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でぃあ魔法少女【完結】  作者: 煮木 倫太郎
23/63

第十九話(後編) 魔法少女進歩します

1学期期末のテスト勉強という、ののちゃんとのデート中

じゃんけんに負けたところらへんから


「つぐみん先輩!」

 わっ!

「ちょっと先輩、声大きいっす!」

 あ、ごめん。

 って、ナユ!?こんなとこで、どうしたの?

「いや、喉乾いたんで。お茶買いに。」

 ナユがくいっと指さした先にはちょっとお高い、特保(トクホ)のお茶。

 ご貴族様か!

 ――というか、あら?

 いつの間にか自販機の前まで来てたのね私。

 自由落下について考えてたら、すぐだったわ。

 って、いやいやそうじゃなくって!()()()()()()じゃなくって!

 なんでナユ、図書館にいるのっ!?

「うん?なんでって…おそらく先輩と同じっすよ。私は今来たとこっすけど――って、そんな分かり切った事聞くなんて、先輩らしくないっすよ。どうしたんすか?」

 え?

 あ、ああ、うん、そうね。

 私らしくないって…、私だってぼーっとする時もあるのに。

 まあでも、言われてみれば試験期間は学年が違おうと変わらないんだから、考えなくてもわかるか。

 それでも買いかぶり過ぎ感がぬぐえないけど、まあとにかく、えーと――。

 ごめんね、ちょっと考え事してたのよ。

「そうなんすか。先輩でもそんなケアレスミスするんすね。親近感が沸くっす。――あ、せっかくなんで一緒に勉強しないっすか?」 

 ナユ、私を何だと思ってるのよ、ミスなんて数え切れないほどしてるわよ。

 前言撤回。

 気のせいじゃなかった、やっぱり私の評価が高すぎる。

 まあ、それはいいとして。

 …良くないけど、いいとして。

 せっかくのお誘いだけど、今日は友達と一緒なのよ。

「あー、もしかして噂の、のん先輩っすか?」

 え?

 …。

 そう…だけど、なんで知ってるの?

 と言うか『噂の』って何?

「いや、のん先輩は名前しか知らないっすよ。あ、苗字すら知らないっすね。噂のってのは、ミナエパイセンが前言ってたんすよ、『つぐみちゃんと、のんの関係が最近怪しい』って。」

 えーーーっ!!!

「いや、だから先輩、声抑えてっす。」

 あ、ごめん。

 ――って、いやいやいや。

 ミナエちゃんには言われたくないんだけど!

「恋愛の形は自由であるべきっすけど、公共の施設でちちくりあうのは止めておくのが無難――んんっ!」

 事実無根だから!

「ぷはぁっ!つ、つぐみん先輩、声抑えてるのはいいっすけど、図書館で暴れるのも良くないと思うっす!」

 変な事言うからでしょ!

 そりゃ慌ててナユの口も、塞ぐわよ!

 全力よ。

 魔法使えばよかった!もうっ!

 だ、誰も聞いてなかったでしょうね?

「でもあれ?という事は、ユリユリな関係じゃないんすか?その噂の、のん先輩と。」

 当たり前でしょう!

「えー…、こっちはつぐみん先輩とのん先輩が裸でお互いの大事なところに、あんなことやこんなことをしてる姿の想像まで済ませてるのにっすか?」

 知らないわよそんな事!

 そんな想像、早く捨てなさいっ!

 ノノちゃんのことは顔すら知らないんでしょ?

 じゃあ、なんで想像までしてるのよ!

 『ちえー、なーんだ、っす。』じゃないのよ!

 期待するのが、そもそもおかしいと思うわけよ!

 そうでしょ?

「なーんか残念っすけど、仕方ないので私はお茶買って、勉強に――あ。」

 ん?なに?

 今度はどうしたの?

 急に動き止めて、何見てるの?

 なにが残念なのかは、後でまた話し合うことにして、あっちに何かあるの?

