃん。

 なんかさっきから、機嫌悪い?

「別に悪くない、とののは言っておくの。」

 いや、悪いわよね?

「…つぐみちゃんは悪くないと、ののは言っておくの。」

 やっぱり悪いんじゃない。

 私、何かした?

「つぐみちゃんは、何もしてないって言ってるの。」

 えー。

 困ったわね…。

「これこれ、つぐつぐ。」

 ん?

 なにミナエちゃん?

「のんは、同担拒否勢だって言ってたぞよ。」

 どーたんきょひ?なにそれ。

 というか、なにその喋り方。

「おほん!つまりは、大好きなつぐつぐが他の子と仲良くなるのが気に入らないってこと!ただの嫉妬!」

 あー、だからナユともソリが合わないのね。

「恋愛感情はないと、言っておくの。ののの推しなだけなの。」

 私もののちゃん大好きよ?

「…むぅ。相変わらずのひとたらしなの。」

 むくれるノノちゃん、はい、かわいい。

 私の推し。

「相変わらずなのは、ののとつぐみの仲よ。今もそうだけど、ほんと仲いいわよね。まだ学校内で噂されてるわよ?」

 ユイちゃんとミナエちゃんに言われたくないわ。

「ユイちゃんとミナエちゃんに言われたくないと、ののは言っておくの。」

 というか、まだ噂されてるんだ、知りたくなかったわ。

 なんで噂なくならないんだろう。

 誰か教えてくれない?

「――でも、のぞみんとつぐつぐにそんな接点が出来てたとは!」

 のぞみんって…矢島さんのこと?

 ミナエちゃんも知ってるの?

「バレー部の後輩だからね。」

 ああ、だからナユが連れてきたのね。

 ――そう言えば、ナユにもあの時言われたわ。

 『あいかわらず人たらしっすね。』って、…不服申し立てをしたいところよ。

 みんなしてそんなこと言うんだから、もういじめよ、これは。

「スーパールーキーとは馬が合うらしいよ!すごく凸凹コンビだよね!」

 性格的には…たしかにそうかも。

 正反対に見えるわね、だからこそ、仲がいいのかもしれないけど。

 ――というか、いつまでルーキーなのよナユは。

 もう矢島さんっていう後輩も入ってきてるじゃない。

「あははは!じゃあ、時間も時間だし、恒例一発芸のコーナーにいこう!」

「恒例って…まだ2回目――というか、去年はなかったじゃない、そのコーナー!」

「ゆいっち細かいよ!細かいとモテないよ!じゃあ、誰からやる!?」

 ああ…忘れてたわ。

 そういえば今年はやるって言ってたわね。

 どうしようかしら…。

 相変わらず仲がいいユイちゃんとミナエちゃんが、言い争ってる間に考えないと。

 まったく、この二人だけは、私たちのあの噂を茶化す権利はないと思うわ。

「はい、とののは手をあげるの!」

「お!じゃあ、のん選手からお願い!」

「違うの!ののは一番手につぐみちゃんを推すって、言いたいだけなの!」

 ノノちゃん!?

「じゃあ、のんのたっての希望という事で、つぐつぐから!お願い!」

 ええええ!!?

 ノノちゃん、やっぱり怒ってるんじゃない。

 私は悪くないんじゃなかったの?

 …。

 まあ、親友からの要望だし応えてあげるか。

 このまま不機嫌だと私も悲しいし。

 はぁ…わかったわ。

 その代わり――ちょっとまって、時間ちょうだい?

「お!つぐつぐが準備に取り掛かる!全員全裸待機!」

「いや、脱がないわよ。いやよそんな変態パーティー。サンタさんが来たら全力で逃げるわよ。」

 隙を見つけると、すぐコントし始めるんだからこの二人は。

 え?なに?

 もしかして、今年も二人の出し物は漫才なの?――って、そうじゃなくて。

 えーっと、何しようかな、何も考えてないのよね。

 おととしと同じ――魔法マジック?

 でも、去年はちょっとタネがなさ過ぎて、やりすぎだったらしいから…。

 その点を反省して――んー…よし!

 はい、じゃあ、ここにコインが一つあります。

 と言っても、500円玉だけど。

「今年もコインマジックなの?大丈夫なの?」

 ノノちゃんが、すんごい心配そうな顔してる。

 大丈夫よ、今年はうまくやるから…たぶん。

 じゃあ、先ず。

 このコインをテーブルに置いて――。

「今年はなにが起こるのかしら。」

 大したことは起こらないわよ。

 まあちょっと見てて。

 ――うーん。

 普通にやると、かなり怪しいから。

 いや、魔法的な意味で、ね。

 タネが無い的な意味で、ね。

 だから、なるべくタネがありますよー的な、そんな態度をしておかないと。

 えーっと、置いたコインに両手からパワーを送ってるように見えるように…。

 水晶玉を覗く、あんなイメージでいいかしらね。

 あ、大きい声も出した方がいいかもね。

 うん。

 よし、それで行きましょう!

 じゃあ、コインをよくご覧ください。

 行くわよ、せーのっ!


 ハッ!!!

 コイン、上に1cm動け――っ!!

 

「――やりすぎなの。」

 電話とった第一声がそれ?

 クリスマスパーティーから帰宅して、ベッドに横になったころ。

 ぷるると鳴った、ノノちゃん専用の着信音に今まさに飛びついたその瞬間…に釘を刺されるとは…。

 やりすぎって、もしかしなくてもマジックのこと?

「もしかしなくてもマジックのことなの。さっきから、携帯が鳴り止まないの、二人から質問攻めなの。せめて謎のコインとか使えなの。日本銀行の貨幣はやりすぎなの。」

 タネがないって言いたいの?