 確かあっちは、図鑑コーナーだった気がするけど。

 ――って、あ。

「あの子達、あぶなさそうっすよね。」

 うん…、そうね。

 えーと、踏み台を使って、上の方の図鑑を取ろうとしてる――のかな。

 今ちょうど、一人の子が動かしてきた踏み台の上に、もう一人の子が足を掛けてるところね。

 何事もなく取れればいいけど。

「つぐみん先輩、一応あの子が本を引き抜く瞬間に未来見てみるっす。なにかあったら、よろしくっす。」

 それは、分かったけど…。

 あまり期待しないでね。

 出来る事なんて、お互いたかが知れてるんだから。

「信じてるっすよ、先輩。とにかくゆっくり近づいておこうっす。」

 期待が重…いや、了解、行きましょう、善処するわ。

 今更近づいても、おそらくもう遅いかもだけど、何もしないよりはマシよね。

 近い方が何かとフォローもしやすいし。

 というか、そもそも何も起こらない可能性の方が高いんだから、慎重になり過ぎるのも良くないもの。

 まあ、とにかく『一応』よ、『保険』よ。

 まだ数回しかしてないけど、ナユとのパトロール散歩で身に着いた習慣、というか決めごとね。

 何か良くない未来が見えたら、ナユが肩を叩いて私に教えてくれる手筈になってるのよ。

 だって、ほら。

 ――ナユの魔法は、未来を一秒だけ見れる。

 ――私の魔法は、物を一秒だけ止める。

 そんな魔法しか、私たちには使えないから。

 お互いに、刹那の時間しか操れないから。

 だから少しでも伝達を速くしようって、そんな目的で決められた手筈。

 …幸いなことに、まだ一度も使われたことがないのだけどね。

 えーとつまり――。

 今回も無事に使われませんようにっ!


 ――トン、って、嘘っ!?

 ナユに肩を叩かれたってことは!?

 あ!!

 目の前で、本を引き抜いた男の子が台の上でバランスを崩してるっ!

 つまり、この後は私の出番なわけだけど――。

 ――。

 ――うんっ。

 大丈夫、出来る。

 実は肩を叩かれる前、いや正確には自販機に向かってる時からね。

 なんと、タイミングのいいことに――都合のいいことに、今さっきちょうどこんな時の対処法をイメージしてたのよ!

 だから、出来る――はず!

 今、目の前で、後ろに落ちだしてしまった男の子が、まさに地面に激突する、その直前!

 この瞬間――っ!


 男の子、止まれ――っ!


「――っ!!さすがっす、さすがっす!流石、つぐみん先輩っす。マジ卍っす!あいかわらず頼りになるっす!」

 うん、でもナユが未来を見てくれたからできたのよ。

 そうじゃないと、タイミングが取れなかったと思うわ。

 それにしても、上手くいって良かった、ホントに良かった…。

「ああ、ちょっとそこの椅子で、休憩するっすよ。」

 あ、ありがと、ナユ。

 あはは、膝が笑ってるわ。

 上手くいった安心感と、極限まで集中した疲労感?

 それが一気に襲ってきてるって感じ、かな。

 正直もう立ってられなかったわ。

「ちょっと、飲み物買ってくるっすから、待ってるっす。」

 うん。

 お言葉通り、ゆっくり待ってましょう。

 お言葉に甘えよう。

 今は何も考えたくないわ。


「お待たせっす。つぐみん先輩には、このお高いブラックコーヒーを御進呈っす。」

 え?奢ってくれるの?

「もちっす。今日のMVPはつぐみん先輩っすから。」

 うん、ありがと。

 自分でもそう思うし、遠慮なく頂くわ。

 ほんと――。

 ほんと自分でもよく頑張ったと思うわ、自画自賛よ。

「でも、あれどうなってたんすか?男の子が地面に落ちてから、一秒止まってたっすけど…。その後、すぐ起き上がってケロッとしてたっすよね?」

 あー…そういう風に見えたのね。

 えーと、あのね。

 あれ実は、()()()()()()()()に止めたんじゃなくて、()()()()()に止めたのよ。

「ん?んん?どういう事っすか?」

 ナユが今持ってるペットボトル、その高さから地面に落とすと衝撃が凄いでしょ?

 でも、地面すれすれから落としたら…どう?

「…ちょっと待ってっす。今やってみるっす。」

 ええ、どうぞ。

 やるまでもないとは思うけどね。

 でも今の私は、流れに身を任せるしかないのよ。

 だって、体に力が入らないもん、椅子と融合しちゃいそうよ。

 あぁ、すごい達成感。

 燃え尽き症候群って、こんな感じなのかしらね。

「――あ、なるほどっす。ほとんど衝撃がないっすね。」

 それをしたのよ、私の魔法で。

「うん?分かったような、分からないような…。でも、すごいってことは分かるっす。」

 …私も、思った以上に応用の幅が広い魔法で、びっくりしてるところよ。

 それ思いついたの、ついさっきだもの。

 たまたま物理の勉強をノノちゃんとしてたからなのよ。

 ――つまるところ、運動エネルギー。

 私が物に魔法を使うと、その運動エネルギーを瞬間的に0に出来るらしい。

 …そういうこと、だと一応そう思ってる。

 いや正直、それだと辻褄が合わない部分が出てくる気がするんだけど――。

 まあ、それは魔法だからってことで、今は無理やり納得しておきましょう。

 それを考えられるような元気が、今はないのよ。

 とにかく、今回は地面すれすれで、男の子を()()()()()()()()()()()()()()ってこと。

 正確にはキャッチじゃなくて止めたのだけど、似たようなもんね。

 結果、男の子は地面の数センチ上から落ちたのと同じになったのよ。

 地面すれすれからなら、落ちても痛くないものね。

「――物理って、来年から理系で習う奴っすよね?」

 そうよ。 

「ふーん。じゃあ、あたしも理系に進むことにするっす!」 

 ん?そんな簡単に決めていいの?

 おそらく、ナユの魔法は物理関係ないわよ?

 いいの?

「いいっす。尊敬するつぐみん先輩っとおそろいっす!」

 相変わらず、私へのリスペクトが重すぎるわ。


 ――ただいま。

 あ、ノノちゃん顔膨らましてご機嫌ななめ、ね。

 大分時間、経ったものね。

「むぅ。遅いの、つぐみちゃん。」

 ごめんごめん。

 ちょっと色々あって。

 かくかくしかじか――。

「かくかくしかじかって言われても、ののには分からないの。ちゃんと教えて欲しいの。」

 えー。

 …長くなるけどいい?

 ――いい、のね。

 仕方ない、じゃあいちからお話しましょう。

 いちから、とは言っても、魔法の事は上手くごまかすけどね。


「なるほどなの。それなら仕方ないと、ののはふてくされておくの。」 

 分かってくれた?

 ちなみに、男の子は魔法じゃなくて、受け止めた事にしたわ。

「うん、実につぐみちゃんらしいから、許すことにするの。」

 それは良かったわ。

 私らしいかどうかは、ともかく。

 ありがと、ノノちゃん。

「助けれらてなかったら、許さなかったの。と、それはそれとして、私のカフェオレは?と、ののは問いただすの。」

 あ…。

 完全に忘れてた。

 そもそも私はさっきナユと飲んじゃったから、なおさらよね。

「はぁ…。まあ、人助けをしてきたつぐみちゃんに免じて、250円のスムージーで手を打ってあげると、ののは譲歩するの。」

 譲歩って…、それコンビニにしか売ってない――。

「今日は、もう終わりにするの。ののも一緒にコンビニに行くの。そしてそれから、一緒にミーナへの復讐を考えようと、ののは提案するの!」

 

 ――結局、お高いコンビニのスムージーをノノちゃんに奢ることになったわ。

 でも、『ミナエちゃんに復讐計画』の提案は魅力的だったし仕方ないわよね。

 さて。

 じゃあ、どう料理してくれようかしら。

 後輩に、私のありもしない噂を流した罪は重いわよ?

 ねえ?

 ミナエちゃん?

                                 ―続―

お疲れ様でした。

何とか1週間で上がりました。

最近少し時間が取れなくて、推敲がおざなり気味です

最後まで書ききったころに、すべてまとめて推敲しようと…思ってます。

たぶん…きっと、やる、うん。

まだ、もう少しつぐみんのお話は続きますので

ゆるりとお待ちください。

では最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。

次回もお待ちしています。


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めんどくさいかもしれませんが、助けると思って、ひとつお願いします

すると次回は少し早く上がるかもしれません。

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