 あれでも演技頑張ったのに。

 恥ずかしかったけど――頑張ったのに。

「つぐみちゃんに役者の才能はないの、大根にも失礼なの。あやしさ満点なの。それにあんなの、タネもしかけもなさすぎなの!」

 えー、今回はちゃんと自分のお金使ったのに!

「そんなレベルじゃないの!一昨年も似たようなことやって失敗したのに、何も反省してないの!」

 ご、ごめんね。

 ここまでご立腹のノノちゃんなんて、初めてかもしれない。

 いつもの、ノノちゃん構語が出てないもの。

 ほんとに申し訳ない、反省ね。

「…はぁ、とにかく二人はののがうまく誤魔化しておくの。二人はののと違って文系だから、なんとかごまかしきってみせるの。」

 お世話かけます…。

 でも、ノノちゃんに魔法バレてよかったわ。

「なに?なの。こういう時に役に立つって言いたいの?」

 ああ、違う違う。

 ごめん、言い方悪かったわ。

 ノノちゃんに魔法のこと隠しておくのが辛かったって意味よ。

 どうやって打ち明けようか、実は悩んでたのよ。

「…ぃの。」

 ん?

 あれ?

 また怒らせちゃった?

「…つぐみちゃんは、ずるいの。そう言われたら許すしかないと、ののは歯噛みするの」

 あ、よかった。

 ノノちゃん構語が戻ってきた。

 難しい言葉つかってるから、まだ完全じゃないのかもだけど。

「わかったの!今後も何かあったら、ののに甘えるの!つぐみちゃんが甘えるのは、ののだけなの!」

 あはは、今後もよろしくね、ノノちゃん。

 あ、さっそくだけど、一つ頼っていい?

「頼るんじゃないの、甘えるの、とののは念を押しておくの。」

 えーと、じゃあ…甘えていい?

「いいの。ののになんでも話すの。」

 ふふ。

 無い胸を張ってるノノちゃんが目に浮かぶわ。

「つぐみちゃんもほとんど変わらないと、ののは反論しておくの。」

 心読まないでよ!

「口に出してたの。」

 そんなバカな!

「そんなこといいから、はやくののに話すの。」

 ああ、ごめん。

 えーっと、モル先生との話しなんだけど――。


「ああ、そんなことなの。そんなことすぎて、つまらないと、ののはがっかりしておくの。」

 そんなことって――え?どういうこと?

 そんなことってレベルなの?

 あ、聞いてもらった話ってのは、クリスマスパーティーの時に端折って説明しなかった部分の話ね。

 つまり、モル先生との会話部分を改めてノノちゃんに聞いてもらったんだけど、反応がいまいちな気が…。

 もしかして――伝わってない? 

 えーっと、ね。

 つまり、私は人見知りというより、一体なんなの?って話なんだけど…。

「ちゃんと伝わってるの。伝わった上でそんなことと、ののは嘲笑うの。」

 嘲笑うって、そんな言葉日常で使う人初めて見たわ。

「ふふん、なの。」

 いや、褒めてはないんだけど…まあいいわ。

 で、結局人見知りじゃなくて何?

 自分では人見知りだと思ってたんだけど。

「つぐみちゃん。人見知りっていうのは、ののや件の矢島さんのことだと、ののは言いたいの。人見知りは、いきなりの指名で、学校祭の出し物をすぐさま提案できないの。」

 そういえば、あの時ののちゃん私のところ来てなかったわね。

「それはののが人見知りだからなの。それに、とののは付け加えるの。そもそも、準備室の前で右往左往してる後輩に声なんてかけれない、とののは強く言っておくの。」

 たしかに、そう言われればそうなんだけど…。

 うーん…。

 じゃあ、私はいったい何?

「自分に自信がなかっただけと、ののは簡単に答えるの。高校に入ってからのつぐみちゃんしか、ののは知らないの。でもそれだけで十分わかるの。友達ができて後輩ができて、それで少しずつ自分に自信がついてきたつぐみちゃんは、入学したころに比べてすごく素敵になったと、ののは自慢したいの。」

 これは…すごくこそばゆい。

 でもなるほど、腑に落ちちゃった。

 どうやら私の親友は、やっぱり私以上に私に詳しいらしい。

 親友に恵まれすぎてるわね、私。

「だから、つぐみちゃんを好きになる人も出てきたし、今ではクラスで人気者なの。ののは少し寂しいの。」

 うーん…私が人気者とはさすがに思えないけど、でもすごく納得がいったわ。

 だって思い当たるもの。

 何をしても奪われ続けてきた私は、実際、ずっと自分に自信がなかったし。

 それを――そんな私を、みんなが救ってくれた。

 その自覚は十分にあるから。

 うん、だから――。

 ありがとう、ののちゃん。

 大丈夫よ、私が甘えるのはののちゃんだけだから。

「つぐみちゃんの大丈夫は信用できない、とののは唇をとがらせるの。」

 ええー。

 許してくれたんじゃなかったの!?

「それとこれとは話が別と、ののは言っておくの―!」


                                     ―続―

お疲れ様でした。

気が付くと10万文字こえてますね。

こんなに続けるつもりはなかったのですが…。

まあ、もう少しつぐみちゃんの日常が続くらしいので

温かい目で、応援してあげてください。

では最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。

次回もお待ちしています。


是非とも評価、いいね、コメントをお寄せください。ブックマークもお願いします。

このページを下にスクロールして頂くと出来ると思います。

めんどくさいかもしれませんが、助けると思って、ひとつお願いします

すると次回は少し早く上がるかもしれません。

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